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玉虫色の結婚  作者: 葛葉
9/11

茶色の味

 

 ベアトリーチェは今隣室でエスターとお針子とドレスの採寸をしている。


 ウエディングドレスは自国で作るのだが、輿入れ後に着るこの国の様式のドレスを作るためのものだ。

 婚約式はまだだが、余計な横槍を入れられぬようにするため最短での結婚準備まで行われている。


 いつも付き従っているカインであるが、今は流石に同室はしていない。

 執務室の応接セットで自分で淹れたお茶と持参のお菓子で休憩をしている。


「ねえカイン、ベアトリーチェ殿下はレオのどこが気に入ったのかなぁ?」


 相変わらず手元を見ていないようでありながら、書類が高速で捌かれている。

 その発言にレオンハルトとリフも興味を惹かれて顔を向けた。


 もう取り繕うことなく菓子を口いっぱいに頬張り、カスを散らかしながら一人モクモクと平らげていたカインは咀嚼してから声を出した。



「おひいさんのことあんまり好きじゃないところだよ」



 内容があんまりだった。


 呆気にとられながらももう二度とこんな機会はないかもしれないと、公爵子息はめずらしく手を止めて質問に集中し始めた。


「え?ベアトリーチェ殿下は自分のことを好きじゃない人がタイプなの?マゾなの?」


「マゾじゃないよ。ドのつくSだよ。そうじゃなくって…」


 今スルーして良いのかわからない情報がぶっ込まれてきたが、ジュードは続きを聞くのを優先した。



「おひいさんに狂う人って、結構多いんだよね。

 だからレオ様は貴重なの。

 どころか今のところ唯一なの、心酔しないで冷静におひいさんを見ようとする人って。」



 曰く、件の3時間滞在の国は既成事実を作るために姫のお茶に媚薬の類を即効盛ったためにお断りした。

 一々国際問題にするわけにはいかないので(何しろ数が多過ぎる)事を荒だててはいないが、他の国でも薬や物理的な力で暴挙に出られ、またそうならなくても嫉妬やら崇拝やらからかなりの大嵐が予想されたため早めに国外脱出することが多かったらしい。


 一応円満に一律「条件に合わないため」との断り文句にしているが、抵触するのが冊子における姫の心身の安全の保障なので、証拠はガッチリ押さえて騒ぎ立てれば表沙汰にする用意はあると通達しているとのこと。



「そんで1番のネックが俺なんだよねー。最終的に嫉妬で俺をおひいさんから引き離そうとするからお断りして次の国へ…ってね」


「だがそんないつ害されるともわからぬ環境でこそカインを引き離すわけにはいかないだろう?」


「そこがレオ様の真っ当なところだよね。

 んでおひいさんを好きじゃないところだよね。

 そういうフツーのことが思えなくなって、離れないのは絶対俺とデキてるからだと思って、

『姫の身の安全は私が守る』 キリッ

 とか言ってさー。

 会って数時間〜数日でみんなテンプレのように様変わりしちゃうし、本人だけじゃなくて周囲もおかしくなる事もあるし、そんなあやしい人達に安全性を主張されても一番危険なのは当人達だし?」



「デキてるのか?」


 それは流石に困るな。王家の血筋を確実に引いている子供を産んでもらわねば困る。



「いやデキてないって。」


「ならいいだろう」


「あははははははっ!」


 お茶飲む人―?ついでに淹れるよー!との言葉に3人は頷き、先程までとは打って変わって優雅な所作で淹れられるお茶を見ていた。



「でもそれだとベアトリーチェ殿下にとってはカインが優先度一番って聞こえちゃうよー。

 ぶっちゃけ護衛ならチェンジありじゃない?

 せめて人数増やすとかさー」


「本当にまともに護衛できるんならねー。

 今までオレ以外の護衛って、ストーカーにジョブチェンジするか、おかしくなる前にって自ら配置チェンジ願い出るかのどっちかだったよ。」



「「「……」」」



 あははーとまた笑いながら所作だけは優雅に、無言になった3人にそれぞれお茶を配る。




「とても楽しそうですわね。何のお話ですか?」


 採寸の終わったベアトリーチェとエスターが部屋に入ってきた。

 ずいぶんと時間がかかっていたようだ。

 お針子達の並々ならぬ熱意が隣の部屋から漏れ出している気さえする。


「おひいさんのお見合い相手の話だよ。オレとデキてるっていつも疑われるって話。」


 ベアトリーチェは柳眉を微かに顰め、それでも優しげに見える表情で救いようのない事を言う。



「あぁ…本当に、皆この駄犬相手に何を考えていらっしゃるのかしらね。」


「でもカインさんは侍女やメイドの中でもスッゴイ人気なんですよ!」



 エスターがフォローをするが、駄犬扱いはスルーらしい。



「躾けきれなかったけど、喋らなければバカがバレない様に立ち居振る舞いだけはなんとかしたものね。

 …ああ、エスター私にもお茶を淹れて下さる?一緒に飲みましょうよ。


 本当に立ち居振る舞いだけだから、カインの淹れたお茶はクッソ不味いのよね」



 ちょうど口に含んだ王子達3人は息ピッタリにお茶を噴き出した。


本編としてはここまで。

次話からは蛇足の設定話。

結婚と言いつつ、結婚式とかしてない。

そしてサブタイも途中から、何だこれ?

まぁ玉虫って外見グロいし玉虫色って何色かわかんないけど、キラキラしててキレイだよねってことで。

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