表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

お土産が買える所を目指して

 

 いつの間にか泣いていた俺は、涙をぬぐって立ち上がる。皆が俺を見る。

「状況を整理しよう」

 ……沈黙。ここで無視かよ。

「そうだな。俺も永井の意見に賛成だ。みんな辛いけど意見を出し合おう」

 西口が俺の意見に賛同する。すると、皆涙を拭いながら立ち上がった。さすが、クラス内カースト最上位だね。俺とは求心力が違うね。そのまま西口が話を進める。

「じゃあ、みんなここに来る前にはホテルにいた?この点はいいね?」

 頷く一同。俺は一同を見る。俺を含めて全員で7人だ。内訳が男子が5人、俺、西口、江藤、安藤、委員長だ。女子は2人だけど名前知らねーや。

「次に皆ホテルで何をしていた?俺は明と一緒に女子の部屋にいた」

 皆、次々に自分が何をしていたかを語った。大多数はお土産を見ていたや、部屋にいただ。

「俺は武蔵タケクラと一緒に屋上にいた。でもよ屋上から周りの景色見たけど、近くにこんな森無かったぜ?」

 バスで移動中もこんな森は無かった等、周りからも同じ声が挙がる。

「そうだな。俺も移動中こんな森は見なかった。俺の最後の記憶は地震があった?皆は?」

 一同頷く。そうだ、地震があったんだ。

「あの……」

 おずおずと手をあげ小柄な少年が発言する。こいつの名前は安藤。俺と同じくクラス内カースト最底辺だ。

「ここってそもそも日本なのかな?少なくとも僕はこんな木を知らないよ」

 そう言って、安藤は近くにあった大木を指差した。それは皆が避けていた話題でもあった。

 何故なら、その木は非常に大きく尚且つ枝についてる葉は発光していたからである。

 皆が押し黙る。俺は冗談目かして言った。

「おいおい、安藤。まさか異世界転移か?」

 俺は、自分で言って気づく。そう言えば師匠達も地震に巻き込まれて転移したって言ってたな。それに光る木も師匠達のラノベに登場していた。

「そうかもしれない……この木もそうだけど、周りの草木も僕は見たこと無いよ」

 安藤の言うとおり誰も件の木もそうだが周りの草木も日本では見たこと無い物だった。

 それまで黙っていた、江藤が声を挙げる。

「安藤もゲロメガネも大丈夫か?お前らアニメの見すぎだろ」

 うるせえ。糞江藤、誰がゲロだ。

「じゃあ、お前は説明できんのかよ?」

 俺が挑発的にそう言うと江藤は言葉を詰まらせた。ほらみろ。何でもかんでも否定すんなや。

「落ち着けよ、二人とも。とりあえず、安藤と永井が言った可能性だってある」

 西口のクセにいいこと言うじゃねーか。

「ちょっと良いかな?」

 そう言って、クラス委員長が話し出した。

「ここが何処かは、今の段階では分からない。とにかく、移動をした方がいいと思う。それにいつまでも亡き級友達をあのままは気が引ける……」

 それには同意だな。武蔵をあのままにはしていたくない。問題はどうするかだ。

「移動するのは賛成だけど。死んだ皆はどうすんだ?」

 俺は疑問を口にした。

「ここが何処かもわからない、助けも期待できるかもわからい。二つの案がある。今、ここにいるのは7人。2つのグループに分けて、1つはここに残り留守番するグループ、もう1つのグループが人のいるところまでいく。もう一つの案は、死体をそのままにして全員で動く。……ちょうど奇数だ、多数決しよう。」

 多数決の結果、グループを2つに分ける案が採用された。勿論俺は賛成だ。

 グループ分けだが、街を目指す組は森を進むことになるので男子を中心に4人これをグループA、居残り組は3人、女子とそれを守る男子で組まれたこれをグループBとした。

 俺は街を目指す組だ。残るにしろ、進むにしろリスクはあるが仕方ない。


 さて、人のいるところを目指す事になったのはいいが、どっちに向かうかだ。

 周りは見渡す限り木しかない。

(どこか高所から見渡せればいいんだが……)

 俺はそこで気づいた目の前の発光しているでかい木に登ればいいんじゃないかと?木に近づいて、周りを回って見たがどこにも足をかける所が無い。上を見上げる枝は約4メートルの辺りにあった。

(う~ん、肩車?届きそうにないなぁ……ん?師匠達の話していた異世界転移なら身体能力上がってるんじゃね?)

 師匠が言っていたことを思いだし試しにと、俺は枝目掛けてジャンプした。あっさり枝に手を掛ける事に成功した。

「マジかよ」

 呆然とつぶやく。下を見ると皆、唖然としていた。取り合えず枝から飛び降りた。皆がそこに集まってくる。

「……どうなってんだよ?メガネ?何したんだ?」

 江藤がかすれる様な声で聞いてくる。

「知らん。只、飛んだだけだ。多分、お前らも出来るぞ」

 そう言うと早速その場から江藤がジャンプした。さっきの俺くらい飛んでいる。

「マジだよ!どうなってんだ!?」

 他のクラスメイトもその場で跳ねている。口々にすごいすごいと言っている。日本にいた時はこんなに飛べる事も無かったし、飛んでる奴も見たことねーわな。俺は見たことあるけどもな。

 俺はそろそろ話を切り出すべく大きな声を出す。

「おい!お前ら、ちょっと集合!」

 クラスメイトが全員集まった!見ろ!これが俺の求心力よ!

「仕切んなよ、ゲロメガネ」

 黙れ江藤。

「とにかく聞け。ゲームとかラノベでありがちな設定なんだけどよ、異世界転移すると転移者は何かしらのボーナスを得られる。今、お前らも体験しただろ?身体能力の向上」

 俺は一拍置いて続ける。

「多分だけど、脚力以外も全部上がってると思う。お前ら気づいたか?ケガまだ痛いか?」

 そう言うと皆はっとする。俺もさっき気付いたんだが、起きた時は痛かったが今は痛くない。恐らく治癒力も上がっている。

「でもよ、やっぱり異世界に来たなんて信じられないぜ」

江藤の言葉に俺は行動で返す。

(そこまで言うならこれを見ろよ)

俺はおもむろに手近な大木を全力で殴った。轟音と共に大木が倒れ、止まっていたであろう鳥たちが大きな声をあげながら飛び立つ。

「こんなこと出来るやつ日本に、地球にいんのかよ?」

江藤は反論をしようも試みているようだが口をパクパク動かすだけで結局何も言ってこなかった。

「そんなやつ日本にはいないな、それに身体能力が上がっているっていうなら納得がいったよ」

 西口が俺を見ながらそんなことを言う。

(納得?何にだ?)

「永井、気付いてないのか?お前メガネかけてないぞ」

「は?」

 何言ってんだ?こんなに視界がクリアーなのに、かけてないなんてあり得ない。俺は恐る恐る自分の顔に触れた。そこに何時もあるべき物が無かった。

「……嘘だろ?いつからだ」

 俺は絞り出すように問いかける。

「お前を見つけたときにはもう無かったぞ。ゲロメガネ」

 黙れ糞江藤。そもそもメガネかけてないならただのゲロだろ。…それはそれで嫌だな。

「探さなきゃ」

 俺はメガネを探しに行こうとしたが委員長に止められた。

「永井君。かけなくても問題ないのなら後にするべきだろう」

 (くっ!正論だ!)

後ろ髪引かれるが後で必ず見つけ出す。

「……そうだな。とりあえず、この木に登って街か何か無いか見ようぜ」

「そうだな。俺が見てくるよ」

 そう言うと、西口が枝に飛んだかと思うと直ぐに見えなくなった。あいつイケメンでスポーツ万能とかいうガチチートだからなぁ。それにしても、さっきの俺より飛んでねーか?

 西口が戻ってくるまで暇なので俺は委員長に問いかける。

「委員長、あっちの方は何があるんだ?」

 俺は亡骸のほうを指差し聞く。

「あちらは少し行くと崖になってましたよ」

 崖か…降りるのは無理なんだろうな。

 残ったのは7人か改めて面子を見て思う。委員長と安藤とは少し話したことがあったが、女子とはほとんど話したことがない。はっきり言って名前も覚えていない。今いる女子は気の強そうなのとおどおどしているのだ。

(名前なんだっけ?)

少し考えていると安藤が話しかけてきた。

「ねぇ、永井君」

「何だよ?安藤」

「この世界さ、魔術もあるかな?」

 異世界に魔術これまた定番だな。

「さあな?まぁ、ありそうだけどな」

 俺は適当に答える、ここが師匠達が来た世界ならあるはずだ。安藤を見ると難しい顔をしていた。

「永井君、あのね―」

「皆!」

 安藤が何か言おうとしたとろで西口が上から降って来た。

「大きな灯りが見えた!恐らく街だ!」

 クラスメイト達は喜びの声をあげた。そこを委員長が手をあげて納める。

「よし!では、これよりグループAは街に向かう。グループBの皆は留守番を頼む!なるべく早く戻ってくる、それまで辛抱していてくれ。西口君、君に先頭を頼みたい」

「あぁ!任せてくれ!」

 西口を筆頭にグループAの4人が並ぶ。メンバーは俺、西口、江藤、委員長だ。出発する前に女子の一人が話しかけてきた。名前なんだっけ?あ~確か鹿山カヤマだ。

「私、空手やってるからこっちは任せて、あんたたちも気をつけてね」

 そういって拳を突き出す。

(ひぇ、怖ぇー女)

 俺がそんな事を思っていると、鹿山がこっちを見た。

「誰が怖いですって?」

 お前だよ!アレ?声に出したか今の?まぁいいか。出発の前に安藤に話しかけとこう。

「安藤、さっきなんて言おうとしたんだ?」

 安藤は少し考えてから答えた。

「永井君たちが戻ってきてから話すよ」

 フラグか?辞めろよ、いやマジで。そうこうしてると江藤が俺を呼ぶ。

「ゲロメガネ!モタモタすんな!置いてくぞ!」

 うるせえ!糞江藤。

「分かってるよ!安藤、帰ったら聞かせろよ。」

「うん、気をつけて。」

 入って来るぜ!武蔵!俺は心の中で叫び西口たちのところに向かった。

 委員長が全員を見渡したあと、大きく頷いた。そして俺たちは闇夜の森に突き進んで行った。


 出発して少し走ったところで先頭の西口が止まった。何かあったのかと思い西口を見る。

「皆、ちょっといいか」

 俺含めその場にいる3人は怪訝な顔をしている。

「何か問題かな?西口君」

「すまない、委員長。問題ではなくはっきりさせておきたいことがあるんだ」

 そう言うと西口は俺と向き合った。

「永井……一つ聞きたい。お前は何で俺たちに協力する?俺達はお前や武蔵を意図的に無視したりしていた。なのになぜ?」

 は?この状況で何言ってんだこいつ?俺は思っていることを口にする。

「協力?お互い利用しあってるだけだろ?俺もその方が生存率が上がるからな。勘違いすんなよ」

「おい!そんな言い方ねーだろ!ゲロメガネ!」

「はっ!お前頭ダイジョーブか?糞江藤!お前らは想像力が足りねーんだよ!自分たちが同じ事やられたら簡単に許せるのかよ!」

 江藤の物言いにカッとなって叫ぶ、自分たちは先輩に命じられるままに武蔵をハブり、先輩の命令を無視した俺もハブった癖に何だその物言いは!委員長は心配そうに見守っている。

「明!やめろ!永井の言うことのほうが正しい。俺たちがやってきた行為は最低だ。永井、虫のいいことを言ってるのは百も承知だだが、こんな状況だお互い助け合おう。頼む!」

 西口はそう言って頭を下げた。なんだこの状況は?何で西口が俺に頭を下げている?俺じゃなく武蔵にしろよ!

「頭上げろよ西口。さっき言っただろ?手を貸すんじゃ無くて利用しあうだけだ。それからな頭を下げるんなら俺じゃなくて武蔵にしろ!それに俺はどんなにお前が謝ろうと許してやらん。時間が勿体ねーからさっさと行くぞ」

「……そうだな。その通りだ。皆すまない時間を取らせて、行こう」

 そう言うと、西口は再び先頭に立つと走りだした。江藤は気まずそうにしていた。

 俺たちは暫く無言で走り続けた。いきなり先頭の西口が立ち止まった。

 俺はまだ何か言いたいことがあるのかと思い声をかける。

「おい、まだなにか―」

 言いかけた所、振り向いた西口が口元で指を一本立てていた。どうやら静かにしろと言いたいらしい。なんだ?

 そして、西口は立てた指を木々の間に向けた。俺たちは目を凝らしてその先を見た。

 果たして、そこには額から二本の角の生えた男二人が松明を持って立っていた。

 うわぁ、ガチで異世界じゃないっすか……何だよアレ?悪魔?それとも鬼か?

 夜目が利いてよかったぁ、あんなのと鉢合わせたら、ちびるね。

 とりあえず俺たちは小声で作戦会議を始める。

「これは異世界確定だな」

「どうやら受け入れるしかないようだね。永井君、アレはモンスターなのか?」

「あぁ~?どうだろう?違うんじゃね?」

「わかんねーのかよ……」

 分かるわけねーだろ。馬鹿か糞江藤。

「問題はコミュニケーションが取れるかどうかだね」

 委員長が話を進める。

「そうだね。彼らとコミュニケーションが取れればいいんだけど」

 日本語通じるのかな?多くの異世界転移ものでは通じるんだけどなぁ……そういえば師匠達は最初、通じなくて苦労したって言ってたな。

「どうだろう、ここは一つ少し様子を見てみるのは?彼らが何故あそこにいるのかも気になるからね」

 委員長の案が採用され俺たちはあの二人の鬼?を観察することにした。


 俺たちは木の影に隠れ鬼達を観察していた。遠目だが恐らくあの鬼達はかなりでかい。鬼達はその場に松明を持ったまま立っているだけだ。見張りか?それとも何かを待っているのか?時折、会話をしているようだが距離があるので聞こえない。糞!せめてどんな言語を使ってるのか確認できれば、俺は小声で皆に提案した。

「近づいてあいつらの会話聞いてきていいか?」

 委員長が答える。

「危険じゃないか?」

 まぁ、その通りだわ。でもこのままじゃ拉致があかん。

「確かに……でもこのままじゃ何も進展しなさそうだぜ?それに西口、お前が見た大きな灯りはあいつらのいる方なんだろ?」

「あぁ、方向はそっちだ」

「なら、決まりだ。ちょっくら近づいてくるわ」

「待ちたまえ、永井君。あの鬼達を迂回して進むという手もある」

「確かにそれも良い案だ。だが俺はあんなおっかねー奴等に背中を見せるのはヤバそうだと思うけどな」

「……仕方無しか。永井君、危なそうなら直ぐに戻ってくるんだ」

 俺は手をヒラヒラさせてそれに答える。そして木の影に隠れながら鬼達に近づいて行った。

 近づくにつれて、鬼達の声が聞こえて来た。よっし!聴力も上がってる。

「#$#$)$!」

「^:)#'**」

 何語だよ!分かんねーよ!日本語が通じるご都合主義はどこいったんだよ!

 俺は手近な木の影に隠れしゃがみ込んで奴等の様子を伺った。それが悪かった。しゃがみ込んでいたために草が鼻を擦り俺はくしゃみをしてしまった。

「くしゅんっ」

「'・*#)#^!」

 可愛らしいくしゃみ、じゃなくて!やベー!鬼の一人がこちらに何かを言いながら近づいてくる。

 どうする!?俺!?戦うか?無理無理!?糞!ヤバいもうダメだ。

「!#())'(!」

 遠くから鬼の叫ぶ声が聞こえた。その声を聞いた鬼は所定の位置に戻った行った。ふぅー助かった。でも何でだ?俺の疑問は直ぐに解けた。様子をこっそり伺った俺は驚愕することになる。

 そこにはいくつもの火の玉がゆらゆらと移動していたからである。火の玉!?違う!あれは松明の灯り!目を凝らすと鬼の行列だった。

 糞!じゃあいつらは、待ち合わせをしてたわけか。そして俺はもうひとつの事実に気付く。奴等の列の中間に人間が複数いることを。その人間達は皆俯いており手には枷がしてあった。

(おいおい、まさか奴隷か?)

 あの連中とはコミュニケーションを取るどころじゃない。最悪命のやり取りになるかもしれない。

 俺はその一団が過ぎ去るまでその場を動くことが出来なかった。


 どのくらいそうしていただろうか、俺は西口に声をかけられた。

「永井、大丈夫か?」

 俺は力なく答える。

「……あぁ」

「永井君、不味いですね。彼らに助けを求めることは出来ませんね」

「そうだな。それにな委員長、あいつらの言葉理解できなかった。そもそもコミュニケーションがとれないぜ」

「……マジかよ、どうするよ?」

 知らねーよ、江藤は少し自分で考えろよ。

 俺たちの間に沈黙がおりた。俺は考える、奴隷がいるってことは人間もいるわけで。人間の町もあるんじゃなかろうか?

「あのさ、あいつら人間を奴隷にしてたよな?そいつらはどこからきたんだ?」

「……!良い着眼点ですね。どうだろう、人間たちの住まうところを探すのは?」

 委員長が提案する。

「それが現実的だね。でもどこにあるんだろ?もう一度、木に登ってみるよ」

 そう言うと西口は手近な発光している木に登っていった。

「なぁ、永井」

「何だよ?江藤」

「近くで見てあいつらどうだった?戦ったら勝てそうか?」

「わかんね?只、俺たちよりかなりでかいぜ。2メートル越えてるよ」

「マジかよ……ヤベーな。あいつらには関わらねー方がいいな」

 珍しく江藤と意見があった。何だよ自分で考えられるじゃねーか。

「恐らくは、我々が目指していたところはあの連中の住み処あるいはアジトのような場所だろう」

 危ねぇ……知らずに地獄に飛び込もうとしてた訳だ。

 それにしても言葉が通じないはヤバイな。どうするよ?

 そんなことを考えてると西口が焦りながら降りてきた。

「ヤバイ!俺たちが最初にいたところから煙が上がってる!」

「「!?」」

 途中、目印になりそうな大きな気には印をつけて来たが、どうやって出発点だと特定したんだ?俺は疑問を口にした。

「マジかよ!?何で俺たちが最初にいた場所って分かるんだよ?」

「木に細工をしたんだよ。枝を曲げて遠くから見ても分かるようにしたんだ。幸い葉が光ってるから夜ならすぐ分かる」

 (えっと、こいつほんとに頭いいな……)

「西口君。他には何か見えませんでしたか?」

「あぁ、最初に見た明かりは多分戦場だったんだと思う。煙が上がっていた。違う方向に小さいけど光が見えたよ」

「成る程。先程の集団の中の人間達は捕虜といったところでしょうね。一旦戻りましょう」

「クソ!最初から分けるんじゃ無かった!」

 江藤がそんなことを言っている。江藤の言葉を聞き委員長が俯く。

(お前も分けるのに賛成してたじゃねーか)

「言っても仕方ねーだろ。取り合えず全速力で戻ろうぜ。」

 そして俺たちは全速力でもと来た道を駆けるのだった。











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ