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「いやー、やっぱりチャンピオンは強いわ!流石、世界ランク1位だね。」
隣のオッサンが、何度も首を上下に振ってうんうん頷いてる。
「でも、やっぱりアダムには勝てないんだろうなー。あ〜あ、次こそは勝って欲しいんだけど…。」
なんだか意味深な言葉を残して、席を立つオッサン。気が付くと、他の観客達もヘッドスコープを外して、席を立って帰り支度をしている。……どうやら帰れるらしい。俺もヘッドスコープを外そうとすると、画面の中に見える男爵ジャガ芋に異変が起きた。
「……嘘だろ!?体が消えていく…。」
そう、男爵ジャガ芋の体が下半身から上半身にかけて、徐々に消えていくのだ!そして、最後には完全に消失した男爵ジャガ芋。……なんとも不気味な。とりあえず、ここを出よう。とどまる意味ももう、ないしな。帰りは、他の人間達と一緒にエレベーターに乗り込み、地上を目指す。
「やっぱりランク7位の男爵ジャガ芋程度じゃ、チャンピオンの相手にはならなかったな。」
「ああ、チャンピオンにダメージを与えられるプレイヤーは、上位ランクの四人くらいだろ…。」
「しかし、あれだけ強いチャンピオンでも、アダムには勝てないからな…。」
「次は本当にチャンピオンが勝ってくれるといいんだけど、無理だろうな。」
「地球の運命がかかってるから、頑張って欲しいよ…。」
エレベーターの中で聞こえてくる会話に耳をすませると、どうやら天宮より強い奴がいるらしい…。つーか、地球の運命ってなに?意味不明用語がまたでてきやがった。まあ、そんな事どうでもいいや。今日は疲れた…、早く帰って寝たい。チーン!
どうやら、地上に着いたらしい。みんな一斉にエレベーターから出て、ネットカフェのカウンターを目指す。成る程、通りで混む訳だ。こんな大勢の人間が一斉にカウンターに押しかけたら、列が出来るのは当たり前だ。入って来た時の列は、このせいだったのか。つーか、結局天宮には告白は出来ず仕舞いか…。明日、明日だ!明日こそ、天宮に告白しよう。聞きたい事も、一杯あるしな。
〜翌日〜
「オーッス!大和、学校行こうぜ。」
いつも通り、直秀が家に向かいに来た。食べかけのトーストを頬張りながら、かばんを担いで玄関に向かう。玄関の扉を開けると、輝かしい笑顔で直秀が立っていた。朝からテンションたけーな。しかも、めっちゃ爽やか!イケメンって、何をやってもカッコイイんだな…。
「おい大和、昨日天宮に告白できた?」
案の定、真っ先に昨日の事を聞いてきた直秀。どうせほんとの事言っても、信じてもらえねーだろうな…。
「いや、実は…まだなんだ。」
「は?まだな訳!?どんくさいな〜お前。」
〜谷川大和〜
HP 10/10
直秀の口撃!
大和はちょっと傷付いた!テンションダウン!
んんん!?なんだ今のは?
「いや、廊下に出て走って追いかけたら、鬼沢に怒られて見失った。」
「ドジ!なにやってんだよ。んで、今日こそはするんだろ?告白。」
「あったり前だぜ!今度は昼休みにするよ。」
「うし!その勢いで頑張れよ大和。」
「よーし、やるぞー!!」
気合いを入れて大声を出してみた。今日こそは、絶対に天宮に告白するんだ!
「うるさーい!朝っぱらから近所迷惑だよ、あんた!!」
……ゴミ出しをしていた近所のおばさんに怒られた。
〜谷川大和〜
HP 10/10
近所のおばさんの注意!
テンションダウン!
やる気ダウン!
元気度80%ダウン!