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第6話『プレゼント選び』

 昼食を食べた後は、結衣の希望で、花宮駅に直結しているショッピングモールの中にあるアニメショップ・アニメイクへ。

 そういえば、胡桃と3人で映画を観に行ったときにも立ち寄ったっけ。また、個人的には花宮に来たときに立ち寄る定番のお店である。

 漫画やラノベの新刊コーナーを中心に見ていく。

 漫画の新刊コーナーでは結衣が読んでいる漫画の最新巻、ラノベの新刊コーナーでは俺の好きな作家の最新作が置かれていた。そのため、俺達はそれぞれ自分の買いたい本を購入。結衣の買った漫画には、特典でポストカードが付いてきたので、結衣はとても嬉しそうにしていた。




 午後3時過ぎ。

 俺と結衣は武蔵金井駅に戻ってきた。自宅も学校もバイト先も恋人の結衣の家も金井市にあるため、地元に戻ってくるとかなりの安心感が。

 結衣が胡桃への誕生日プレゼントを買うために、俺達は北口の方にあるショッピングセンター・エオンへ。エオンの中に入ると、涼しくてとても快適だ。


「さあ、エオンだね。ここで胡桃ちゃんへの誕生日プレゼントを買えたらいいなって思ってる」

「そうか。俺で良ければ協力するよ」

「ありがとう!」

「ちなみに、今の時点では胡桃にどんなものをプレゼントしたいと思っているんだ?」

「猫絡みのものか、スイーツがいいかなって。胡桃ちゃんは猫と甘い物が大好きだから」

「なるほどな。胡桃はスイーツ部に所属しているし、猫カフェに行ったときも楽しそうだったもんな」


 エオンには色々な専門店があるから、胡桃が喜んでもらえるようなプレゼントを買えそうな気がする。


「ちなみに、悠真君はプレゼントってもう用意した?」

「用意したよ。『ひまわりと綾瀬さん。』の綾瀬さんのフィギュア。クレーンゲームで取ったんだ」

「胡桃ちゃんは綾瀬さんが大好きだもんね。クレーンゲームで取るのが悠真君らしいな。杏樹先生にプレゼントした猫のぬいぐるみもクレーンゲームで取ったものだし」

「クレーンゲームは得意だからな。俺のゲットしたフィギュアはゲーム限定デザインだし、胡桃も喜んでもらえるかなと思って。……あとは、福王寺先生のようにあっちとして新曲もプレゼントするつもり」

「そうなんだ。誕生日になったら、胡桃ちゃんにお願いして聴かせてもらおうっと」


 結衣は微笑みながらそう言う。

 俺が言った『あっち』というのは、俺がネット上で音楽活動をするときの名前・低変人(ていへんじん)のこと。有り難いことに、低変人として動画サイトに公開している作品は若い世代を中心に多くの人に聴いてもらっている。広告収入でお金を稼げている。ただ、家族や結衣など一部の人以外には、素顔を含めた低変人の正体を伏せている。そのため、周りに多くの人がいるこの場では『あっち』と言ったのだ。


「ちなみに、去年までは胡桃ちゃんにどんなものをプレゼントした? 参考までに教えてほしいな」

「ネットの友人の桐花(とうか)さんに向けてプレゼントしていたからなぁ」


 胡桃とは中学時代に出会った。ただ、2年以上前から『桐花』と名乗る胡桃とネット上での交流がある。ただし、今年の6月頭まで『胡桃=桐花さん』だとは知らなくて。だから、去年まではネット上の友人・桐花さんに向けて誕生日プレゼントを贈っていた。


「一昨年はおめでとうのメッセージ。去年は音楽配信サイトの1000円分のギフトコードだな。好きなアニメの主題歌や、誕生日周辺に胡桃の好きなアーティストの新曲が配信リリースされたから」

「そうなんだ。素敵なプレゼントだね」


 朗らかに笑顔で結衣はそう言った。

 一昨年も去年もプレゼントを贈ったら、胡桃は『ありがとう! 嬉しい!』ってすぐに返信をくれたっけ。


「そういうプレゼントも魅力的だけど、今回はフィジカルなプレゼントにしようかな。誕生日当日にはパーティーがあるし。まずは……猫絡みのものを考えようかな」

「そうか。猫絡みっていっても色々あるよな。猫そのものだと写真集やぬいぐるみ。あとは……猫柄のハンカチやマグカップ、スリッパとかの生活雑貨も良さそうか」

「生活雑貨いいかも! 可愛いものを気軽に使ってもらえたらいいなって」

「そっか。とりあえずの方針が決まったな。じゃあ、Laft(ラフト)に行ってみるか」

「そうだねっ」


 結衣は明るい笑顔で返事した。

 ちなみに、Laftというのは、生活雑貨を幅広く取り扱う専門店。全国に展開しているチェーン店であり、エオンの中にもある。ここ何年かは猫人気がかなりあるし、プレゼントに良さそうな可愛らしいものが売っているんじゃないだろうか。

 俺達は2階にあるLaftに向かう。

 店内にはお客さんの姿がちらほらと。生活雑貨を幅広く取り扱っているお店だからか、年齢や性別は様々だ。俺達のようなカップルらしき姿も見える。

 俺達の近くにはスリッパやタオルが陳列されている。単色のシンプルなものから、花柄の可愛らしいデザインのものまである。その中に、


「おっ、猫柄のバスタオルがある」

「可愛いね! ……あっ、あっちには猫の耳が付いたスリッパもあるよ!」

「……おっ、本当だ。面白くて可愛いデザインだな」

「そうだね! ここなら、プレゼントに良さそうな雑貨を買えそう!」

「そうだな。雑貨はもちろん、文房具とかも売っているからもっと見てみようか」

「うんっ!」


 俺と結衣はLaftの中を見ていく。

 昨今の猫人気から、猫柄の生活雑貨は売っていると思っていたけど……想像以上に色々なものが売られている。ハンカチやペンケース、クリアファイルなど胡桃へのプレゼントに良さそうなのがいっぱいある。結衣も猫好きなのもあり「かわいい~」と手に取ることが多い。


「Laftに来てから、結衣は凄く楽しそうだな」

「うんっ! 猫柄の可愛い雑貨がたくさんあるからね。あと……悠真君とこういう生活雑貨を見るのって初めてだし。悠真君と一緒に暮らし始めたら、たまにこうして生活に必要なものを買いに来るのかなって考えてた」

「……そうか」


 可愛いことを考えているんだなぁ、結衣は。結衣の頭を優しく撫でる。

 結衣の言うように、一緒に暮らすようになったら、定期的に生活雑貨を買いに来るんだろうな。あれ良さそうとか、こっちの方がいいかもとか話しながら。……想像したら俺も結構楽しくなってきた。

 それからも、俺達はLaftの中を見ていく。


「……これいいかも」


 そう言って結衣が立ち止まったところにあるのは……マグカップ。マグカップにも猫柄のものが複数ある。


「マグカップか。いいと思う。これまでメッセンジャーで胡桃と話しているとき、コーヒー美味しいとか紅茶美味しいってメッセージをしてくることがあったし。マグカップを使うことは結構あるんじゃないかな」

「そうなんだ! じゃあ、マグカップにしようかな。……これが特に良さそう」


 結衣が手に取ったのは白いマグカップ。三毛猫や黒猫、黒白のハチ割れ猫のイラストが描かれていて可愛らしい。胡桃が気に入りそうだ。


「可愛いマグカップだね!」

「そうだな」

「あと、持ちやすくて軽いから使いやすそう。……あっ、底裏に貼ってあるシールを見たら、レンジ対応だって」

「おおっ、それはいいな」


 寒い時期を中心に、電子レンジで温めて飲むこともあるからな。レンジ対応ならより使いやすいだろう。


「私、このマグカップにするよ!」

「いいと思う」


 俺がそう言うと、結衣は嬉しそうな様子で頷く。胡桃への誕生日プレゼントが決まって良かった。

 結衣は猫柄のマグカップと、ラッピングのために桃色の巾着バッグを購入した。


「いいプレゼントを買えて良かった! 喜んでくれるといいなぁ」

「きっと喜んでくれるよ」


 そう言って結衣の頭を優しく撫でると、結衣は柔らかな笑みを浮かべて「うんっ」と頷いた。あのマグカップをもらったら、きっと今の結衣のような可愛い笑顔を見せてくれるさ。


「悠真君。一応、お菓子の方も見ていい? 良さそうなお菓子があるかもしれないから」

「いいぞ。行こうか」


 その後、俺達は1階に降りて、エオン直営の食料品売り場やスイーツ系の専門店を見ていく。

 すると、洋菓子の専門店で胡桃の実入りのクッキーを発見。結衣曰く、胡桃はクッキーが大好きとのこと。また、名前繋がりで面白そうだという理由で、結衣は胡桃入りクッキーを購入した。 


「いいお菓子も買えたし、これでプレゼント選び終了! 付き合ってくれてありがとう、悠真君!」

「いえいえ。一緒に生活雑貨やお菓子を見ていて楽しかったよ」

 ――ぐうっ。


 楽しかった、と言ったときに結衣のお腹が鳴った。本人もそれが分かっているようで、俺を見ながらはにかんだ。そんな姿も可愛くて。


「お昼ご飯を食べてから2時間以上経っているからかな。お腹空いてきた」

「ははっ、そうか。……今は4時過ぎか。午後のおやつにいい時間だな。俺も腹が空いてきた。じゃあ、アイスでも食べに行くか」

「そうだね!」


 その後もアイスを食べたり、ゲームコーナーに行ってクレーンゲームをしたりと、結衣とのデートをたっぷりと楽しんだ。

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