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「うわあああああ!!」
「ぎゃあああああ!!」
「ひゃあああああ!!」
「あっ!?この野郎!!善良な一般市民に向かって、炎なんか吐くんじゃねえ!」
〜ヘルドゥ竜〜
地獄の業火!
無差別攻撃!
「美咲様のSPECIALなATTACKでも喰らって、大人しくしてな!」
〜ヘルドゥ竜〜
ケロケロの攻撃!
覇王撃滅暴狂竜弾!
装填完了!
ドラゴニックバースト!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HP 100000/49200
「ウハッ♪現実世界だと、迫力が違うね〜。なんだか、新鮮な感じ。」
〜避難所〜
「……………。」
見渡す限りの人。こっちを向くと人。あっちを向いても人。人…人人人人人人人人だらけ!なんだよこれ?避難所満員じゃん!!
まあ、非常事態なんだから、当たり前と言えば当たり前か…。どこか空いてる場所はないかな〜。
てきとうに周りを徘徊していると、一人の男性がいきなり素っ頓狂な声を上げた。…なんだよ一体?
周りの人間も、不思議そうな顔で、男性を見ている…。どうやら、携帯のワンセグを使って、ニュースを見ていたらしい。男性は、「おい、コレを見ろ!」と、言って、携帯の音量を上げはじめた。
……なんなんだ?
俺は、携帯から流れて来る音声に、耳を傾けた。
「ご覧下さい、この光景を!自衛隊でも歯が立たない未確認生物を、一人の女性がダメージを与えています!信じられません!彼女は、何者なんでしょうか!?」
あっ…、美咲さんだ。スゲエ…、一人でヘルドゥ竜と戦ってんのか…。アナウンサーがひどく興奮している。まあ、当然の反応か…。
「あああ!!!カメラさん、ちょっと!あっちの上を映して!9時の方向よ!」
いきなり、画面がグルンッ!と揺れ動き、視界一杯の空が映し出される。そして、ヘルドゥ竜に向かってかっ飛んで行く、天使のようなコスプレに、身を包む女の子が一人…。
間違いない!見間違えてなるものか…。あれは…
「天宮!!」
あっ…、つい叫んじゃった。めっちゃ恥ずかしいんですけど。
〜ヘルドゥ竜〜
AMAMIYAの攻撃!
滅亡のアロー!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HP 100000/0
ヘルドゥ竜討伐!
……すげえ、やっぱり天宮はスゲエ!容赦ない攻撃!周りの建物も一緒に吹き飛ばし、ヘルドゥ竜の死体が跡形も無く消し飛んでいる!なんちゅー威力!
「やっ、やった!やりました!!!あの未確認生物を、なんとたった二人の女性が倒しました!少し、近付いてお話を伺ってみる事にします…。」
避難所が、歓喜の叫びに包まれた。あの未確認生物が倒された。不安から、開放されたような笑顔で、みんなはしゃいでいるが、俺だけは、不安が募る一方だった…。これで終わる筈がない…。まだ、元凶が…アダムが倒されていない!
「すいませーん。」
「……ハアッ、ハアッ、なっ、なに?」
「美咲さん、大丈夫ですか?」
「ハアッ、現実世界だと、アイテムの補助がないから、結構キツイわ…。ゼェ、ゼェ…。」
「ステータスの底上げも出来ないし、怪我してもカーイフク薬が使えないのは、ツライですね…。」
……アナウンサーが放置されて、困惑してるぞ。
「あ、あの…」
「ああ、悪い悪い。…で、なに?」
「貴女達は、一体…?」
「私は…、そうだな〜キャバクラ・ケロケロのNo.1キャバ嬢、アリサ!とりあえず、正義の味方だから、安心しな…。」
「そちらの方は…?」
「え?私は…別に、普通の高校生です。」
いや、いやいやいや!どっからどうみても、普通じゃねーから。前からちょっと感じていたが、天宮は天然だ。間違いない…。
〜EARTH・PERIOD最深部・エリア000コントロール中枢区域〜
「………ん?日本に送り込んだ、ヘルドゥ竜が倒された……か。日本にいる有力なプレイヤーを表示しろ!」
〜JAPAN〜
ランク1位
・AMAMIYA
ランク16位
・ケロケロ
ランク2841位
優柔不断
ランク19526899位
・そらとぶユパ様
「おお!どうりで…。アマちゃんとケロちゃんのいる国か!ふ〜ん…、どれ。アダム様が、直々に挨拶してこようかな?」
〜日本〜
「ん?」
「えっ!?」
……なんだ?二人の顔色に、焦りが見えるのは気のせい?クソッ、見づらいな…。カメラもっと寄せろよ!
「あの…、どうかしたんですか?」
「これ、生放送だろ?LIVEだろ?ちょっと失礼…。」
うわ!美咲さんが、アナウンサーを押し退けて、超ドアップに!何するつもりだこの人…。
「今直ぐ衝撃に備えろーーーーー!!!!!」