将来結婚しようと約束した幼馴染が10年後家出娘として私の前に帰ってきた!
私の名はキララ・ハーロック平民のごく普通の女の子です。ただ少し違うのは他の子より少し体力があって少しだけ力が強い事。
「キララ。今日はどんな話を聞かせてくれるの?」
この子はレベッカ・クラリス。侯爵家のご令嬢。私とは真逆で身体が弱く、品があるお嬢様。私が毎日外を走ってどこかへ行くのを窓から見ていたらしく。レベッカが従者の人に頼んで私をここに連れて来たのが全ての始まりだった。
「それでね。今日はこの前登れなかったあの大木に登ってきたんだ!」
「そんな事をして怒られないの?」
「黙ってれば怒られないわよ!バレたら叱られるけどねー。」
「ふふふ。あんまり無理はしないで下さいね。キララは私のたった1人の大切な友達なのですから。」
「大丈夫ー!私は強い子だから!あっ、そうそう!これお土産ね!」
私はポケットから四葉のクローバーを取り出した。
「四葉のクローバー……良いのですか?」
「いいわよ!私、幸せ見つけるの得意だから!」
「ふふふ。ありがとうございます!では、四葉のクローバーを頂いたのです。何かお礼を渡さなければなりませんよね……何がいいでしょう?私に出来る事ならなんでも差し上げますよ?」
「じゃあ私とずっと一緒に居てくれる?」
「ずっと……ですか?」
「うん!ずっと!大人になってもおばあちゃんになっても私たちはずっと友達!」
「ふふふ、キララらしいお願いですね。でしたら私をいつかキララのお嫁さんにして下さい。そして幸せにしてください!」
「おお!親友よりずっと上のポジションにいられるね!いいよ!約束!」
「はい、約束です。」
私たちはそうして指切りをした。しかし、この数日後レベッカは隣の国に引っ越す事になった。病気の状態があまり芳しくなく隣の国で治るまで帰って来ないと言われた。
「……嘘つき……」
私はレベッカが約束を破ったと思いそのままレベッカの事を忘れる事にした。
それから10年の月日が経ち、私は街1番のハンターとなっていた。
「おう、キララまた1人で狩か?たまには俺たちにも付き合わせろよー」
「えーやだよ!だって取り分減るじゃん!」
「でもよー、女1人でモンスター狩ってるなんざ危なかっしいにもほどがあるぜ。」
「いいのよ。狩りは1人の方が楽なんだもん。」
私はそのまま報酬を貰ってギルドを後にする。
「まぁ好きにさせてやりなよ。あの子は誰よりも強いんだしさ。この前も国の剣技大会で準優勝してたじゃねえか。しかもタイムアップの判定で。」
「あぁ、だからって若くて優秀なアイツをミスミス失いたくないのくらいわかるだろう?」
「まぁな。」
ハンターは常に危険と隣り合わせ。そんな職業だからこそみんな私を心配している。だけど私はもう誰も信じないと決めている。レベッカが私を裏切った。あんなに仲が良くても人は簡単に裏切るのだ。それゆえに他人を簡単に信用など私には出来なかった。
「おい、見たかよ。」
「あぁ、噴水広場にいる美人だろ?」
街を歩いているとそこら中から同じ話題が聞こえる。
「旅人かしら?」
「まさか。あんな綺麗な服を着た旅人はいねえよ。」
そんなに美人なら一眼拝んでおこう。そんな興味本意で私は噴水広場へと足を運んだ。
(あー……確かに美人だな……整った顔立ちに綺麗な赤い髪。まるであの子を思い出す。)
そんな事を考えていると彼女と目があった。
「キララ?」
「えっ……?」
そう言った瞬間私の元へ駆けてきた。そして私をぎゅーっと抱きしめた。
「ようやく……ようやく逢えました……」
「ちょっ!まさかレベッカ⁉︎」
「はい!どれだけこの時を待ち望んでいたか……」
私は抱きついているレベッカを突き放した。
「なんで……なんで勝手に居なくなったの⁉︎私がどれだけ傷ついたか、貴女にわかる⁉︎」
私は10年間溜めてた思いを吐き出してしまう。もちろん病気だからって事はわかる。でも、10年も手紙すらくれなかったのに今更来られたからって嬉しいはずもなかった。
「えっ……?手紙届いていませんか?」
「はぁ⁉︎1つもないわよ!」
「チッ……やっぱりか……」
あれ、今舌打ちした……私の聞き間違いかと思った。レベッカはそんな舌打ちをする様な子じゃなかった。というかみんなの注目の的になっていた。
「とりあえず場所を変えましょう。ちゃんと説明するから……」
「う、うん。」
目の据わったレベッカに促され私達はその場を離れる事にした。
私たちは街で1番の大木の所に来ていた。
「まずは、ごめんなさい……本当はキララちゃんとお別れしてから引っ越したかったの。でも、そんな余裕もない程に私は弱ってたの。」
「そう……だったのね。」
子供だったとはいえレベッカを責めたあの時の自分を許せなくなった。
「だけど引っ越してから徐々に病気も回復してきてからは1月に1度はキララちゃんにお手紙書いていたの。」
「私……1つも貰ってないよ……」
「うん、さっき聞いた。たぶん出して無いんだと思う。私は外に出られないから従者の奴に渡してたの。たぶんお父様が捨ててたんだと思う。私はキララちゃんが筆不精なの知ってるから読んでも出してないだけと思ってたわ。」
あれ、さっきから言葉の端々になんか品のない言葉が聞こえる様な……
「それでね……3日前も私にお見合いの話がきてたの。」
「え?あぁうん。そんだけ美人なら引く手数多だよね。」
「でも、私結婚する気なんてさらさらないからそれをお父様に伝えたの。そしたら……」
「それは平民娘との約束があるからか?」
「はい!私はあの人の隣以外で生きたくありません。」
「そうか……ならば出て行け!2度と帰ってくるな!」
「と、言われたので家出してきました。」
「はあ⁉︎それ大丈夫なの?」
「知りません。家出したと言うより勘当されたので。」
「ええっと……大丈夫じゃ……ない……わよね?」
「良いんです!それより……」
レベッカは私に顔を近づけて目を細めた。
「約束守ってくれますよね?」
「えっ……?」
「忘れたなんて言わせませんよ?私とずっと、ずっと、ずーっと一緒に居てくれますよね?」
誤解は解けたけど。なんか色々と問題が起こりそうな予感がする。ええい後は野となれ山となれ!
「じゃあ私に捕まって。」
「えっ?は、はい。」
返事をしたレベッカは私抱きつく様に掴まった。
「ごめん、やっぱりおんぶになる形でお願い……」
決まりの悪い事この上ないが仕方ない。だってこのままだと登れないからだ。レベッカをおんぶする形で私は大木を登り始めた。
「えっ?キララちゃん!私1人でも登るわよ⁉︎」
「うるさい!今は私にしがみついてて!」
「でも……私重いよ?」
「へへへ。軽いわよ!」
私があの日大木へ登った時に思った事……それはレベッカとあの景色を見る事。それはずっと心の中の引き出しにしまってあった事……その時はレベッカを担いで1人で登れるくらいの体力と力を付けておかないとと思い毎日鍛えてきたんだ。
あぁ……私は結局なんだかんだ言ってレベッカの事信じていたんだと登りながら気づいた。
「到着!」
「凄い!流石キララちゃん!」
「へへへ!どんなもんだい!」
私はヘラヘラ笑いながらレベッカにピースで答えた。
「この景色が……キララちゃんが見てた景色だったのね。」
「うん。2人で……もっと……早くに……」
「えっ?キララちゃんなんで泣いてるの⁉︎」
「うるさい。誰のせいだと……」
私が続きを言う前にレベッカのキスで口を塞がれてしまう。
「私のせいよね。でも今はこの言葉を言わせて……」
私はレベッカを真っ直ぐにみた。
「私をここまで連れて来てくれてありがとう!」
その瞬間私はレベッカに抱きしめていた。まるで子供の様にレベッカの胸で泣いた。そうして私が落ち着いてから2人で大木を降りて行った。
読んで頂きありがとうございました。急に頭に浮かんだ百合作品を書きました。現在は異世界転生の作品を書いておりますのでそれまでの繋ぎとして読んで頂けると幸いです。
無茶苦茶思いつきで設定何もかもぐちゃぐちゃですが百合を楽しんで頂ければと思っております。
もし面白いと思った方はブックマークを。もし続きが読みたいという方がいれば下の星マークに評価をして頂けると幸いです。
それではまた次回作で!