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栗林家の家族旅行記3 湯西川  作者: 栗林 與志晴
5/11

猊鼻渓

 猊鼻渓には予定通り12時に到着、20分程待つ。案内所に掲げてある船頭さんの写真、揃いの半被を着て三段で写っている。数えてみたら27人いる。女性も二人、年季の入っていそうな人から若い人まで。船着き場には長さ17,8メートル幅1.5メートル程の底が平らな舟が6艘、定員は40から60人程。


 12時20分乗船、1時間30分程の遊覧を楽しむ。乗客は30数人、私達は前の方に席を取る。売り子が来て、食べ物や飲み物を薦める。出発の声、船頭さんが船縁から手を離して、と。


 何せぎっちりと舟が詰まっているので、手を掛けていると、隣の舟に手を挟まれるから。長さ4メートル弱の竿1本で、ぐいと川底を押せば舟はゆっくりと岸を離れる。日差しは柔らかだ、昨年最上川の舟下りは暑かったが、風も少し吹いて何とものどかだ。


 船頭さんが、今から上流に向かっていくだ、舟下りではなく舟上りなんだ、結構疲れるだ、と東北弁で笑わせる。あそこに鳥がいるだ、と左前方を見れば櫓から写真を撮っている人がいる、船頭さん、写真とりだ、と、皆どっと笑う。


 猊鼻渓は東北大地震や昨年の豪雨で、川底に大量の土砂が堆積し、そのままでは観光にならないので、ショベルカーでさらいその土砂が所々積み上げたことにより、風情が少し損なわれているので、船頭さんも幾分恐縮気味に近じか堆積物を運ぶ予定だと。


 舟はゆっくりと進む、水深は深い所で1.5メートル、船頭さん、落ちても慌てないことだ、立てばいいんだ。


 猊鼻渓は石灰岩が削られた谷間で、両壁は約70、80メートル、川幅は広い所で30メートル程か、遊覧出来る距離も1キロあるかないか、そこを休憩20分挟んで1時間30分で廻ってくるので、舟はまるで止まっているかのようにゆっくりゆっくりと進む。


 断崖ではあるが、樹木が多いので、壁が迫ってくるような威圧感は全くない。十数種の魚、鳥が棲息し、鹿も時々現れる猊鼻渓、訪れる観光客は国際色豊かだ。


 船頭さん、タモリさんが来たんだ、NHKのブラタモリの収録で、いや凄かったよ、取材陣が大勢で。タモリさん、一ノ関に友達がいるんだ、”いいとも”の番組終わってから、プライベートで時々此方に来るみたいだね。そのタモリさんを乗せたんだ、話しかけられなかったけど。


 間もなく休憩所に。そこからは川幅も狭く、水深も浅くなるので、200メートル程歩いて更に奥へ行く。このような渓谷が続く、舟遊びが出来る範囲は限られているが、充分だ。


 船頭さんの休憩も終わり、これからが本当の舟下り。ひとしきり案内も終わり、いよいよ佳境に、ここで船頭さんの舟歌が、勿論東北の民謡、そして猊鼻渓を詠んだ歌、朗々と渓谷に響く。


 まるで時間が止まったかのように廻りの風景が写真で飛び込んで来る。行き交う舟の船頭さんは女性だ、互いに軽く手を振り合う。 岸に到着、舟一艘程の隙間に船頭さん巧みに竿を操り、まるで図ったかのように静かに接岸。


 船頭さんの巧みな話術により充分に楽しんだあとは一路帰るだけ。松島経由で魚を求めたが、知った土産物店はもう閉鎖、それでも、松島の風景が一望出来るお店で名物の団子を食べる。予定通り6時頃帰宅、総距離927キロ。


 食事をしながら、話題はホテルの湯のこと、北は北海道から南は佐賀まで、各ホテルに泊まったが、皆揃って今回泊まったところの湯が最高だったと。また機会があったら泊ってみたいね。


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