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第32話『ご奉仕し合う甘い夜』

 お風呂から上がり、自室にいる芹花姉さんにお風呂が空いたことを伝えてから、俺の部屋に戻った。

 ドライヤーを使ってお互いの髪を乾かしたり、結衣と一緒に結衣がいつもやっているストレッチしたり。結衣はスキンケアもした。


「これでストレッチは以上だよ」

「ああ。ストレッチ気持ち良かった」

「良かった。夕ご飯にカレーを食べたし、入浴してマッサージもしたし、ストレッチもしたから疲れが取れたよ」

「俺もだ」


 これで、いつも通り、結衣と一緒にお泊まりの夜を楽しめるな。


「これからどうしようか?」

「そうだね……今は午後9時40分過ぎか。……確か、月曜日って悠真君も私も好きな日常系のアニメがあったよね」

「ああ。午後10時半からだったな」

「だよね。そのアニメをリアルタイムで観たいな」

「それいいな。分かった」

「ありがとう!」


 結衣は嬉しそうな笑顔でそう言う。2人とも好きなアニメをリアルタイムで一緒に観るのは、お泊まりだからこそできることだもんな。これまでのお泊まりでも、何度かリアルタイムでアニメを観た。


「じゃあ、それまでは……昨日の深夜に録画したアニメを観るか。日曜の夜は結衣も俺も好きなラブコメアニメを放送してるし」

「うんっ! そうしよう!」

「決まりだな。じゃあ、帰りにコンビニで買ったお菓子を食べたり、飲み物を飲んだりしながら観るか」

「それがいいねっ」

「ああ。じゃあ、飲み物を持ってくるよ。結衣は何がいい?」

「そうだね……ホットコーヒーがいいかな。ブラックで。夜だから涼しいし、買ったのは甘いお菓子だから美味しく飲めそう」

「ホットコーヒーだな、了解。じゃあ、持ってくるからゆっくりしてて」

「はーい」


 その後、俺が淹れたブラックのホットコーヒーを飲んだり、昨日の帰った後に近所のコンビニで買ったお菓子を食べたりしながら、昨晩録画したラブコメアニメと、午後10時半からは日常系アニメをリアルタイムで観た。

 どちらのアニメも好きな作品だし、結衣と一緒にキャラクターやストーリーのことについて語りながら観たのでとても盛り上がった。結衣と話しながらアニメを観ることはこれまでにたくさんしてきたけど、本当に好きな時間だなぁって思う。

 また、結衣は俺が淹れたホットコーヒーを美味しそうに飲んでいて。そんな結衣を見るととても嬉しい気持ちになった。


「今週も面白かったね!」

「面白かったな。あっという間だった」


 日常系アニメをリアルタイムで観終わったとき、俺達はそんな感想を言った。面白かったし、結衣と一緒に観られたから凄く満足感がある。


「面白かったし、悠真君と一緒に観たから凄く満足してる!」

「俺も同じことを思ったよ。嬉しいな」

「悠真君もなんだね。私も嬉しい」


 結衣は白い歯を見せながら嬉しそうに笑う。そして、キスしてきた。キスした瞬間に結衣の口元からコーヒーや甘いお菓子の匂いが感じられた。

 少しして、結衣の方から唇を離した。至近距離で目が合うと、結衣はニコッと笑って。本当に可愛いな。あと、キスしたのもあって結構キュンとなった。


「ねえ、悠真君。そろそろ……えっちしたいな。悠真君と一緒に夜の時間を過ごして、えっちしたい気持ちが強くなってきてて。それに、これまでお泊まりの夜はえっちしてるし」


 頬を中心に赤みを帯びた笑顔でそう言ってくる結衣。えっちのおねだりをしてくるのもあり、可愛いだけじゃなくて艶っぽさも感じられて。ドキッとする。

 結衣の言う通り、これまでお泊まりしたときは夜に肌を重ねている。夏に伊豆へ旅行に行ったときも、泊まった部屋が結衣と2人きりの部屋だったのでその日の夜にも。


「ああ、もちろんだ。俺もしたい気分だ。お泊まりでは毎回しているから、今夜もしたいと思ってたんだ」

「そうだったんだね。嬉しい。今夜もしようね!」

「ああ」

「ただ……悠真君に一つお願いしたいことがあって」

「なんだ?」

「……文化祭で着ていた執事服を着てほしいな。私もメイド服を着るから。それを着てえっちしたいです」

「おぉ……」


 俺は執事服、結衣はメイド服を着てのえっちか。結衣のメイド服姿はとても似合っていたのもあり、そそられるものがある。それに、夏休みの最後で結衣の家でお泊まりしたとき、ディスカウントショップで買ったメイド服を着た結衣と肌を重ねたからな。あのときはとても良かった。


「執事服とメイド服を買ったから、いつかはそれを着てえっちしたいなって思ってたんだ。夏休み最後のお泊まりでは、私がディスカウントショップで買ったメイド服を着てえっちして、それがとても良かったし」

「俺もそのお泊まりでのことを思い出していたよ。じゃあ、昨日……お泊まりしようって決めたときには、夜に衣装を着てえっちしたいと考えていたんだ」

「うん、そうだよ」

「……本当に結衣らしいな」

「ふふっ。それに、昨日、悠真君は執事服を持って帰ったしね」

「そうだったな」


 ギターの入ったケースと一緒に家に持ち帰ったっけ。ケースは背負う形なので、執事服を持って帰るのは大変ではなかった。


「だから、今日のお泊まりで服を着てえっちできるかなって思って」

「なるほどな。……じゃあ、結衣はメイド服を持ってきたんだ」

「うん」


 結衣は可愛い笑顔で首肯する。


「執事服は今すぐに着られる?」

「着られるよ。そこのクローゼットに入っているから」

「そっか! ……改めて言うね。悠真君は執事服、私はメイド服を着ながらのえっちしたいです。どうですか?」


 真剣な様子で俺のことを見つめながら結衣はそう問いかける。その答えはもちろん、


「ああ、いいぞ。俺もしたい」


 OKに決まっている。文化祭で着ていたメイド服姿の結衣は可愛かったし。それに、執事服を着ることなんて朝飯前だ。


「ありがとう、悠真君!」


 結衣はとっても嬉しそうな笑顔でお礼を言った。

 その後、俺は執事服に、結衣はメイド服へと着替えていく。

 これまで、結衣がメイド服に着替えたのは学校の女子更衣室だった。だから、結衣がメイド服を着るところを見るのは初めてで。しかも、肌を重ねるために着るのもあって、かなりドキドキする。体が段々と熱くなるのを感じながら執事服を着ていった。


「よし、着替え終わった」

「私も着替え終わったよ」


 目の前には一昨日や昨日の文化祭でたくさん見たメイド服姿の結衣がいる。本当によく似合っていて可愛いな。

 こんなにすぐに、メイド服姿の結衣をまた見られるとは思わなかった。嬉しいな。それに、今までは他の人も結衣のメイド服姿を見ていたけど、今は見ているのは俺だけ。その状況が嬉しい気持ちを膨らませてくれる。


「悠真君、今日も似合ってるよ。かっこいい!」

「ありがとう。結衣も似合ってるよ。可愛いよ」

「ありがとう! 写真撮ってもいい?」

「ああ」


 結衣のスマホで、メイド服姿の結衣と執事服姿の俺のツーショット写真を何枚も撮影した。


「悠真君、ありがとう。思い出がまた増えた」

「いえいえ」


 俺がそう言うと、結衣は俺のことを抱きしめ、その流れでキスしてきた。

 メイド服姿の結衣がしてくれるキスだから、いつも以上に心地良くて。シャンプーやボディーソープの匂いが混ざった結衣の甘い匂いがとても良くて。気持ちが高ぶってくる。だから、結衣のことを抱きしめて、結衣の口の中に舌を入れ込む。


「んんっ」


 舌を入れた瞬間、結衣はそんな甘い声を漏らして、体をピクッと震わせる。そんな反応も可愛くて、ますます興奮してくる。

 それから少しの間、結衣と舌を絡ませるキスをした。結衣の舌の生暖かさや独特な感触が気持ち良くて。結衣の口から感じられるコーヒーやお菓子の味が美味しくて。

 舌を絡ませるキスをして、結衣から唇を離した。

 結衣は頬を上気させていて。少し呼吸が乱れていて。唇がお互いの唾液で湿っていて。それがとても艶やかで。


「凄くいいキスだったよ。悠真君から舌を絡ませてきたからビックリしちゃった」

「メイド服姿の結衣が可愛いし、キスしたのに興奮してさ」

「ふふっ、そっか。今は悠真君だけのメイドさんだよ。……悠真様に夜のご奉仕をしたいです」


 結衣はとても甘い声でそうお願いしてくる。笑顔が可愛いし、「悠真君だけのメイドさん」という言葉もあって、俺の心は鷲掴みされる。


「ああ。俺も結衣お嬢様に夜のご奉仕をしたいです。結衣お嬢様だけの執事ですから」

「うんっ。じゃあ、ご奉仕し合いましょうね。悠真様」

「はい。結衣お嬢様」


 そう言い、今度は俺からキスをした。




 それからは主にベッドの中で、結衣と俺はたくさん肌を重ねた。ご奉仕し合った。

 メイド服姿の結衣はとても可愛くて。文化祭では多くの人達に接客していたメイド服姿の結衣としているのもあって凄く興奮する。それに今、の結衣は俺だけのメイドさんだしな。あと、結衣が「悠真様」と様付けで名前を言ってくれるときもあるから。

 結衣はこれまで以上に積極的で。リードしたり、体を激しく動かしたりして。それがとても可愛くて。そして、気持ち良くて。

 メイド服姿の結衣もとてもいいけど、結衣の綺麗な体を見たい気持ちや、肌と肌で直接触れ合いたい気持ちもあって。結衣も同じ気持ちだと分かり、途中からはお互いに服を脱がして肌を重ねていった。

 好きな気持ちや気持ちいいことをたくさん言葉にし合ったり、唇を中心にたくさんキスしたりして、気持ちのいい時間を過ごしていった。




「今夜も気持ち良かったですね、悠真様」


 たくさん肌を重ねた後、ベッドで向かい合う形で横になって結衣はそう言った。今は服を全て脱いで裸の状態だけど、肌を重ねる前にご奉仕し合おうと言ったからメイドさん口調で言ってみたのかもしれない。可愛いな。


「ええ。気持ち良かったですね、結衣お嬢様」


 結衣に合わせて、俺は執事らしい口調で答えた。それが良かったのか、結衣は可愛い笑顔で「ふふっ」と笑う。あと、お腹まで布団を掛けているので、見えているのはお腹から上だけだけど、ベッドライトに照らされた結衣の体がとても綺麗だ。


「服を着てするのも、裸でするのも良かったね」

「そうだな」


 服を着て肌を重ねるのがとても良かったから、メイド服や執事服を見たり、それらを着ている俺達の写真を見たりしたら、文化祭のことだけでなく、今回肌を重ねたときのことを思い出しそうだ。


「今夜の結衣はこれまで以上に積極的で激しかったな」

「うんっ。執事服姿の悠真君がかっこよかったし。それに、文化祭を通じて悠真君のことがもっと好きになったからね。執事として接客したり、ライブで弾き語りしたりした悠真君がかっこよくて。ライブ終わりには私に大好きだって言ってくれて。写真を撮りたがる人から助けてくれて。悠真君との文化祭デートが楽しくて。後夜祭や打ち上げも楽しかった。他にも悠真君にキュンとなることがいっぱいあって。だから、悠真君を求めたくなって、これまで以上に激しく体が動いてた。気持ち良かったしね」

「なるほどな。結衣らしいし、嬉しいよ」

「ふふっ。……悠真君だって、いつも以上に激しかったよ」

「俺も結衣と同じだよ。メイド服姿の結衣が可愛かったし。俺も文化祭を通じて結衣のことがもっと好きになったから。喫茶店や屋台で頑張って接客したり、デートや後夜祭や打ち上げを楽しんだり、弾き語りライブを楽しんでくれたりしたからさ。大好きだって言ったら、私も大好きだって返事してくれたのが嬉しかったし。あとは、結衣と肌を重ねるのが気持ち良かったのもある」

「そっか! 悠真君がそう言ってくれて嬉しいよ!」


 結衣はニコッと笑いながらそう言う。

 高校生になってから初めての文化祭を通して、結衣のことをもっと好きになれた。結衣も同じで嬉しい。


「ふああっ……」


 結衣と一緒にたくさん体を動かしたから、急に眠気がきた。

 俺が大きなあくびをしたからか、結衣は「ふふっ」と笑う。


「眠くなった?」

「ああ。たくさん体を動かしたからな」

「ふふっ、なるほどね。私も眠くなってきたよ」


 やんわりとした笑顔で言い、結衣は「ふああっ」とあくびをする。あくびも可愛いな。


「じゃあ、そろそろ寝るか」

「うん。あと、悠真君の腕を抱きしめて寝てもいい?」

「もちろんさ」

「ありがとう」


 これから寝るので、掛け布団を結衣の肩のあたりまでかける。腕を抱きしめやすいように、俺は仰向けの状態になる。

 その直後、結衣は俺の左腕をしっかりと抱きしめてくる。結衣の温もりや体の柔らかさが直接感じられてとても気持ちがいい。


「悠真君の腕を抱きしめるの……いいな。温かいし、いい抱き心地だよ。だから、もっと眠くなってきた。今夜もよく眠れそう」

「そっか。嬉しいな。抱きしめられるのが気持ちいいから、俺もよく眠れそうだ」

「そっか! ……おやすみなさい、悠真君」

「おやすみなさい、結衣」


 そう言葉を交わして、結衣からおやすみのキスをした。肌を重ねる中で唇にたくさんキスしたけど、キスは何度もしてもいいなって思える。

 少しして結衣から唇を離すと、結衣はすぐに目を瞑った。さっそく寝息を立て始めて。寝姿も可愛いな。

 ベッドライトを消して部屋を真っ暗にした後、俺も目を瞑る。

 体をたくさん動かしたことの疲れがあったり、結衣に腕を抱きしめられていることやベッドの温もりが心地良かったりするのもあって、すぐに眠りに落ちていった。

読んでいただきありがとうございます。

明日公開のエピローグで、2学期編3は完結する予定です。最後までよろしくお願いします。

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