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才能は技術ではなく
才能とは習熟の速さという。それは技術のことである。だから、例えばそうかもしれない。しかし、芸術とはなにかということがある。ここにないものを創り出すこと。今までになく、このままでも現れないものを、その手で造りだすことを、技術と呼ばない。才能とはもがきぬくこと。見えそうで見えないものを見ようとすることをやめられないこと。それは体質のようなもの。知らなかった己が立ち現れてくること。糸にひかれるように何かが導かれていく。その先へ、そして遠くから遠くへ。一息に飛ぶ。飛躍こそ才能という苦痛の特徴だ。