第二十一話 盗み
長い旅の後、俺たちはルストに着いた。
正直、めちゃくちゃ気持ち悪かった。
高速馬車の揺れが大きかったせいで吐きはしなかったが頭が痛かった。
「空気が新鮮です…」
「まあ、馬車の窓開けられなかったしねー」
別に窓が閉まっていても酔いやすくならないと思うが…
「そういえば、どうやって鉱石を入手するんですか?」
「え?鉱山に入って掘るだけだが」
「普通は勝手に入ったらいけないんじゃないでしょうか?」
「いや、その時はこの聖剣を見せて無理やり行くつもりだ」
オリビアが「汚い…」と言っているがそこは聞かなかったことにして、俺は聖剣を鞘から取り出す。
「とにかく、長旅だったから皆お腹もすいてると思うし、ご飯にしたらどうかしら?」
「そうですね。近くの酒場に行きますか?」
「いや、もう少しで宿屋の予約ができるところだから、少し我慢して宿で多めに食べないか?あまり金の無駄遣いはしたくないからな」
「わかりました。とりあえず今日は宿屋に向かいましょう」
「ああ」
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ご飯を終わらし、風呂に入ってきた俺たちは、部屋に帰ってきた。
…しかし。
「なぜ、荷物が無くなっている?」
俺たちが持っていた武器も、金も何もかもなくなっていたのだ。
「盗まれたのかしら…?」
「ええ、そうだと思います」
「でも、誰が勇者の荷物を盗もうと思うのかしら?魔族もプライドが高いから戦って奪いに来るはずだと思うし…」
確かに、この大陸の人たち全員は天からの召使いと信じられている勇者に敬意を持っており、誰も盗むような『愚か』なことはしない。
「そうだね…例えば勇者だと知らずに盗んだ可能性もあるんじゃないか?」
「その可能性もあるねー。でも、どこにいるんだろう?」
「俺は心当たりが全くないが…」
「あ!そういえば、最近冒険者協会の依頼でルスト付近の盗賊団討伐が出ていたわ。場所は確か、ルスト北のレスター鉱山だった気がするわ」
「じゃあ、とりあえずそこに向かって取り返すか」
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※三人称
「ふふふ…これがあれば我が盗賊団も安泰だ…」
北の鉱山で、ある男が座り込んでいた。
彼が持っているのは、勇者が使っているとされる、伝説の聖剣。
男は試しにその件を振り回す。少し重かったが、大量のエネルギーを感じた。
しかし、油断は禁物という。
「失礼します。我がアジトに侵入者が現れました!」
「何!?直ちに探し出せ!」
男はそう叫ぶと、部下は急いでその場を離れた。
そして、男がまた一人に戻ると、彼は舌をなめた。
…後ろの気配に気づかずに。
「全く、愚かなやつだ、この最強の要塞に入るだなーー」
「愚かなのはお前じゃなくて?」
そう男性の声が聞こえた途端、男は意識を失った。
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