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「天宮のどこがいい訳?あんな暗くて不気味な女が、お前の好みなんか?」
「……いや、好みと言うか、なんか不思議な感じで気になるんだよな…。」
俺の名前は、谷川大和。青春真っ盛りの高校三年生だ。趣味は読書。自分で言うのも難だが、地味でシャイボーイの弱虫チキン野郎。どのくらいシャイボーイかと言うと、女の子と目を合わせられないくらいの、シャイボーイだ。それに加えて、ビビりでモテない。どのくらいモテないかと言うと、自分の年齢と彼女いない歴が比例してしまう程に、モテない。なんだか、自分で言ってて悲しくなってきた…。
「それって、もう好きになってんじゃね?気になるんだろ?天宮の事が。」
今、俺と会話をしている人間が、同じクラスの松森直秀。運動神経抜群。身長でかくてバスケ部。スタイルもよく、茶髪でイケメン。ピアスなんかしちゃって、オシャレオーラ全開のチャラ男でモテる。どのくらいモテるかと言うと、毎日告白されるくらい、モテる!!第一、運動神経が良くて、身長があって、バスケ部でイケメン。これでは、モテない方がおかしい。羨ましい限りだ…。
「そう…なのかな?俺、天宮の事が、好きなのか…。」
「よし!そうとわかったらお前、今日の放課後に天宮に告白しろ。」
「えええ!?コクるとか無理無理無理。恥ずかしすぎる!!」
いきなり何を言い出すんだコイツは…。告白なんて、考えただけで恥ずかしい。直秀との関係は、幼なじみの大が付く程の親友だ。時々、お節介な事を言ってくるが、それは親切心から言ってくれてるみたいなので、面と向かって余計なお世話だ!なんて言える訳もなく、直秀に押し切られた形で、俺は放課後に天宮に告白する羽目になってしまった。嗚呼…、緊張する。
〜〜放課後〜〜
ホームルームが終了して、いよいよ天宮に告白する時がやって来た!直秀いわく、ちょっと話があるんだけど…。と、言って誰もいない場所に上手く連れ出して、自分の気持ちを伝えればいいらしい。
天宮結衣。これから俺が告白する、女の子の名前だ。染めてない、綺麗な黒髪を後ろにまとめたポニーテール。華奢な身体で無口。眼鏡をかけていて、いつも窓際の端っこの席で読書をしている。友達と群れず、いかにも私に近寄るな!と、いう雰囲気をつねに放ち、クラスではちょっと…いや、かなり浮いている。けど…、天宮の事が、最近気になって仕方がない。確かに、好きという感情もあるかもしれないが、それ以上に、気になっている事がある。天宮は、時々学校を休む。休むだけならそんなに気にならないのだが、休み明けに必ず、大怪我をして登校してくる。腕を骨折していたり、頭に包帯を巻いていたり、顔面痣だらけだったり、時には全身傷だらけで登校してくる事もあった。
そんな謎めいた女の子、天宮結衣に告白する為、教室を見回す……のだが、天宮がいない!?なんで?なんでいないの?動揺して、思わず直秀を見てしまった。
「馬鹿、天宮なら教室から出てったぞ。追い掛けろ!」
「わ、わかった!!」
急いで教室から飛び出して、天宮を追わなければ!天宮は、部活をしていない。普通は学校が終わったら帰るよな…。ならばっ、天宮は生徒玄関に向かった筈だ。廊下を全速力で駆け抜け、生徒玄関を目指す。………のだが、生徒指導の鬼沢先生に見つかり、怒られてしまった。
「廊下は走るな馬鹿野郎!!」
「ヒイィィィ〜、ごめんなさ〜い…。」
鬼沢のおかげで天宮を完全に見失い、途方に暮れたまま帰路につく。チクショウ、鬼沢の野郎め!!人の恋路邪魔しやがって。
「気晴らしにゲーセンでも寄っていこうかな。うん、そうしよう。」
過ぎた事は仕方がない。明日こそ天宮に告白するんだ!なんて事を考えながら街を歩いていると、見覚えのあるポニーテールを発見!間違いない、あの後ろ頭は天宮だ!何と言う偶然…。……どうやって声をかければいいんだろ?偶然だね♪ちょっといいかな?……とか?いや、待てよ…。あれ?天宮さん?こんな所でなにやってるの?……とか?う〜ん悩む。あっ…、悩んでる間に、天宮が建物の中に入っちゃった。入った建物に、看板が掛けてある。……え?ネットカフェ?
〜〜〜24時間OPEN・漫画・ゲーム・インターネットの爆遊会館♪〜〜〜