第十四話 領主の謎
「人間じゃ、ない?」
「どういうことだ?」
俺たちは、ブライドが口にした言葉に、戦慄していた。
「言葉通りの意味よ。あの領主は、人間とは言えないオーラを放ってたわ。あれほどのオーラをまとえるのは、魔族ぐらいしかいないんじゃないかしら」
「でも、もし魔族だったらなんで人間の領主なんかしてるんですか?」
確かに、魔族は人間に協力なんてしないはずだ。
「おそらく、人間側の偵察じゃないかしら。過去にも、ある貴族が魔族ということが判明して逮捕されたことがあったわ」
「偵察ってことは…彼は何もしないということか?」
ブライドは首を振る。
「いや、これから私たちに向けて何かをする確率が高いわ。例えばこの街に魔物襲撃を起こす可能性もあるし、または勇者を直接襲いに来る可能性もあるわね。とにかく彼はあなた達をどうにかして排除しに来ると思うわ」
「勇者は魔王討伐の象徴だから、魔王も血眼になって探してる思うしねー」
「じゃあ今すぐこの町を出ていかないといけないじゃないですか!私たちがいたらこの町に害を与えてしまいますよ!」
「いや、もう手遅れよ」
そう言ってブライドは後ろを向く。
すると、ボーと町に深い、いやな予感を彷彿させる不快な音が響いた。
「魔物襲撃が始まったわ。今はとりあえず、町を助けるのが最優先ね」
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俺たちはいったん状況整理のために冒険者ギルドに向かった。ブライドは措置を破っているから外でこそこそしている。
「冒険者たち、いったん落ち着け!俺たちは王都から来た勇者だ!」
俺がそう叫ぶと、混乱に包まれていた冒険者ギルドはしーんと静まり、
「今からこのスタンピードにどうやって立ち向かうか、会議をします。ランクA以上のパーティのリーダーは前に出てきてください」
とオリビアが沈黙を破った。
すると、十人ほどの冒険者が俺たちに近づいてきた。いずれも独特な雰囲気を放っている。
「集まりましたね。受付さん、会議室を使わせてもらえませんか?」
「勇者様方なら、是非お使いください。ギルドマスターも収集します」
「ありがとうございます。では、行きましょう」
そして向かった会議室は、地方の割には大きな部屋だった。円形のテーブルが存在感を放っている。
各々が席に着き、全員が座り終わったところで、俺は口を開いた。
「最初に、自己紹介をする。まずはそこの人からお願いできるか?」
そう言って俺は左端に座った、ガタイのあるガラの悪そうな男を指さす。
「ああ。俺はAランクパーティ「ファイヤーパンサー」のリーダー、グレンだ。よろしく」
彼が自己紹介をすると、次に隣にいた無駄に色気のある女性が口を開いた。
「私はA+ランクパーティ『フラウ』のリーダー、フェンよ。よろしくね♡」
ちなみに俺はこういうタイプの女性が苦手だ。あのハートに吐き気がする。
その後も7人くらいが自己紹介をし、
「じゃあ次は私かな?Sランクパーティ『ジェネシス』のリーダー、トレースです。よろしくお願いします!」
最後にポニーテールの明るそうな女の子が自己紹介をする。
「もう知っていると思うが、俺たちはこの世界に召喚された勇者だ。俺の名前は高安慶也だ。気軽にケイヤとでも呼んでくれ」
「オリビア・ステートです」
「ニック・ピーターソンだ。よろしくな!」
「さあ、そろそろ本題に入る。この地図を見ろ」
俺がそう言って地図を壁に貼ると、筆記道具で地図の右上をマークした。
「今魔物がいるのは、この町からしばらく離れた林周辺だ。この群れがカプリに到着するまであと一時間半程ある。その間、各方面の防衛をするために冒険者たちを配置したり、整理をしてくれ。よろしく頼む」
「次に、冒険者たちの配置について話したいと思います。ここの……」
その後は戦略などを話して、約1時間話し合った。
「じゃあ早速、実行してくれ。よろしく頼む。
俺がそう言うと、パーティリーダーたちは全員部屋を出ていった。
「私たちはこれからどうしますか?」
「状況をもう少しつかんだほうがいいんじゃないかなー。一旦魔物の群れの大きさを把握しよっかー」
「そうか。がんばれよ」
俺がそういうと、理解できないとばかりにオリビアが、
「ケイヤさんも一緒に来ないんですか?」
と返した。
「たぶん食いたい飯があるんだろ。その気持ち、よくわかるぜ!」
「ないわ。あとお前常に食べ物だな。まあとにかく、少し気になることがあってな。あとで戻るから心配すんな」
「わかりました。先行ってますね」
「ああ」
そう言って俺は速足で向かったのだった。
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