第十五話 領主と魔物襲撃
「これが…領主の屋敷か…」
俺は、目の前に広がる大きな洋館に、唖然としていた。
「失礼する。ここが領主の屋敷なのか?」
洋館を護衛している兵士に声をかけると、
「確かにここは領主がおられる館だが、お前は誰だ?名乗りをあげぬと、不審者とみなし攻撃するぞ」
想像以上に冷遇された言葉が返ってきた。
なので、俺は鞘の中に入っていた聖剣を取り出し、兵士に見せた。
「最近召喚された勇者だ。今回は領主に用事があってきた。通してくれないか?」
「勇者か…よい、通れ!」
「感謝する」
そう言って俺は館のドアを開けた。
中に入ると、ちょうど領主が玄関の階段を上っていたところだった。
彼は直ちに俺に気づくと、領主は
「おお、今朝あった君じゃないか。どうしたのかな?こんなところに。もしかして、案内してほしい?なら、べ…」
「そんなわけないだろ、人外」
「?」
彼は訳が分からないとばかりに、首をかしげる。
「もうばれてんだよ、魔族スタルフェ=グロース。さっさと観念しろ」
「ほう、僕の本名を知っているとは。君、ただものじゃないね」
「勇者だからな」
すると、領主は、ニヤリと微笑む。
「そうかそうか、君は勇者だったんだな。なら、話が早い」
「どういうことだ?」
「魔王様は人間の地を侵略するためには勇者の不在が不可欠だ。によって、僕は魔物襲撃を行った、勇者の負担を大きくするためにね」
その言葉に、俺は気づいてしまった。
「だったらお前が税金を多めにとったのは、なぜだ?」
「そこまで情報を入手しているとは、やはりただものじゃない。まあ、ただの資金集めだよ。魔王軍を動かすには莫大な金が必要だ。そのお金を愚かな人間たちから搾り取って、僕たち魔王軍の資金にしていただけだよ」
予想通り、彼は魔王軍の資金にしていたみたいだ。
「まあおしゃべりはここまでだ。そろそろ、本題に入ろうじゃないか。まあ、最初は剣だけで戦ってあげるよ、勇者一人じゃ弱いしね」
「言ったな?」
「ああ、言ったよ。お互い、楽しもうじゃないか」
「もちろん、望むところだ」
そして、俺たちはお互い剣を大きな音とともに交差させたのだった。
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(※三人称)
その一方、オリビアたちの魔物襲撃は終わりが近づいてきていた。
「これが最後の魔物っと。ふう、やっと終わったー」
「そうですね。これからどうしますか?」
「飯!まずは飯だ!」
「いや早すぎるでしょ」
相変わらずご飯のことしか頭にないなぁ、とオリビアは思う。
「私にとっては、それよりもしなきゃいけないことがあると思うんだけどなー」
「何だ?」
「いや忘れないで。あの人よ、ケイヤよ」
「ついにケイヤさんを呼び捨てする日が来るとは思ってませんでした…」
「ラブラブだねー」
「ちょ、ちょっとうるさいわね!あんなドSと誰が付き合いたいのよ!…ってとにかくそれは置いといて、かれこれなかなかの時間がたってるんだから探したほうがいいんじゃない、って話よ」
他の二人は彼女のぎこちない反応に本当に好きなのではないか?と思ったが、口には出さなかった。
「そうだね、そろそろ探そっか。でも、どこにいるんだろうねー?」
「そうなんですよね。私の予想だと…いややっぱりわかりません」
「わからないんだったら口に出さなくていいわよ」
早速食べ物を買っているニック以外の三人が考え込んでいると、
「危ないっ!」
という叫び声とともに三人は倒れこんだ。
オリビアたちがもともといた場所をみると、そこには大きな穴が開いていた。そして、間一髪で助けたのは、
「トレース、さん?」
冒険者ギルドで出会ったトレースだった。
「危なかった~。もうちょっとで死んでたよ、君たち」
「助けてくれてありがとー」
「感謝するわ」
「ありがとうございます!」
それぞれが、彼女にお礼を言う。その一方、
「うーん、追尾魔法を付与すればよかったかもしれませんねぇ」
後ろのほうから聞いたことのある声が聞こえた。
四人は声の聞こえた方向を見ると、
「あ、どうも、あの時助けてもらったシリカでーす。今度は殺してあげるから、楽しみにしててね♪」
今朝馬車に乗っていた時助けた少女が、前とは違ってこちらにあからさまな敵意を向けて立っていた。
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