表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/74

33

〜キャバクラ・ケロケロ〜


「……ここか。」

店の前では、客を呼び寄せる、ボーイさんが立っていた。

「いらっしゃいませー!お兄さんどお?寄ってかない?」


…少し、近寄りがたい。勇気を出して、ボーイさんに声をかけた。

「あの…」

「ん?君、何歳?悪いけど、君みたいな子供は雇えないんだ。ごめんね。」

「いや、アリサさんって人、いますか?落とし物を届けに来たんです。」

「え?それな…」


バーン!

と、勢いよく店の扉が開かれた。


「ヤッバー!どこだ?どこに落とした!?」


あっ、さっきの人だ。ものすごく焦っているのがよくわかる。多分、財布を落とした事に気付いたんだな…。


「オイ!カトちゃん。私の財布を捜してきなさい!」

「え?あぁ…、それなら今……」

「あーーー!!!アタシの財布!」


…私の持っている財布を指指し、大袈裟なリアクションを取るアリサさん。まあ、物が物なのだから、当たり前の行動と言っていいだろう。


「届けに来てくれたの?あっりがとー!感謝するよ。」

「いえ、当たり前の事をした迄です。」

「おお!謙虚なガールじゃないかい!気にいった!あんた、明日ひまかい?お礼がしたいんだ。」

「え?いや、お礼なんか……」

「なんで!?いいじゃない。そうじゃないと、私の気が済まないから、さ。今日は仕事だから、明日の午前中にここに来てよ。」


そこまで言われたら、断る理由なんかなかったし、素直に好意を受け取る事にした。


「あ…、はい。わかりました。」

「よし!いい子だ。んじゃ、明日ね♪」


なんだか、賑やかな人だな。と、感じた…。





HIT!!

HIT!!


「……おい、お寝んねするには、早いんじゃないのかい?」

「……うっ、……あっぁ。」


……ボロボロだな。多分、HPももうそんなに残ってない。


〜注意!〜

AMAMIYAの体に負荷がかかり過ぎています。

現実世界の肉体に、大きな影響を及ぼす可能性があります。

ログアウトする事をオススメします。


……この注意メッセージが出るって事は、相当ヤバイ。もう、HPは0かもしれない。0になっても攻撃を受け続ける、もしくは、HPは残っているが、大怪我をした時に出て来るメッセージが、この注意メッセージだ。警告メッセージがでると、死ぬ一歩手前。





〜翌日〜

「オーッス!来たね〜。」

「こんにちは。」


指定された時間通りに、ケロケロに行くと、既ににアリサさんが待っていた。…待たせちゃったかな?


「待ちました?」

「いや、全然!じゃ、行こうか。」

「あの……、何処に行くんですか?」

「………歩きながら、話そうか。」


昨日とは違い、真剣な表情のアリサさん。……なんだか、ちょっと恐い。


「まず、ここに入ろうか。」


アリサさんが指した場所は、ファミレス。お礼って、食事の事か。……ゴチになります!


「いらっしゃいませ。二名ですか?」

「うん。」

「こちらにどうぞ。」


案内された席に座ると、アリサさんが真剣な表情で、話しかけてきた。……なんだろう?


「私は、さ…。仕事柄、いろんな人を見るからわかるんだ。」


わかる?なにがだろう?


「なにがですか?」

「昨日会った時にさ、眼見てわかったんだ。あんた、毎日が退屈だろ?眼が死んでる。はっきり言えば、仕事で疲れ果ててるサラリーマンよりも酷い眼だ。目的も目標も無い毎日に、あんたは絶望してる。けど、そんな現実に抗う力もない。どうしていいのか、わからない。そんな眼を、あんたはしてる。」


……そうなのかもしれない。毎日学校ではいじめられ、特にこれといった目標もないし、何かに打ち込む物もない。部活には入らず、学校と家をたどる毎日。友達もいない。けど、自分の中の、何かを起こそうとしても、行動に移せない。まさに、アリサさんの言う通り、私は死んでるも同然。


「それでね、あんたにチャンスをやろう!ここが、あんたの人生の分かれ道。常識を覆すような、ぶっ飛んだ体験をしてみない?」


……常識を、覆す!?どういう意味?ひょっとして、宗教勧誘か何かかな?


「常識を覆す?宗教勧誘ですか?」

「馬鹿!んなもんより、もっと素晴らしいもんさ。」

………麻薬かな?


「麻薬なら、私はけっこうですけど…。」

「……暗い。あんた、思考回路が暗すぎる。どんだけマイナス思考なんだよ?ええい、めんどくさい!ご飯食べたら、連れてってやるよ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ