第二章:青年
「――――!?」
下ろしかけた足をベッドに引き戻し、声の方へと身構える。
声を上げた何者かは、どうやらベッドのすぐ隣の、僕の死角となる場所に横たわっていたらしい。
「誰だ!!」
反射的に問いかける。
――酷い声だ。
長いこと声も発していなかったのか。
喉の奥には痰が絡まって、発声後には無様に咳き込む羽目になった。
「は? 誰ってそりゃ……、――ッ!?
な、なんだよこれ!! ここはどこだ!?」
呼吸に苦しむ僕の視界に、声の主は酷く動揺した様子で飛び起きてきた。
――僕と、そう歳の変わらない青年に見える。
清潔感のある顔立ちの、モテそうなタイプの好青年。
第一印象はそれだった。
「…………、そうか」
少し、落胆した。
どうやらこの青年も、僕と全く同じ立場らしい。
もしかしたら、彼の口から事の真相を聞けるのではないか、と少しは期待したのだが――いや、諦めるのは少し早計だろうか。
彼が何かを知っているという可能性はまだ否定されたワケじゃないし、二人で状況を整理すれば、何か一つくらいは分かる事だってあるかもしれない。
そう判断した僕は、パニックを起こしかけている青年を宥めて、取り敢えず話を聞いてみる事にした。