12回目 懐かしく憎らしい母校
「あー、こんなんだったなあ」
久しぶりに、20年以上の時間を経てやってきた小学校。
それは記憶の通りでもあり。
記憶とは何かが違ってるように思えた。
とはいえ、思い出に浸ってるわけにもいかない。
そもそも、浸れるような思い出もない。
ただただ恨みと憎しみと嫌悪感がわいてくる。
学校なぞ、そんな場所でしかない。
そんな小学校に踏み込み、処分を始めていく。
思い出を少しでも浄化するために。
校庭などから見えないように物陰をつたう。
最終的にそれらも処分するにしても、今は見つかると面倒だった。
そうして入った校舎の中を歩き、目的の教室へと向かう。
まだ授業中なのでそこに全員揃ってるはずである。
幸いな事に教室には全員揃っていた。
休みはいないようである。
ガラス窓から覗く教室には、トシキ以外の全員が座っている。
その教室を囲む空気を操作する。
振動・音を外に漏らさないように。
中で起こる事が外に漏れると面倒だった。
そうしてから窓の鍵をねじ曲げていく。
外に逃げ出さないように。
逃げ場のない状態にしてから教室に入る。
全員の目がトシキに向かう。
そんな全員に向かって、トシキは力を解放する。
室内の全員が空中に浮かんだ。
「よう、久しぶり」
トシキにとっては25年ぶりとなる顔ぶれだ。
ただただ憎たらしいだけの同級生。
そんな彼らに向かって、トシキは一言だけ告げる。
「死ね」
そう言ってから、全員を床にたたきつけた。




