第十六話 サイナ=ドエルス
二週間ほど、投稿をお休みします。
「私のことを助けてくれてありがとうございまぁーす。とおっても優しい勇者様ですねぇ」
少女は、助けた時と違い、漆黒の目をしていた。
「オーラが、桁違うにあるね。恐らく、魔王幹部か何かじゃないかな?」
「どうでしょうかねぇ?」
そう言って少女は口をニヤリとさせる。
「とにかく、一気に畳みかけましょう!ソフィアさん、状態異常!」
「おっけー。≪サード・ブラインド≫」
すると、ソフィアの手から、ドス黒い霧が少女を覆った。しかし、
「はい?今、何の状態異常がかかっているんですかねぇ?」
「何なの、こいつ…」
何事もなかったかのように霧は透明に変わる。
「まあ、いいです。≪エンチャント・ファイヤー≫、≪エクスプロージョンアロー≫!」
そしてオリビアの弓から大量の火に覆われた矢が彼女に向かう。そして、そのまま爆発し、あたりは煙に覆われるが、
「爆発、うるさいですねぇ。鼓膜、破れちゃうじゃないですかぁ」
少女は、全く無傷だった。
「まあ、そろそろ反撃に出ますかぁ。≪エクスプロージョン≫」
彼女がそう言うと、さっきオリビアが出した火の玉の十倍もの火力を出すと、周りの家を燃えつくした。
「だったら私もぶっ放すかー。≪パワーアペンディックスX100≫、≪フレイムフォール≫」
先ほどの少女の爆発を余裕で凌駕するほどの大きさの魔法陣が展開される。
「はい。おっけー、これで大丈夫ですねぇ」
「え?」
しかし、落ちてきた爆発はわずかだった。
「いや、何ですかそのショボい魔法」
「うるさいなー。私もわからないよー」
「いや、彼女が弱体化させたのよ」
「どういうことですか?」
オリビアはそう言うと、首をかしげる。
「そうです、私が弱くしちゃいましたぁ~!残念!」
「やっぱりそうですか。だったら、物理攻撃ですね!」
「わかったわ。一流剣術流派『真剣道』の強さを思い知りなさい!」
ブライドはそのまま一気に大きな剣を振り下ろす。普通よりも数倍のパワーが込められていたが、
「余裕ですねぇ」
と少女は受け止めてしまう。
「何でこんなに強いのよ…あの時助けた時はこんなんじゃなかったはずなのに…」
「いや、当たり前じゃないですか?だって、この少女、あの時の少女じゃないですから」
オリビアのその言葉に、周りは凍りついた。
「そ、それって、どういうこと?」
「言葉のままの意味です。見た目は助けた少女でも、中身は別人だということです。ですよね、レイス」
すると、少女、いや、サイナは口を吊り上げると、
「だい、だい、大せいかぁーい。そうです、私がサイナ=ドエルスです。まあちょっと諸事情ありまして、クレラちゃんの体をお借りしていまぁす」
若干煽りを含んだ口調で、彼女たちにそう言い放った。
「それって、クレラちゃんの意識は…」
「クレラちゃんの、意識ぃ?何言ってるんですか、そんなの気にしたらレイスやっていけませんよぉ?」
「持ち主の魂のことを全く考えずに憑依するだなんて…そんな…」
トレースは、そう言うと歯を食いしばった。
「まあ、彼女は魔王軍レイス部隊大佐だから、勇者パーティのブラックリストの一人ね。とりあえず、ボコボコにして二度とこの体を乗っ取れないようにしてやるわ」
「いや、そうすると肉体も死んでしまうのでは…?」
「大丈夫だと思うよー。除霊に使われる精神魔法があるからねー。」
「じゃあやろっか。このレイス、ちょっとムカついてきた」
「そうですね。ソフィアさん、状態異常!」
そして、オリビアたちはもう一度サイナに対して攻撃を始めたのだった。
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