父親
17部報告の誤字報告感謝です!
「えっ?勇者様って魔王と相打ちになっちゃったんじゃないの?」
ルーシェは何故私が生きているのか疑問を持ったらしい。
「それは、今から説明するよ。」
それから私はガリオンへの説明も兼ねてここまでの経緯を説明することにした。
元々の身体は魔王との戦いで死んで、魂は死んでいなかったから新しい身体…このユーリアの身体に魂を入れたこと。
この身体は私がだいぶ前に作った身体ということ。
それからお金を稼ぐ為に冒険者を始めたこと。
薬草採取の依頼の途中で奴隷になっていたルーシェを見つけたこと。
ルーシェが両親に会いたいといってここまで来たこと。
「…ルーシェが奴隷……だと…?」
ルーシェが奴隷になっていたことは知らなかったのかガリオンは今まで見たことないほどの青筋を顔に立てていた。
「落ち着け。ルーシェは今俺が助けてここまで連れてきたんだ。誰かに買われた訳じゃない。」
何とかガリオンの怒りを鎮めようと私は言葉を紡ぐ。
こんなのは娘を奴隷にされた父親にとっては慰めにもならないかもしれないがガリオンは悪くないと認めるのは大切なことだと思う。
「だが!ルーシェが捕らえられた時はどうだ!お前もそこには居なかっただろう!何をされたか分からない!辱めを受けたかもしれない!暴力をされたかもしれない!」
それでもガリオンは止まらなかった。私に怒っている様に見えるがそれは違うと思う。ガリオンは娘を守れなかった自分に怒っているのだ。
非常に娘思いでルーシェは良い父親を持ったな。
「ガリオン。とりあえず落ち着け。そこら辺はルーシェに聞かないと分からないんだ。ひとまずルーシェの話を聞こう。」
私はガリオンを前よりも小さく華奢な身体で抱きしめた。
ガリオンの怒りを鎮めるには言葉だけでは足りないと思った。
しかも今の私の身体は女だ母性を発揮出来るかもしれない。
男だったら振り払われて居たかもしれないが…
いやガリオンはそんなやつではない…よな…
「ユウト…いやユーリアすまない。取り乱した。」
やっと落ち着いたのか普段の口調に戻った。
「大丈夫だ。娘の事となったら激怒するのは当たり前だろう。」
私は子供を持ったことは無いが家族を失うのがどれだけ辛いのか知っているため、それと同じだろうと思った。
「ありがとう。ルーシェ…聞くが捕らえられた時に何かされたか?」
随分と直球だなと思いながら私はルーシェを見据える。
「道を歩いてる時に急に後ろから男の人に首輪を付けられたの。そこから記憶が曖昧だけど。こいつは上物だから傷つけるな。って男の人の仲間が言っていたから何もされてないと思う。」
その言葉を聞いて私は少し安心した。でもそれ以上に安心しているのはガリオンだろう。
娘が何もされていないと分かったのだ。
「そうか…ルーシェすまない。何もしてやれなくて…」
ガリオンはルーシェに優しく抱きつく。
私の見間違いかもしれないがガリオンの頬に一筋の涙が見えた気がする。
「ううん。大丈夫。勝手に家出した私が悪いの。怖かったけどユーリアが助けてくれたしね。」
「そうか…ユーリア…本当にありがとう。ルーシェを助けてくれて。」
「よせやい。俺とお前の仲じゃんか。礼なんか要らない。」
照れくさくて私は誤魔化してそっぽを向いたがガリオンはその事に気付いているのか生暖かい目を向けてくる。
非常に恥ずかしい。
ルーシェは家出をして奴隷になったらしいがなんで家出などしたのだろうか。
「ルーシェはどうして家出なんて「おい!それは!」したの?」
途中でガリオンが聞くのを止めようとしていた気がするが遠慮なく私は続けた。
「えーとね。お父様…ううん。もういいね。パパに私の下着とパパの下着一緒に洗わないでって言ったのに、ダメだ。ルーシェの下着と俺の下着は一緒に洗う事が絶対だ。とか言われたからだよ。」
それを聞いて私の中のガリオンの評価が猛烈に下がった。
さっきまでは娘思いの良い父親だと思ったが…
これはただの気持ち悪い親バカだ。
「ガリオン…それはなんでも…ルーシェも年頃なんだ。嫌に決まってるだろう。お前は変態だったか…はぁ…」
「ぐはっ!」
「そうだよ。パパの下着と一緒なんか絶対やだもん。服が一緒ってだけでもやなのに。」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ガリオンが私の辛辣な言葉によりダウン寸前だったがルーシェの言葉により完全にダウンした。
相応の報いだな。
更新出来てなくてすみません!
これから忙しくなるので更新頻度落ちるかもですが週1は絶対投稿すると思うのでよろしくお願いします!