18回目 戻ってきたあるべき自分
学校から帰って、監禁場所にやってきて。
思い思いに制裁を楽しんで。
トシキと被害者達はようやく人間らしさを取り戻していった。
ただ、トシキはそれを楽しんでるだけというわけにもいかない。
事が露見しないように工作をしておかねばならない。
それに、他にもいる加害者共を確保せねばならない。
なので、ある程度のところで仕返しを切り上げる。
被害者達は残念がったが、これは納得してもらうしかなかった。
仕返しは明日も出来るし、そろそろ家に帰らないといけない時間だ。
塾や習い事がある者もいる。
それらに行かねばあやしまれると。
仕返しを続けたいという気持ちは分かる。
だが、それは明日も出来る。
無理して続ける必要もない。
「こいつらは逃げられないし」
そう言って縛り上げてる加害者共を指す。
それを見て被害者達も納得した。
被害者達が監禁場所から家に帰っていく。
それを見送ったトシキは、一度加害者達の所に戻る。
縛り上げられて涙を流してる加害者達。
そいつらにトシキは、
「じゃあ、また明日。
これで終わると思うなよ」
と告げていく。
そのついでに、自殺しないように洗脳をしていく。
舌をかむなどの行動をとられたら困る。
そんな事で死んでしまったら、被害者達がかわいそうである。
ようやく仕返しが出来るというのに、それがこれだけで終わってしまったら哀れだ。
「出来るだけ長く苦しんでくれ。
それまではどんな事があっても死なさないから」
トシキの言葉に加害者達は泣いた。
「ふざけんな!」
「なんでこんな事すんだ!」
自分の事を棚にあげてトシキを責める。
その口をふさいでトシキは監禁場所から出ていく。
相手にしてやるほど暇ではない。
これからあちこち巡って、関係者を集めねばならないのだから。
それに。
ここに来ても被害者ぶってる連中の口ぶりに付き合いたくもなかった。
そこに母親と同じものを感じてしまう。
どこまでも自分が正しいという自己愛を。
聞いてるだけで腹が立つ。
どこまでいってもこの調子なんだろう。
だから相手にする必要がない。
付き合うだけ時間の無駄になる。
自分の何が問題だったのか理解することはないのだから。




