119回目 内部問題から外部へ
先に動き出したのは在日米軍だった。
日本に駐留する唯一の軍隊だけに動きは早い。
異変を察知した瞬間に、臨戦態勢に入っていった。
表向きの理由としては、不測の事態に備えるため。
日本政府消滅が外国による攻撃ならば、在日米軍にも被害が及ぶ。
攻め込まれる可能性もあるから、それに備えるのは当然だ。
だが、それ以上に日本の再占領も考えての事だ。
ユーラシア大陸の東、極東方面における最前線が日本である。
そこを他国に占領されたらたまらない。
アメリカは太平洋で再び戦う事になる。
それは避けねばならなかった。
その為、政府機能が消滅した日本の占領も考えていた。
事態を収拾するにはそれしかない。
そんな在日米軍であるが、彼らもすぐに機能を停止させていく。
トシキの手によって。
「勝手な事すんなよ」
在日米軍基地に攻め込んだトシキはため息を吐く。
動き出すことは予想していたのだが。
本当に動くとなると、やはり呆れるやら嘆くやら。
「余計な仕事を増やしやがって」
何もしなくても、そのうち処分するつもりではいた。
敵対勢力はいると面倒だ。
それは何も日本国内に限った事ではない。
面倒な連中は消滅させるに限る。
生かしておくと、必ず問題を起こすのだから。
だが、こうも早く動くとはおもわなかった。
まさかと言うか、さすがと言うか。
「さすが超大国」
これだから世界最強国家になれたのだろうと思った。
もっとも、そんな連中だから邪魔になる。
とりあえず日本国内にいる連中には退場してもらう。
全員、養分となってもらって。
「ま、調度良いのも手に入ったし」
米軍基地にある様々な核兵器。
それを眺めながら、これからの事も考える。




