112回目 呼びかけ
侵略といっても、正面から突破するだけではない。
霊能者なり警察・自衛隊が立ち塞がれば粉砕するが。
しかし、トシキの攻撃はそれとは違った形をとりつつある。
まず、広範囲にわたって超能力で探索をかける。
範囲内に存在する加害者や被害者を見つけるために。
それから被害者の精神に直接語りかけていく。
「やり返したいか?」と。
それを聞いて頷いた者達の能力を引き出していく。
超能力に覚醒させていく。
そうして能力を手に入れたところで、報復をさせていく。
トシキが手を直接出す事はない。
被害者に復讐をさせていく。
加害者と共犯者、これらを助ける偽善者に。
同時多発的に処理を進めていく。
これらを瞬時に同時にあちこちで起こす事が出来る。
トシキの手間はその分減っている。
やるとすれば、加害者達が逃げ出さないようにする事。
邪魔をする 霊能者などを遮る事。
これだけやれば、あとは特にやる事もない。
覚醒した者達が勝手に事を進めてくれる。
それらの手助けに、仲間が動き出してくれる。
トシキは種をまくだけで良かった。
障害らしい障害もなく事を進めていく。
その間に邪魔になる者達の霊魂を吸収し、先へと進んでいく。
敵対する霊能者や警察・自衛隊は立ちはだかってくる。
しかし、抵抗らしい抵抗も出来ない。
攻撃する前にトシキが意識に介入してしまう。
そのまま洗脳して、敵意を消していく。
そうしてから霊魂を吸収する。
敵は戦う事がもう出来なくなっている。
接近すれば確実に倒されてしまうからだ。
トシキの能力の及ぶ外から攻撃を仕掛けるならともかく。
ただ、遠距離からの攻撃も効果はない。
飛んでくる砲弾なりミサイルなりも、トシキに届く前に察知される。
そして、念動力で破壊されていく。
トシキの周辺数キロ範囲は、突破する事の出来ない聖域と化していた。
そこに突入すれば、敵対する者は生きては出られない。
そんなトシキに対抗する手段など、政府側にはもうほとんど残ってなかった。




