表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Criminal  作者: Dr.Cut
13/114

第十三章:記憶

「――それじゃ、7つ目の質問だ。

君も、記憶を失くしている可能性はあるのか?

もしも記憶を失くしていないのなら、覚えている事をできる限り詳しく教えて欲しいんだけど……」


「は? なに?

あんた、記憶喪失なわけ?」


心底不思議そうな彼女の答えに、僕は内心で笑みを深めた。

――7つ目にして漸くのヒットだ。

こういう返答をしてくるという事は、つまり彼女は記憶を失くしていないという事。

それなら最低限、犯人の顔くらいは知っているかもしれないし――上手くすれば、脱出経路まで覚えているかもしれない。


「いや、確証があるってワケじゃないんだ。

ただ、僕の左手の甲には治りかけのカサブタがある。

僕が自分で作った物か、或いは犯人が付けた物なのかは分からないけど……。

僕の記憶に無い傷だって事は、少なくとも僕は、この傷を負ってからカサブタが出来て、更にそれが剥がれかけるまでの数日間くらい、記憶を失くしている可能性があるってだけさ」


「…………」


勿論、現在進行形で僕が握り締めている“二階堂の左腕”にも同じ様な傷が付いているのだが、それを話してもややこしくなるだけなので今は伏せる事にした。


「単純に数日間眠らされてただけって可能性もあるけどね。

ただ、何日も飲まず食わずだったなら、まずこんな風に自由に歩き回ったりなんて出来るはずが無いだろうし……。

つまり、覚えていないだけで、僕はこの数日間も食事はしてたって考えるのが普通じゃないかな?」


「…………」


彼女からの反応は無い。

……ま、ある意味当然か。

いきなり初対面の男に記憶が無いだなんて言われたって、普通はどうでもいいか胡散臭いとしか思えないだろう。

分かり切っていた事でもあるので、礼儀として結論だけは告げておく。


「……まあ。でも、これも確証じゃないんだ。

僕の胃の中は空っぽみたいだし、もしかしたら点滴みたいな物を打たれて、飲まず食わずで何週間も寝かされてたって可能性だってあるから。

さて。それじゃ本題だけど、君にはその間の記憶があるんだよね?

それなら、なんでもいいから拉致されてからの事を――」


「ゴメン」


彼女は間髪入れずに謝ってくる。

……失言、だったか?

確かにこんな、顔も知らない上に記憶まで失くしてる男なんか、信用するには怪し――



「あたしにも、その傷あるっぽい……」



――情報価値が、失われた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ