28
「………着いた!」
森林の中を延々と歩く事、五時間。ついに、私はあああの開いている店を見つけた。
「……LV上げ、レアアイテム、レア武器・防具取り扱い店、あああパラダイス?」
………確かに、変だ。店名が。あああはいるのかな?店のドアを、軽くノックしてみる。
コンコンコン……
「すいませーん。」
「………。」
返事がない。……留守かな?
「あああさーん、いませんかー?」
「……おるよ。」
「少し聞きたい事が…」
「わしの年齢かい?」
店の中から、ガラガラ声の返事が返された。どうやら、あああはかなりの高齢みたい…。
「いや、年齢なん……」
「じゃ、わしのLVか?」
「違います。」
「それじゃ、わし好みの女子のタイプかい?」
「……………。」
「まあ、あんたくらいの若い女子なら、歓迎するよ。入りなさい。」
……!?中から、私の姿が見えてる?ドアは開いてないし、窓の前にも立ってない。………かなりの実力者みたい。
「失礼します。」
ドアを開け、店内を見回してみる。……様々な武器やアイテム、防具が綺麗に並べられていて、それらを眺めながら、奥のカウンターに足を運ぶ。そこにいた人物は、顔中しわくちゃの、ヨボヨボなおじいさんが、椅子に腰掛けていた。……この人が、あああ。
「ウヒョー!ビンゴ!!やっぱりわしの勘は冴えてるわい。ええのー、ええのー!若い女子のフェロモンは堪らん!」
……………見透かしたんじゃなくて、勘なのね…。
「声もええのー!」
……声か、成る程。
「あの………、あああさん、ですか?」
「いかにも!わしが最強のプレイボーイ、あああだぜ。イエイ!」
……ドヤ顔でピースしてる。
「聞きたい事があるんです。ガルデ・ゾーラの紹介で来ました。」
「…ふむ、ヘボ弟子の紹介か。」
……このおじいさんが、ガルデ・ゾーラの師匠!?
「はい、情報が欲しいんです。」
「いいけど、二つ条件がある。」
……このパターンはもしや。
「わしと勝負して、勝ったらええよ。もう一つは、ピーーー(放送禁止用語)やらして。」
〜あああ〜
AMAMIYAの攻撃!
右ストレート!
あああは吹っ飛んだ!
WIN 〜AMAMIYA〜
「はい、これでOKですよね?勝ったし、ピーーー(放送禁止用語)はこれで勘弁してくださいね♪」
「冗談が通じない女子じゃ……。かわいい年寄りの、イタリアンジョークなのに…。」
……イタリアンジョーク?
「まあ、ええ。言うてみい。」
え?いいの?それじゃ遠慮なく……。
「アダム守護者が、最近動き回ってるのは、ご存知ですか?」
「おう、知っとるよ。オヌシが昔に滅ぼした奴らの事じゃろ?」
「はい、何故守護者達が、再び動いているのですか?」
「情報料金100000Gね。」
……100000Gか。払えなくもない。私は、黙って100000Gをあああに手渡した。
「ふむ、正確には、守護者達ではなくて、個人だな。守護者の残党は、一人しかおらん。」
「それは確かですか?」
「……わしの能力は、先見の能力。ランク1位のあんたなら、説明せんでもわかるだろう?だから、わしは情報屋をやっておるんだ。」
…先見の能力か。自分が知りたい物事を、見通せる能力。それが、先見。例えば、漫画の続きや、ドラマの続き。テストの問題なんかも全て見通せる。もちろん、相手の攻撃方法や、能力までも簡単にわかってしまう。ただ、見えるだけ。あくまで、攻撃方法がわかっても、体がついてこれなければ、意味がない。多分、あああは老化で体が思うようについてこれないんだろう…。だから、能力を活かして情報屋をやってるんだ。
「何故、動き回っているか?それは、オヌシを殺す為だ。あの守護者抗争で、オヌシはやり過ぎた。奴らは再び軍団を築こうと画策しておる。その唯一の障害が、ランク1位のAMAMIYAと言う訳じゃ。」
私を狙っている、か…。
「オヌシは守護者にとって、最大の障害だからの。さらに、今から三分二十七秒後に、奴が襲撃に来る。」
「……奴?守護者が!?」
「カーテテルと……、洗脳されたプレイヤーがな。」
洗脳!?ひょっとして…。
「そのプレイヤーの名前は、そらとぶユパ様?」
「うむ。」
谷川君が、洗脳された!?それに…、カーテテル!貴様だけは、絶対に許さない!やはりあの時、トドメを刺しておけばよかった…。
〜緊急事態発生!〜
フィールドが半分消滅しました!
第990ナバール森林にいるプレイヤーは、非常事態につき、直ちに非難して下さい!
「ほーら、来おったぞ。」
「あああさん、この店から出ないで下さい。」
「ハッハッハ!冗談だろ?わしは最強のプレイボーイ、あああじゃ。」
「怪我しても、知りませんよ?」
「痩せ我慢はよくないな。オヌシ、今は能力とアイテムが使えんじゃろ?制限が解除されるまで、時間を稼ごう。」
「流石、先見の能力。全てお見通しですか…。」
「さて、行くかの…!」