1回目 そして死んでいく
「…………」
壬生トシキは無言で空を見上げる。
路上に倒れ、血を吹き出しながら。
警官隊に撃ち抜かれた体は痛みを訴え続けている。
悲鳴を上げてのたうちまわりたい程に。
だが、それすらも出来ないほど力が抜けていく。
(これが最後か……)
ろくでもない人生だった。
振り返っても楽しい思い出などない。
そんな人生に嫌気がさし、とうとう行動に出たのだが。
その結末がこれかと思うと泣けてくる。
(もっと上手く生きていたかったけどなあ)
ガキの頃からイジメられ。
暴行・傷害を受け続け。
罵られ嘲られ。
ついには色々吹っ切れて行動に出た。
就職したブラック企業の上司や同僚、部下などを殺して回り。
それが終われば小中高と周りにいたクズを見つけて殺し。
特に何もしなかった親も処分した。
そうして鬱憤を幾らか晴らしはしたのだが。
そんな事をすれば、当然ながら警察も動く。
それらも倒して進み続けてきた。
だが、多勢に無勢。
周りを囲まれて銃で撃ち抜かれたらどうにもならない。
体中を何かが貫いていく感覚をおぼえながら倒れた。
(ついてねえ)
こんな最期を迎える羽目になった。
決して恵まれた人生とは言えないだろう。
そういうならば、最初の頃からいろいろとケチがついていた。
振り返っても、何か良いところがあっただろうかと思う。
(なんでこんな人生なんだか)
こんな事になるなら、と思う。
もっとマシな人生を歩めばよかったと。
どうせこんな最期を迎えるなら。
もっと早めに行動を起こせば良かったと思う。
全てが今更である。
やり直そうにも、過ぎ去った過去は取り戻せない。
これから頑張ろうにも、もう人生は終わっていく。
(どうせなら……)
消えゆく意識の中。
最後に思う。
(もっと好きなようにやれば良かった……)
そう考えたのが最後だった。
壬生トシキは、35年の人生をこうして終えた。
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