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断章 ノ Ⅲ
――微睡みから、覚める。
夢を、見ていた。
ああ、でも、それは本当に、夢なのだろうか。
色、匂い、感触――全てが鮮烈に残っている。
――俺は……。
――どうされましたか?
――……お前は……。
懐かしい……気がする声。
――だれだ?
――……リィンですよ。
――リィン……。
――……。
リィン。リィン……? 本当に?
いいや、違う。リィンとは誰だ。
ああ、違う。俺は誰だ。
――ああ……。
――……そろそろ限界、なのですかね。
光が、身体を包む。
王座が光る。
そのたびに、俺は――僕は。
――……それで。
――ああ……?
――次は、貴方は何処へいったのでしたっけ。
――次……次は……――
俺は、微睡む。
ここで。
独り。
この世界が平和になるまで。
 




