23回目 被害者達が前を向くために
被害にあった者達の気持ち。
それを回復させるためにも、トシキが手を下すわけにはいかない。
被害者にもやり返す機会を与えねばならない。
でなければ、被害者が前向きに生きていけなくなる。
報復する機会は可能な限り与えねばならない。
そうなると、加害者を集めて殲滅するだけというわけにはいかなくなる。
被害者を捜して説明し、気持ちを確かめねばならない。
そして、報復をさせるために連れてくる必要がある。
その準備をするとなると、どうしても時間がかかる。
それらを同時に進めるのは難しい。
だから、まずはトシキの身の回りの問題だけを片付けていく。
トシキを虐げた者達を。
それに加担した者達を。
それらが他でもやっていた悪さを。
この範囲にとりあえず限って事を進めていく。
それが終わり、加害者の霊魂を吸収し。
より巨大な力を使えるようになってから、他の加害者を処理していく。
それらの被害者達の救済に動いていく。
別に助けてやる理由はない。
義務や義理など全くない。
だが、同じ境遇故の同情がある。
そのまま放置するのはあまりにもかわいそうだった。
(俺みたいに、事件を起こさせるのもなあ……)
前回の人生で、最後は大立ち回りをくりひろげた。
それはそれで楽しいものだった。
だが、最後は警官隊に撃たれて死ぬという理不尽なものだった。
報復や復讐をしただけなのに、なんで殺されなくてはならなかったのか?
そこは納得がいかなかった。
そんな追い詰められた状態になってほしくなかった。
やられた分をやり返すのは間違ってないが。
そうなるくらいなら、今この時点で問題を解消してもらいたかった。
起こった出来事を無くすことは出来ないが。
起こした者に復讐して気を晴らす事は出来る。
それが早い段階で出来ていれば、トシキもこんな風にはなってなかっただろう。
何十年も隠忍自重する事もなかっただろう。
不毛で無駄な抑圧を受け続ける必要もなかっただろう。
そんな状態に、他の誰かが陥るのを黙って見ていたくはなかった。
「でも、おかげでこうしていられるんだろうけど」
そうも思いはする。
もし、早々と問題を解消できていたら、こうして過去に戻る事もなかった。
超能力を使って、問題の解決をする事も出来なかった。
そう考えれば、耐え難きを耐えたのにも意味はあるのかもしれない。
「もう一度は御免だけど」
余計な苦痛にさいなまれないように。
その為にも出来るだけ早い時点で、原因への復讐をさせたかった。
何よりも。
同じような境遇に陥った者が、トシキと同じ事をするかもしれない。
そうなったら、トシキのように超能力に目覚める者が出てくるかもしれない。
そうなった場合、何がどうなるのか予想もつかない。
味方になってくれればいいが、敵対したらどうなるか。
そんな悩みを潰すためにも、被害者への援助はしてやりたかった。




