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プロローグ『遊園地デートしたい』

2学期編2




「ふぅ……」


 9月6日、金曜日。

 夜。

 夕食を食べてすぐに、俺・低田悠真(ひくたゆうま)はお風呂に入っている。

 普段は最後に入浴することが多い。ただ、今夜は両親はテレビ番組の特番を観ており、芹花(せりか)姉さんは午後9時までファミレスのバイトがある。そのため、今日は夕食を食べ終わってすぐに一番風呂に入っているのだ。


「気持ちいいな……」


 湯船に浸かり、脚を伸ばすととても気持ちがいい。9月になってから1週間ほどが経ち、朝晩は涼しいと思える日が増えてきたからだろうか。お湯の温かさがとても心地良く感じられるし。


「今週も終わったな」


 今日で、高校1年の2学期の最初の1週間が終わった。

 曜日の関係で2学期は月曜日からのスタートだった。ただ、クラスには恋人の高嶺結衣(たかねゆい)と友達の伊集院姫奈(いじゅういんひな)さん。隣のクラスには友達の華頂胡桃(かちょうくるみ)もいるし、俺のクラスの担任の先生はプライベートでも親交のある福王寺杏樹(ふくおうじあんじゅ)先生。1学年上には、バイトでもお世話になっている中野千佳(なかのちか)先輩もいる。彼女達のおかげで、2学期のいいスタートを切られたと思う。

 最初の週から5日間登校したけど、あっという間に感じられた。初日はお昼で終わったり、放課後デートで胸のカップが大きくなった結衣の下着を買ったり、芹花姉さんが風邪を引いて看病したり、新曲を制作して低変人(ていへんじん)として動画サイトに公開したりと盛りだくさんだったからだろうか。あとは、福王寺先生が学校でも素のモードで接するようになったのもあるかも。


「こうして振り返ると、この1週間は色々なことがあったな」


 来週はどんなことがあるのか楽しみだ。そう思えるのも、結衣達と一緒に学校生活を送っているからなんだろうな。中学までとは大違いだ。

 今週は2学期がスタートして久しぶりに学校へ行ったり、何日かはバイトをしたりしたので、ちょっと疲れが溜まっている。だから、普段よりも長めに湯船に浸かった。

 疲れを感じなくなったところで俺は風呂から出る。浴室から洗面所に出ると肌寒く感じられた。こういうところからも、季節の移ろいを実感する。

 寝間着に着替え、リビングにいる両親にお風呂が空いたことを伝えて、俺は自室に戻った。

 ドライヤーを使って髪を乾かした後、


「結衣達から何か来てるかな……」


 と、スマホを手に取る。5月に結衣に告白されて、結衣達と関わるようになってからは、このタイミングでスマホをチェックすることが習慣になっている。結衣を中心に、夜にメッセージや電話をすることがあるから。

 スマホのロック画面を解除し、ホーム画面を見ると……LIMEというSNSアプリの通知アイコンが表示されている。通知一覧を表示すると、LIMEで結衣から写真が届いているという通知が。何の写真だろう? 気になりながら通知をタップすると、結衣との個別のトーク画面が開き、


『悠真君。今度の日曜日……私と一緒に東都(とうと)ドームタウンへ遊びに行かない? お父さんが会社の人から、使用期限が近い1日フリーパスのペアチケットをもらってきて。家族みんな、悠真君とのデートに使いなよって言ってくれて。だから、悠真君と遊園地デートしたいです』


 というメッセージと、東都ドームタウンのフリーパスのペアチケットの写真が表示された。20分ほど前に届いていた。写真を拡大してみると……使用期限が9月30日までと記載されている。

 ちなみに、東都ドームタウンというのは、東京都心にある遊園地のことだ。正式名称は『東都ドームタウンアトラクションズ』だったかな。都心という立地やアトラクションがたくさんあることから、人気の高い行楽施設の一つだ。俺も小学生のときに家族で遊びに行ったことがある。

 今週末は土曜日にバイトがあると結衣に伝えてあるだけで、日曜日の予定は特に決めていなかった。そんな中で、父親の卓哉(たくや)さんが遊園地のフリーパスペアチケットをもらってきて、家族みんなが俺とのデートに使っていいと言ってもらえたら……遊園地デートに誘いたくなるよな。あと、結衣の御両親も妹の柚月(ゆづき)ちゃんも優しい方達だなと思う。

 結衣からの遊園地デートの誘いはもちろん、


『風呂に入っていたから、今気付いたよ。遊園地デートいいな。日曜日は一緒にドームタウンに遊園地デートしよう』


 と返信した。

 結衣はこのトーク画面を見ているようで、俺が送ったメッセージにはすぐに、相手がメッセージを見たことを示す『既読』マークが付く。


『やった! 嬉しい! じゃあ、日曜日は遊園地デートに決定だね!』


 というメッセージが結衣から届き、その直後に『ワクワク』という文字付きの笑顔の三毛猫のイラストスタンプが届いた。結衣の嬉しそうな笑顔がパッと頭に思い浮かぶよ。


『そうだな。日曜日が楽しみだ』

『私も! 悠真君と一緒に遊園地に行くのは初めてだし』

『そういえば……そうだな』


 これまでに結衣とはたくさんデートをしてきたけど、遊園地デートは今まで一度もなかったな。俺はもちろん、結衣もインドア系のことが好きだからかな。どちらかの家でお家デートして、2人とも好きなアニメを観るのが定番だし。映画やプール、花火大会、同人誌即売会など結衣と一緒に出かけることもあったけど、遊園地はまだなかったな。


『初めてだって思うと、より楽しみな気持ちになってきた』

『ふふっ、そっか。楽しみな気持ちになってくれて嬉しいよ!』

『ははっ。誘ってくれてありがとう』

『いえいえ。それに、チケットをくれた方と、私達がデートに使っていいって言ってくれたお父さん達のおかげだよ』

『確かに……そうだな』


 結衣のご家族とは全員連絡先を交換しているし、あとでお礼のメッセージを送っておくか。


『じゃあ、日曜日は一緒に遊園地を楽しもうね!』

『ああ、楽しもうな!』


 結衣との初めての遊園地デート……楽しみだな。

 その後、結衣のご家族に、東都ドームタウンのペアチケットを譲ってくれたことのお礼のメッセージを送る。すると、すぐに3人から結衣との遊園地デートを楽しんできてと返信してくださった。3人の優しさが伝わってくる。

 結衣と遊園地デートをする日曜日が待ち遠しいな。

 遊園地デートを満喫するためにも、今日の授業で出た課題を終わらせてしまおう。そう決めて、俺は勉強机に向かうのであった。

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