薬草採取と一波乱
薬草を取りに私は近くの森に来ていた。前に居た森とは違う森だ。
こちらの森の方が沢山草が生えていて薬草が沢山ありそうだ。
普通薬草をとる時は葉の裏を見て確認するしかないんだけど私には鑑定があるからね。
ものすごく楽だよ。
鑑定してはとって鑑定してはとってそれを延々と繰り返していた。
30分ほどたった頃だろうか持ってきた鞄はパンパンになり、そろそろ帰ろうかなと思っていたら近くで馬車の音が聞こえたのでそちらを向いてみると白い布を被せた荷台が見えた。商人は2人と護衛が数人隠れているようだ。
少し怪しいなと思った私は馬車に近づき、商人2人の会話に耳を澄ました。
「いやー!今回はとんだ上物でしたなぁー」
「そうですな!どこの貴族に売り払ってやりましょうか!」
「確かどこだったかの街に性奴隷を好んで集めてる貴族がいた気がするのでそこに売りましょう!」
「私もその話は聞いたことがあります。良い値で買い取ってくれるんでしょうなぁ!今回の奴隷は私どもでも初めて見るような麗しい容姿をしておりますから」
どうやら奴隷を運んでいる最中らしい。
私の5年前の記憶があっていれば奴隷制度は一部の国を除き禁止されていたのだが。
流石にここで見逃すのは何となく嫌なので奴隷を助けることにした。
「おい!そこの馬車とまれ!」
「ん?これはこれは…どうしましたお嬢さん?」
「奴隷は禁止されてるはず。なぜ運んでいる?」
「それは金になるからに決まっているでしょう!よく見れば貴方も麗しい容姿をしている。おいお前らこいつを捕まえろ!」
3人の護衛が荷台から降りてきた。
捕まったら私も奴隷になってしまうらしい。
流石に目が覚めたばかりなのに自由を奪われるのは嫌だ。
「嬢ちゃん悪いこたぁいわねぇ痛い目合う前に捕まるんだな!」
護衛は問答無用で私に剣を振りかざしてきた。
だがあまりにも力任せだったのでサイドステップをして避けた。
「なにぃ!?」
一撃で仕留められると思っていたのか護衛は驚愕の声をあげた。
「ふっ!」
「グハッ!」
その瞬間後ろが、がら空きだったので身体強化をして首筋に手刀を叩き込んでやった。
これが決まるとやはり気持ちが良い。
「あと2人だね」
「「よ…よくも俺たちの仲間を!!」」
残りの2人は仲間がやられて頭に血が上ったのか力任せに剣を振ってきたので。
「ほい。」
「グフゥ!」
「ガハッ!」
こちらも手刀でしとめてやった。
これで護衛は全員倒したので商人の方を見ると。
「ひっ!金が欲しいんだろ?金ならやるから命だけはぁぁ!」
めっちゃビビっていた。金で命乞いとかまんま悪者だな。
「許すわけないだろ?」
「ひぃっ!」
バタッ…
「あれ?」
何もしてないのに気絶してしまった。まぁ気絶させる予定だったし丁度いいなと思ったのでアイテムボックスから縄を出して護衛3人と商人2人強くを結んだ。
そして奴隷を助けてあげようと荷台に掛けてある白い布を取った。
荷台に乗せられていたのは商人たちの言っていた通り麗しい少女だった。
私の銀髪と対をなすような黒い髪に黒い瞳で出るところは出ている。
だが首に付いている首輪のせいなのかは分からないが綺麗なはずの目は酷く濁っていた。
「…貴方は?」
その少女は小さく呟いた。
「私の名前はユーリア。貴方を助けた冒険者だよ。」
こんな時はカッコつけてもいいだろう。
私は無い胸を張って奴隷の少女にこれでもかというドヤ顔を見せつけた。
長めですねぇ私にしては、詰め込み過ぎた感じもしますが。
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