第21話 弱点
少し時は遡り、レミリアがメアリーを連れて霊夢達のところを離れたとき、蘆屋は右手に拳銃を持ち直した。
(あれは、妖怪だな……、何故、人間に味方するのだ……まずいな、目の前の小娘にすら手こずっているというのに、妖怪までこられては勝ち目がない。はやく、こいつらを倒さねば)
霊夢と魔理沙は、蘆屋から離れたところで何やら話をしていた。
そして、霊夢と魔理沙は飛び上がり、蘆屋から少し離れて、霊夢は蘆屋の前方に、魔理沙は蘆屋の後方に位置取った。
(こいつら、何をする気だ?まあ、この距離ならはずすことはないな。だが、殺すのはまずい、深手を負わせれればそれでいい)
蘆屋は拳銃を霊夢の身体向けて撃った。しかし、銃弾は霊夢には当たらなかった。
蘆屋はもう1発撃ったが、それも霊夢には当たらなかった。
霊夢は少しの動きで、避け切っていた。
「な、何故当たらん!」
「生憎、弾除けには慣れてるの」
「くっ……」
蘆屋は後ろを向き、引き金を引いたが、魔理沙はミニ八卦炉を構えたままそれを避けた。
蘆屋は再び振り返った。
すると、霊夢の周囲には、色とりどり大きな光の玉がいくつも浮かんでいた。
(あれは何だ? この光は……そうか、確かに、妖怪にはかなり効くだろう。だが、私はそれが何であるかわかっている。ならば、問題ない。突っ込むか)
蘆屋は再び右腕から鉤爪をだし、霊夢の方へ向かおうとした。
(まてよ……たしか、後ろのやつも何か構えて……)
蘆屋は振り返った。
見ると魔理沙のミニ八卦炉から光が漏れ始めていた。
蘆屋は目を見開いた。
(こいつら、同時に……まずい!)
「マスタースパーク!」
「夢想封印!」
霊夢と魔理沙の声とともにいっきに、極太のレーザーと光の玉が蘆屋に襲いかかった。
蘆屋は上に飛び上がり、ギリギリそれを避けた。
霊夢は前からくるマスタースパークを避けながら、さらに蘆屋に光弾を飛ばした。
しかし、蘆屋はそれを避けず、後からはなった光弾は全て蘆屋に命中したが、光弾は炸裂せず、蘆屋も無傷だった。
「あれ〜おかしいなぁ? なんで、最初の攻撃は避けといて、後の霊夢の攻撃は避けないんだぁ?私のマスタースパークだって最初はそのまま避けずに突っ込んできたはず、何かまずいことでもあるのか?」
メアリーが退場したあと、魔理沙は霊夢にある提案をしていた。このままじゃ、拉致があかないから、一度全力で同時に攻撃してみないかと。
「霊夢!」
「わかってる」
魔理沙は魔法での攻撃、霊夢は夢想封印で攻撃し始めた。
蘆屋を光弾が追い、魔理沙は蘆屋の動きを追っていた。
(くそっ、面倒なことになった。私の体では同時に二種以上の事には対処できない)
魔理沙は光弾が蘆屋にあたりそうになるごとに魔法をはなった。
蘆屋はそれをみて、逆に光弾の方に突っ込んでいき、魔法をかわした。
「魔理沙、もっと合わせられないの!」
「わかってる!どうしてもタイミングが合わないんだよ」
魔理沙と霊夢は攻撃を続けたが、蘆屋は同時に当たらないように、タイミングをずらしていた。
少しタイミングがずれて、霊夢と魔理沙の攻撃が当たることはあったが、蘆屋には効いていなかった。
しばらくして、魔理沙は連続で魔法を使えなくなりつつあった。
連続して何回もつかったことにより、魔力をかなり消費していた。
霊夢も、連続で攻撃し続けており、かなり体力を消耗していた。
「魔理沙、いったん離れよう!」
「わかった!」
魔理沙と霊夢はいったん、攻撃をやめ距離をとった。
蘆屋はそれを追撃しなかった。
霊夢と魔理沙の猛攻を避け続け、霊夢達ほどではないにしろ、体力は消耗していた。
戦いは膠着状態となっていた。
霊夢と魔理沙は蘆屋と少し距離をあけて向かい合っていた。
あたりは静寂に包まれていた。月は雲に覆われ、辺りはとても暗い。
蘆屋は霊夢と魔理沙を前に迂闊には動けなかった。 それは、 相手に隙を見せるわけにはいかなかったからだ。
蘆屋は霊夢と魔理沙を注視して、動かなかった。
そして、ちょうど月が雲から顔を出したのか、光が辺りに差し込んだ。
その刹那、蘆屋は後ろに何かを感じた。
蘆屋は振り返った。
目の前には一瞬、二筋の光が映ったように見えた。
その瞬間、蘆屋の身体中に、痛みが走った。
「ぐっ! な、何だ! 背中をやられたのか」
蘆屋の背中には大きく斜めに傷が入っていた。
霊夢と魔理沙は見ていた。月明かりが差し込んだ瞬間、一瞬の間に、空から二筋の光が蘆屋に向かっていき、蘆屋の背中を切り裂いたのを。
苦しむ蘆屋の前方に、現れたのは、レミリアに抱えられたメアリーだった。
メアリーの両手には光るオーラに包まれた木の棒と木の小刀が握られていた。




