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『意外に大胆なストレート』

 

 とある日常の休日は人様々にやることが違うだろう、趣味に没頭する者、睡眠を貪る者、好きな人とデートを計画する者等。その後者と僕は完璧に一致する。つまり僕の彼女、鮎原夢とデートがこの後に待っているのだった。

 時間は午前十時十五分前、天気は晴天、体調は健康そのもの、ついでに財布の中身は……多分今回のデート中は保つだろう。

 待ち合わせ場所は街の一角に存在する有名なアーティストが創った丸やら三角やら四角やらが妙な角度で繋がっているオブジェだ。この街で良く待ち合わせに使われている場所だ、今も二人程待ち合わせをしているらしい。

 久し振りのデート、彼女はどの姿でも共通する趣味があり、それは映画を見ること。

 つまり昨日、男勝りの彼女から映画行くぞと催促が有り、今に至る。

 さて、今日来る彼女は誰なのだろうか?

「お待たせしました十夜!」

 可愛らしく胸の辺りで小さく手を振りながら彼女がやって来て笑顔を振り撒く。

 長いストレートの髪を風に遊ばせ、白いワンピースを纏った彼女がそこに。

「お待たせ致しました、待ちましたか?」

「いえ、全然待ってませんよ、今来たばかりですから」

 嫌々、いつ見ても彼女は可愛くて素晴らしくてふくよかで……って、僕の阿呆。頭の中に穴掘って叫ぶことにした。

「それじゃ行きましょうか夢ちゃん」

「えっと、その前にですね……えい!」

「むぐぅ!」

 世界はぐるりと回転し、気が付けば地面が背中に。何が起きた?

 どうやら夢ちゃんが飛び付いてキスをしているらしい。瞼を開けるとやはり彼女の顔が。

「ぷは! 十夜ご馳走様でした、美味しかったです」

「と……とと、とにかく退いて貰えると助かります」

「きゃ! 私ったらつい……ごめんなさいです」

 恥ずかしそうに立ち上がるが最初からしなければ良いのに恥ずかしいなら。

 周りの人々から放たれた視線がまるで数千の矢だ、次々と貫かれ羞恥を取り出されて行く。

「とにかく行きましょうか」

「は、はい! お供します!」

 細くて華奢な彼女の手を掴み走り出す。嫌々焦った、全員が見て来るのだから。しばらく進むと視線は途切れ、ようやく恥ずかしさから解放されて安堵を味わう。

「あ……あの、十夜……」

 何やらか弱い声を奏で僕を呼ぶ彼女へと視線を傾けると、真っ赤な顔になっていて、じっと繋いだ手を凝視。

「あぅ、えっと、十夜の手おっきいですね……じゃなくて、その……」

「どうしたんですか夢ちゃん?」

「えっと、だから……あぅ、十夜と手を繋いでいると思うと嬉しいけど恥ずかしいなって思っただけです! ……あわわ」

 やばいな、可愛い。

「じゃあ手を繋ぐの止めますか?」

「え! あぅ、十夜は意地悪さんですね……き、今日はずっと手を繋いでいたいです、あぅ……」

 モジモジと恥ずかしがっている彼女はミサイルのような破壊力を備え、僕を容赦無く焼き払う。

 嫌々、僕は幸せ者だな。

「分かりました、今日はずっと手を繋いでいましょう。さ、映画館に急ぎましょうか夢ちゃん」

「あ……はい!」

 実際は恥ずかしいのだが、夢ちゃんの嬉しそうな顔を見てしまったら何も言えなくなり、ずっと笑顔を眺めていたくなる。

 不意に視線が絡んだ、すると笑みで応えてくれた。

 この夢ちゃんは清らかな乙女と表現出来るくらい穏やかで優しい。言葉使いも丁寧で、甲斐甲斐しく僕のお世話を喜んでやってくれるのだ。

 手を繋いでいると思うだけで激しくなる鼓動を止められずにいる僕は、恥ずかしさと嬉しさに押し潰されそうだ。

 しかし苦痛ではない、どちらかと言うと痛みより心地良さ。

 そんな感情が芽生えるなら押し潰されても構わないだろう。

 さて、そんなドキドキの環境でどうにか映画館に到着し、どの映画を拝見するのかポスターを眺め、吟味しているところだ。

 ポスターに描かれている者達は見てくれと言わんばかりに面白そうと思わせる絵を演技しているのだった。

「夢ちゃんどれを見ますか? ……あ、これなんてどうです? 『はらわたバッグ』、これ怖いって評判ですよ?」

「あぅ、私ホラーは苦手です。えっと……これなんてどうですか? 『タツネコ』、ネコが立って歩いて大騒動を引き起こすホームコメディーですって。確か最新のCGでネコを描写してるとか」

「へえ、面白そうですね。ならそれにしましょう」

 チケットを購入してから館内へと進み、席に着いた。手を繋ぎながら入館するのは恥ずかしさが上昇したが、夢ちゃんは嬉しそうなので羞恥を頭の中に大量に精製した穴に入れて埋め、眠って貰うことにしよう。

 そしていよいよ上映が開始され、スクリーンが光出す。

 物語は捨てられていた猫を女の子が拾うと言った始まりだったがなんと猫が二本足で立って大騒動。時には女の子と猫が喧嘩したり、仲良く昼寝したりなかなか面白い。

 絶妙のタイミングでギャグを演出させており、館内は爆笑に包まれる。

「あははは、十夜見ましたか今の、あははは!」

 彼女の横顔を見つめると楽しそうに笑っていて、それを見ているだけで自然と頬が上がり笑顔を作り出す。

 ふと彼女と視線がぶつかってしまい、慌ててスクリーンに戻す。

「あれ? 十夜、今私の顔を見てましたね?」

「み、見てませんよ」

「もう、十夜は嘘つきさんですね。そんな嘘つきにはお仕置です!」

 スクリーンに突如として影が生え、目の前が真っ暗となった。それと同時に唇に柔らかな感触が。それから首に彼女の腕が絡み、接吻を楽しむ。

 二人だけの世界に浸り、しばらくそれを楽しんだ。

 不意に何やら視線を感じ、そっと口と口を離し、後ろを向く。

 嫌々、不覚だった。後ろの席から前は丸見えなのだ、つまり数人が僕らを見つめているのが分かり、埋めた筈の羞恥が復活を遂げる。

「あぅ、ごめんなさいです。でも……ご馳走様でした」

「……えっと、ゆ、夢ちゃん、とにかく映画に集中しましょう……映画に」

「……もっかい良いですか?」

 そしてまた羞恥は僕を苛めた。

 映画を終えて会場をそそくさと退散する為に彼女の腕を掴み、半ば強引的に連れて行く。会場の数名から無言の視線攻撃が羞恥を突っ突き刺激を。

 見ないでくれ、幸せいっぱいでニヤけた顔を焼き付けないで欲しい。はっはっは、どうだ諸君、こんなに可愛い彼女は羨ましいだろう!

 ごめんなさい、調子に乗りました、ごめんなさい。

「と、十夜、ちょっと痛いです」

「え? あ! ご、ごめんなさい夢ちゃん!」

 興奮と恥ずかしさから手に力が入り過ぎていたらしい、夢ちゃんが少し痛いがっていた。謝りながら力を弱め、離す。

「痛くないですか! ごめんなさい、僕無我夢中だったもので……内出血とか大丈夫……ああ! び、病院に行きますか! ああ! ああ歩けますか! おんぶOKですよ!」

 意味不明なことを言う自分が滑稽なのだが、必死過ぎてそんなことを考えられなかった。ただ思うのは彼女のことだけ。

「……ぷっ、……ふふっ、あははは!」

 突如美しいストレートの髪を靡かせながら彼女は笑う。

 何故笑うのかこの時は気付きもしなかったが、ただ分かるのは自分は今恥ずかしい状況だと言うことだ。

「お、落ち着いて下さい十夜! あはは! 言ってることが目茶苦茶ですよ……ふふっ、あははは!」

「ううっ……僕そんなにおかしかったですか?」

「はい、とっても! ……でも、私を必死に心配してくれたことが嬉しかったです……これは御礼です!」

 軽やかに彼女が下の方から唇を僕の唇に運び、触れ合う。

 物凄く柔らかい唇は今僕だけのもの……。

 と、考えて恥ずかしさが爆発。穴を掘り、大声で叫ぶ、頭の中で。スッと口は帰路へ。微笑む彼女はまるで女神だった。

「ふふっ、十夜の顔、間抜けさんです」

 嫌々、もうこれは反則だ。あんな笑顔で見つめられると見とれるしかない。

 不意に街角に設置された時計が視野に入り、丁度お昼時だと教えてくれた。

「お、お腹空きませんか?」

「そう言えばペコペコです、お昼にしましょうです」

 直ぐ近くにバーガーショップがあり、そこで昼食を取る事に。

 中へと進みメニューを決めて購入し、席に着く。

「あの映画面白かったですね! 最初の猫が立つシーンは驚きでしたが可愛かったですね?」

「そうですね、最後は感動路線で幕を閉じましたが続編がでるって噂ですよ?」

「本当ですか! ならまた一緒に見に行きましょう十夜! もちろん二人っきりでです!」

 嫌々当たり前じゃないか、夢ちゃん以外と行くなんて考えられない。

 と、そんなことを考えていたら夢ちゃんはおもむろにポテトを一本取り出して先端のをくわえる。

 ま、まさか……。

「あの夢ちゃん、何をしてるんです?」

「えっと、このポテトの端っこを二人で食べて行くゲーム? を十夜としたいなあと思いました……ダメですか?」

 嫌々、なかなかの爆弾発言ではないか。ポテトの端を二人で食べて行き、唇がくっつきそうになるのを楽しむ遊びだ。

 いつも彼女といっぱいキスしている僕でもそれは羞恥が襲いかかる。

「ダメ……ですか?」

 涙を溜めた上目遣いは反則だった、これを見て断ることなど出来る訳が無いのだ。特に彼女に弱い僕の場合はもっとダメなのだ。

 お客さんがあまり居ないみたいだし、やっても良いのでは?

「ち、ちょっとだけですよ?」

「ありがとうございます! あ、どうせやるなら勝負しましょう、勝ったらご褒美になんでも言うこと聞くって言うのはどうですか?」

「望むところです。ではルールを教えて下さい」

「えっとですね……長く食べた方が勝ちです。真ん中にケチャップを付けておきますからそれを目印にしましょう。ちょっとずつ食べるんですよ? 大口で一気に食べたら罰ゲームです! 良いですね十夜?」

「分かりました、なら勝負です!」

 と啖呵切ったが、今考えるととんでもなく恥ずかしいことをするはめに。僕のひ弱な精神は果たして持ち堪えられるのか?

「じゃあ勝負です十夜!」

 こうして勝負が始まる。

 一番長いポテトを選んだのだが彼女との距離が近い。一口ずつ少量を口内へと放り込み、胃へと流す。

 正直に言おう、ポテトの味なんか分かる訳が無い。ただ気になるのは段々と近付いて来る彼女の唇と、時折垣間見える舌がなんともいやらしい。

 って、何を考えているんだ僕は。穴掘って叫んでやる。

 他のお客さん達から視線を集めているのが分かる、正に注目の的。恥ずかしい、それに夢ちゃんの顔が直ぐ近くあってまた恥ずかしい。

 等々互いはケチャップで印された中間地点に差し掛かり、止まった。

 じっと見つめ合う二人、距離はほんの数センチ、嫌、数ミリか。つまりこのケチャップが付いた部分を食べれば僕の勝ちなのだ。そうだ、食べれば良いだけ。

 でもそこを食べたら夢ちゃんとキスする事になるぞ?

 何を恥ずかしがっているんだ、いつもしているじゃないか。ただ……いつも彼女からキスをして来るのみ、つまり僕からしたことがないのだ。

 まさか夢ちゃんはそれを承知でこんな勝負を仕掛けて来たのか? 僕からキスして来ないと確信しているから。

「……むむ」

「……ふふっ」

 ニコリと笑っている、どうやら確信犯らしい。僕は今彼女に弄ばれている訳だ。

 ふっふっふっ、なら僕からすれば良いだけの話し。何も難しいことではない。でも、彼女を見つめるだけでひ弱な精神が悲鳴を上げてオーバーヒート。

 後一口なのに、その一口に踏み出せない。そんな葛藤中、赤いケチャップが消えた。何大したことではない、ただ彼女がそこを食べただけだ。

 そのままポテト味のキスを堪能し、敗北を食わされた。

「ふふっ、私の勝ちです十夜」

「うう……ま、参りました」

「それじゃ約束通り言うことを聞いて貰います! 覚悟です!」

 敗者は勝者に従う。これは昔から決まっていることだ、良いだろう僕も男だ、矢でも鉄砲でもドンと来い。

 本当に来たらいやだけど。

 はてさて、彼女の望みとはなんなのか分からないまま僕らはバーガーショップを後にした。そのまま向かった場所はとある公園だ、そこのベンチに腰掛けて周りを一瞥する。

 ここは噴水を囲むように円状にベンチが並び、美しい飛沫を楽しむ場所だ。その一つにはカップルなのか小学生くらいの男の子と女の子が手を繋いで話をしていたのが見えた、最近の子はおませさんだと知る。

「夢ちゃん、いい加減に教えて下さいよ、何が望みなんですか?」

「あぅ……えっと、その……わ、私にその……」

「私に?」

「わ、私に膝枕して下さい!」

 膝枕? 僕が夢ちゃんに?

「あの、普通逆なんじゃないですか?」

「あぅ、嫌なんですか十夜?」

 なんたることだ、涙目で訴えられたら僕は断れるはずは無いのである。ああもう、本当に僕は夢ちゃんに逆らえない。

「悲しそうな顔はよして下さい、分かりましたから、僕が夢ちゃんに……膝枕をさせて貰います」

「本当ですか! 嬉しいです! ……そうだ、オプションとしてですね……頭を撫で撫でして、耳をはむはむして下さい! あっ! あとあと、耳元で『愛してるよハニー』って甘く囁いて欲しいです!」

 夢ちゃんは石化魔法を唱えた、そのおかげで僕は笑顔を絶やすこと無く固まった、カチンコチンと。今彼女はなんと言われたのか、聞き間違いじゃないかと耳を責めても間違いないと主張するばかり。

 とりあえず何をして欲しいか整理しようか。えっとまず頭を撫でること、これは問題は無い。次が……耳をはむはむして欲しい。はむはむ? はむはむってまさか僕が彼女の耳を甘噛みしろってこと?

 そして最後は『愛してるよハニー』。

 そうか、夢ちゃんは僕に死ねと言っているのか。

「……何故ハニーなんですか?」

「えっと実は私が小さな頃に読んだ少女漫画で、そんな場面があってですね、『愛してるよハニー』って甘く囁く姿に私もいつか恋人に言って貰うんだって夢を作ったんです。今時こんなことを言う人っていないでしょ? だから貴重かなって思ってお願いしてます……良いでしょうか?」

 小さな頃の夢、か。なんだか微笑ましいな。

 僕の幼い頃の夢は……もう叶えられないが、夢ちゃんの夢くらいなんとかなるだろう。

 そう、僕が羞恥に打ち勝てば良いだけの話なのだから。

「ではどうぞ、粗末な膝ですが」

「あ、ありがとうございます! では早速お邪魔します!」

 ベンチに横たわった彼女が可愛らしく頭を膝に乗せ、温かさと重みが伝わる。

 そしてこそばゆさがジワジワと這って来た。

「あは、十夜の膝枕は最高に気持ち良いですね、気に入りました! もうここは私だけのものです! 誰にも使わせないで下さいね?」

「分かりました、なら今日からここは夢ちゃん専用ですね」

 さてまず最初は頭を撫でるだったな。そっと優しく頭に触れ、撫で撫で。触れた長い髪はサラサラで、手触りが最高品質だった。

 撫でる度に彼女はくすぐったそうに笑う。

「あぅ、心地良いです……十夜~、耳はむはむして下さい~」

 甘えた声は一気に両の頬を紅葉させ、羞恥心を召喚し僕を苦しめる。そうなのだ、次は耳はむはむなのだ。

 激しく鼓動する心臓は早くしろと言わんばかりに急かす。

 行くぞ、行ってしまうぞ、行っちゃうんだぞ!

「…………はむっ」

「ひゃん!」

 淫らな彼女の声が意外に大きく、噴水の向こう側にいた小学生のカップルに届き、こちらを見つめて来て更なる試練を生む。

 ええい、どうにでもなれ。

「はむ、はむ……」

「あぅ、ん……ひゃう、やぁ、んんっ……やだ、と、十夜のはむはむ気持ち……ああん!」

 嫌、これはどうみても十八禁だろう。

 耳たぶが物凄く柔らかい、遠慮無しにそこをはむはむ。

「ひゃうっ! んんっ……と、十夜~……」

 いけないいけない、調子に乗ってしまった。と言うかそこのちびっ子カップルよ、そんなにじっと見ないでくれ、これは教育上有毒なのだ。

 なんて思っていたが、小学生カップルが僕達の真似を始めてしまった。

 うむ、PTAの人がここにいないことを切に願う。

 本当にませているな。

「十夜~、台詞を言って下さい~」

「ううっ」

 さあ等々訪れましたよ、僕が死ぬ瞬間が。

 良いさ、彼女が喜ぶのなら僕は喜んで逝こうではないか。

 いざ、羞恥の極地へ。

「……あ、愛しているよハニー……」

 誰か僕を噴水に投げ込んでくれ、それが無理ならスイーパーに依頼してライフルで眉間を撃ち抜いてくれ。

 嫌、いっそロケットランチャーで粉々にして欲しい。

「あぅ……私も愛してます……ダ、ダ、ダーリン……あぅ……」

 どうやら夢ちゃんも恥ずかしかったらしい、それなのに一生懸命に言った。可愛いが、今は彼女の顔が見られない。僕は今恥ずかしさと戦闘中なのだから。

 そんな時バチンと激しい音が響く、それはビンタの音だ。何が起きたのかそこに意識を集中させると小学生の女の子が男の子にビンタをしている姿が。とどめに女の子が「下手くそ!」と蔑んで行ってしまった、どうやら夢ちゃんにやったことをそのままやったらしい。

 キッと僕を睨んで走って行った。嫌、あれは僕の所為なのか?

 とにかくとにかく、夢ちゃんとのデートは恥ずかしく幕を閉じることに。

 嫌々、未だ生きている自分に驚きだ。

「十夜、今日はありがとうございました。とっても楽しくて、とっても……恥ずかしかったです。でも嬉しかったです、私のわがままに付き合ってくれてありがとうございました!」

 と、次の瞬間抱き付いて来てキスをされる。

 勢い良く地面に転倒、後頭部に大ダメージ。

「ぷは! それじゃバイバイです!」

 こうして別れた訳だが、トータルで楽しかったが上回る。

 さて、帰ってから彼女にメールを送らなければ。

 楽しかった、と。


 

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