第十三話 表と裏
馬車を降りると、のどかな風車の見える、小さな街並みが視界に入った。
「これがカプリですか…時間の流れが遅いですね」
「店は…ねえな」
「いやさっき馬車で食べたばっかだろ」
「家はどこにあるの…ってあの子は?」
ん?確かに、さっきの少女はいなくなっていた。
「もう家に帰ったんじゃないー?」
「その可能性はありますね。まあ、一件落着ということで、少しこの街を観光しますか?」
「そうだな。休憩しようって話だったからな」
「じゃあ早速あそこの市場に行こうぜ!お腹すいたー」
「まだ諦めてなかったんですね…」
そして市場の中に入り、あたりを見渡す。
市場は想像以上に人が多かった。
王都の市場ほどではないが、20M先がギリギリ見えないほどの人が歩いていた。
しかし、なぜか活気なさそうに見えた。
「なんだか、ちょっと活気がないですね」
オリビアも同じことを考えていたみたいだ。
「お、うまそうな焼き鳥だな。焼き鳥一つお願い!」
「まいどさんー」
「おい、何勝手に買い物してんだよ!」
俺は急いでニックのもとに向かう。
「すいません、さっきのことはな…」
「ここで何があったんですか?皆さん、あまり元気じゃなさそうですが…」
オリビアが俺の言葉を遮る。
「ああ、実はねぇ、最近女王様が私たちにやさしくなくて…税金が高いのよ…」
「また女王か!あいつ次あったらマジで覚えてろよ…!」
「いや、女王は関係ないと思うよー。税金の管理は女王はしないからねー」
あ、そうか。そういえば女王は税金の集計だけを担当するんだったな。くそっ、あいつ関係ないじゃねーか。
すると、市場にファンファーレのような音が響いた。
「…って、噂をすれば領主の登場みたいね」
とブライドが指をさしながら言うと、俺は市場の入口近くを見つめた。
すると、数十人の兵士を連れた、いかにもモテそうな雰囲気を放った若い男が視界に入った。あれが領主だろうか。
彼は店の人々にニコニコ顔で挨拶すると、こちらに向かってきた。
「おっと、見慣れない人たちだね。カプリにようこそ、ここを案内しようかい?」
「少しだけ長旅の休憩に来ているだけなので、大丈夫です」
「そうか、わかった。カプリの町を楽しんでね」
「ありがとうございます」
そして、彼はそのまま市場の奥のほうに向かっていった。
「いい人にしか見えないですが…」
「でも、税金の管理は領主に任せているから、税金が高いとするなら彼が悪行をしているんじゃないかなー」
「だったら、あいつは黒だな」
「そうだね。何か不可抗力が彼にかかってる可能性もあるけどねー」
確かにその可能性も否めないな。
「ちょっと待って、あれってもしかして…うん、たぶんそうね」
「どうしたんだ?」
彼女は途端に深刻そうな顔をする。
「冒険者としての勘なんだけど…
あの領主、人間じゃない」
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