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何者

作者: Audubon

主人公が何者なのか考えて読んでみてください。

 へいへい。どうも小生、今日だけ体を突かれております。

 周りはドンチャン騒ぎで、女、子供、そこらのおっさんだって派手な和服に着替えて、お面被ったりなにか食べたり、楽しそうに人混みを歩いております。

 派手な和服は小生も着とりますのでね、赤とか黒の。白もありましたかな?なのでなんとも思いません。ただ夜だというのに人が多いのなんのって。足音も声も気になるし、もうすこし静かにできんものかね。


 えぇ?こちとら狭い空間に百人ほど詰められて暮らしとりますから、自由に動けるだけでも羨ましい限りですわな。

 それに継ぎ足して前後左右上(下は安全です)から突かれよるんです。それが不愉快で気色悪くて、もう耐えられないわな。

 ん?小生が何者かって?まあまあ、他人の愚痴だと思ってもう少し辛抱してもらいましょか。右耳から入ったら左耳に横流ししてもろてかまいませんから。


 それにしても、頭上の光が眩しくて目なんか開けられたもんじゃないですねぇ。

 なぁ、わかる?真上からの光が乱反射して小生の目玉にグサアア!!っとね、刺さってね、頭に響いてこれもまた不愉快だわな。あ、刺さると言っても包丁が〜とか、木の枝が〜とかではありませんよ?比喩です比喩。そんくらいわかりますか。


 ありゃ、同居人さんが誘拐されてしまったわ。気の毒〜可哀想〜。そう思って気を紛らわしてるんですけども、連れられてったほうがどの道、幸せなんです。ってお隣さんが言ってましたから、きっとそうなんでしょう。

 小生はここに留まりたい者なんで気にしとりませんが、連れて行ってもらうときは、しばらく息を止めないと駄目らしいです。その後はしばらく振り回されたりしよるらしいですけど、突かれなけりゃ誘拐されないので、小生には関係ないと思います。


 おっと、先程、関係ないとか言っとりましたけども、お次は小生の番でごさいますねぇ!明日も円状の物で突かれてしまいますし、まだここに残りたいので避けさせていただきますね。

 小生の和服は地味で模様も質素ですからねぇ、避けたら勝手に諦めて別の者のところへ向かってくれます。


 あららぁ……黒い和服の美人さんが連れてかれてしもうたぁ。吸い込まれるような黒髪に黒の和服を纏い、とても綺麗なお方なんですよ。話してみたかったんですけど、小生が突かれ連れられても、あの黒い和服の美人さんには会えませんからね。明日もありますし、ここは耐えて、次の日も耐えるとしましょうか。 


 そろっと名乗ったほうが良いのかな〜なんて一瞬思ったんですけども、どうしましょうかね。知りたいですかね。別に知らんでも不便はないですもんね。こんな意味わからんやつの正体なんてどうでもいいですかね?


 右へ左へ、手足を必死に動かして狭い箱庭を走りますと、連れて行かれたほうが幸せだ。とほざいていたアイツに出会いました。前より和服が汚れているような気がしたので、如何しました?と問うと、いざ突かれに行ったら思ってたより怖くて、やっぱりここに残ることにしたんですと。

 まぁ確かに、声も足音も生活音も体が痺れてくるほどうるさいのでね。この箱庭から出るよりよっぽどいいでしょう。小生のような話し相手もおりますからねぇ!そんなこと誰も言うとらんやないか〜い。……今の、右耳から左耳に頼んますで?


 よっしゃ、子供が小生達の周りから散っていきましたわ。ここらで一休みとなりますかね。 そういえば、周りの音が心做しか小さくなったように感じますねぇ。同居人達も同じような話をして盛り上がっとりますわ。


 段々追々、大人子供の数が減ってきて、我々もそろっと疲れを感じてきましたわ。なんせ今日の午前からずぅっとこんな感じで、知らん奴に突かれて、強い光に照らされて、仲間は連れて行かれるわで、もぉ〜大変。

 こんなに気が休まらないなら、突かれて連れて行かれたほうが、幸せなんですかね?この箱庭で知り会った方々を忘れて、小生を連れて行ってくれた方と暮らしたほうが良いんですかねぇ?小生はこの箱庭で充分快適に過ごせていますし、頭上の強い光を除けばの話ですが。


 うーん、どうしたものか……よし決めた。小生、突つかれに行ってみようと思います。ほんの気まぐれで決めたことだけど、気が変わらぬ前に飛び込んで、あわよくばこの箱庭の外へ連れて行ってくれえ!!


 小生、突かれるために円状の棒へ飛び込みましてね。無事に箱庭の外に出ることができました。水から持ち上げられたとき「箱庭の外はこんなにも苦しいのか」と死を意識していたのですがね?すぐに袋へ入れられて苦しさも段々遠のいていきました。

 いやぁ、今は狭い袋の中にいるのですが、全然振り回されたりしないんですわ。聞いていた話と違っていて少し拍子抜けいたしました。


 箱庭からでたのが初めてで、不安がともなってくるのは当たり前なのですが、って、おお!ここが小生を連れて行ってくれた方の家なのですか!小生、人の家というものをまともに見たことがないので、なんとも言えないんですけども、とても良い家ですねぇ。壁は汚れ一つなくて、屋根もしっかりしとりますわ。


 ……よし、そろそろ潮時ですかな。小生のくだらない愚痴に付き合っていただいてどうも。それでは、さようなら……え?小生が何者かって?


 何者かなんて聞かれても、そんな大したもんじゃありませんよ。

 小生は金魚のキンちゃん言うんです。箱庭からでたからには、短い余生を楽しむとしますかな。改めまして、さようなら。

最近、太宰治とか芥川龍之介とかの文豪を読み始めました。

太宰治は読めましたが、芥川龍之介は難しくて途中で断念。すぐ隣に国語辞典が必要。

まだまだ語彙も文章力も、ついでに読解力も足りないなぁ〜なんて思う。

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