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ベリーバッド・転校生








 職員室にて。



「で?テンション高めるための音楽とゲームで遅刻しました〜、で許されるとでも?」

「ハァ、ハァハァ………。スミマセンデシタ……、ワルイトハ、オモッテルンデス…」


 クッソ…遅刻じゃねぇか。

 あの母……もうちょっと早く起こしてくれてもいいじゃん……。


 てかなんでそんなギリギリに全員で朝ごはん食べてんだよおかしいだろーが……。





「まーまー先生、許してやってくださいよー」

「お前も同罪なのわかってるのかフィーネ?」

「あっははははは!いやはや申し訳ない」


 快活に笑いやがるなフィー姉…俺一人であれば遅刻しなかったというのにアンタが「おぶってってよ〜」とか言うから遅れたんだぞ…。


 ちなみにメラニは中等部のため今は一緒にいない。

 たぶん俺たちと同じように説教を喰らってるだろうな。



「ったく、いいか?この名門天使学院である光開学院は規律を重んじる学院だぞ。まぁ朝のホームルーム前に打ち合わせしたかったから呼んだだけで、別に普通の学生的には早い方だからな。そこはよかったと思っておこうか」



 規律を重んじる、ねぇ?


 いかにも天使が通う学園なだけある。別に普段生活してる分には人間と一緒だろうに。








 ここでお手軽、エルくんの天使講座〜(パチパチパチ)




 天使っていうのは天からの御使、神や仏の手足みたいなもんだ。


 だがここ、神の領域である天使界では、天使たちは仕事を待って普通に暮らしている。

 天使の頭が馬鹿なのも良くないから学校もある。


 そして、神様からの依頼や雑務をこなすために俺たちはあくせく働いて、その働きで得た利益でモノを買う。




 ここまで聞けばわかるだろう。


 天使はここで、人間となんら変わりのない日常を過ごしているのだ。



 職業の話になると人間とは異なってきて、地上に現れた悪魔を秘密裏に討伐したり、神様の啓示を人間に与えたりとまぁ色々である。





 あぁ、あともう一個。


 天使っていう言葉でまず連想されるのは、頭上の光輪と翼であろう。



 しかし、アレは天使界ではしまっておくのである。


 何故なら、アレらの大きさや有無で、その者の力量や権力がわかるからだ。


 権力をひけらかすために翼を広げるというのもいいかもしれないが、それは上品ではない。



 光輪は権威を表し、翼は力量を表す。

 そして、それらを構成しているのは天使特有のエネルギーである【聖力】だ。


 自分の扱うエネルギーで構成しているため、自分の意思で見えなくできるし、翼に至っては透過し、服などのあらゆるものを通すため、生活に不便はない。



 よって、なんと生活ばかりか見た目も人間と遜色なくなってしまう。


 この学院も、普通のお嬢様とかが集まる名門学院であり、食事も人間が食べるようなものが提供される。








「いやまぁ、人間の生活が天使の生活に似てるだけの話なんだけどね?」




「唐突にどうしたコイツ」

「持病の発作なんです。気にしないであげてください」


 ちょくちょく家族からの当たりが強いのなんでなんだろうね?




「いいか?とりあえず今回は不問にするが、次からは気をつけるように。絶対だぞ?」


「もちろんですとも」

「まっかせなさぁ〜いっ!」


「なんだろうこの、言い表せないけど、果てしないほどの、あの、さぁ。その、野性の勘だけど、絶対に信用しちゃいけないと感じるこの感情……わかる?」






 とりあえず信頼はしてないってことね、わかった。

 大丈夫だ、次遅刻しそうになったら迷わずフィー姉置いてってやる。


「じゃあ、転校生紹介の段取りを説明してくぞ。フィーネはメガネ先生の方に行ってこい」

「いやー!エルと一緒の教室行くのーっ!」

「よし護衛、つまみ出せ」

「ギャー!冗談ですって!!」


 ほんとに護衛が出てくるとは思ってなかったのか、フィー姉は泣く泣くメガネをかけた先生の下へと向かっていった。


 まぁ、名門貴族学院みたいなもんなんだ、護衛がいたるところにわんさかいるだろう。



「よし、お前もああなりたくなかったら教室のルールには従えよ?」

「基本的人権……もとい基本的天使権は?」

「通用しない」

「うわぁ…なんてブラックな………」



「茶番はそろそろ置いといて、説明始めるぞ」

「あ、お願いします」


「じゃあまず転校生入室だな。俺の歌をかけるでいいよな?」

「いやちょっと待て!フィー姉でもうお腹いっぱいだから担任のアンタまでそんなことしなくて良い!!」


 クラスの生徒の視点でも考えてみろ!

 転校生紹介しますよ〜っつってなんで担任の歌が流れなきゃいけないんだ、おかしいだろ!!



「お、俺の完璧なプランが出鼻をくじかれた…お、俺のカラオケ代……、こっからが本番だってのに………」

「……はぁ、一応全部聞いておきますよ。次は?」

「台車で、俺の銅像に挟まれたエルがサンバの服装に魚のきぐるみの頭の部分を被って、筋肉ポーズを取っているのを持ってくる………」


「全部却下だわ、バカ教師」







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