28回目 最初の接点
最初にそれが出てきたのは、近隣の加害者をほぼ消した頃だった。
人が減った事もあり、周囲がだいぶ静かになった。
このまま穏やかに暮らせていければ、と思ったのだが。
残念ながらそうはいかなかった。
加害者になってる者、なりうる者。
それらを見つけ次第処分していた時である。
なんとなく誰かから見られてる感覚をおぼえるようになった。
とはいえ、周囲に誰かいるというわけでもない。
意識が向かないように思考を操ってもいる。
誰かがトシキに気を回すわけがなかった。
なのだが、ある頃から誰かに見られてる気がしてきた。
気になってその視線の元を探っていった。
超能力を使えばそういう事も出来る。
それによって、視線の原因がわかった。
確かにトシキは見られていたのだ、超能力によって。
それは意識だけでトシキを見つめていた。
念視と言うべきだろうか。
意識だけを飛ばして、トシキの様子をうかがっている。
その意識がどこから飛んできてるのか。
それをたぐっていく。
それ自体は簡単だった。
意識が飛んでくる方向から、気力がのびているのだから。
それを追跡すれば、簡単に相手を見つけられる。
相手はすぐに見つかった。
居場所を特定すれば、あとは簡単だ。
そこまで飛んでいけばいい。
すぐに超能力を発動させたトシキは、探し当てた場所まで飛んでいった。




