第19話 敗走
メアリーから離れたところで霊夢達が戦っているのが見えた。
まだ、距離はかなりあり、誰もメアリーがいることに気がついていなかった。
辺り一面は緑の葉が生い茂った木で覆い尽くされており、ほとんど地面は見えなかった。
メアリーは上空から自分の姿が見えないように、地面の近くまで下降した。
そして、霊夢と魔理沙が蘆屋戦っているすぐ下まで移動した。
メアリーは空を見上げた。3人ともこちらに気がついたいない。メアリーは右手の木の棒を左手に持ち替え、身につけているナイフを右手に持った。そして、3人がもう少し下に来るのを待った。
(以前は魔法での攻撃は効かなかった。今、魔理沙さんや、霊夢さんが魔法などで攻撃していないことからも恐らく効かない。だったら、この咲夜さんから分けて貰ったナイフで一撃を加えないと)
そして、その時がきた。霊夢と魔理沙の攻撃を受け止めたのち、蘆屋は少し下降し、上からの攻撃に備えていた。
(今だ!)
メアリーは思いっきりは地面を蹴り、そして魔法で加速した。
丁度その時、魔理沙と霊夢は蘆屋に攻撃を加え、蘆屋はそれを受け止めていた。
メアリーは一気に蘆屋の背後に迫った。
蘆屋は背後に何か気配を感じて、霊夢と魔理沙の攻撃を押し返し、振り返った。
すると、目の前でメアリーがナイフを切り上げようとしていた。
蘆屋は避けようとしたが、避けきれず、メアリーの刃は蘆屋の左の頬を切り裂いた。
(いつのまに、くっ、こいつはあの小娘か)
蘆屋は頰の傷を抑えその場から離れた。
メアリーは追撃を加えようと思ったが、蘆屋が体制を立て直しているのを見て、一度、霊夢と魔理沙と合流した。
魔理沙がメアリーに話しかけた。
「メアリー、どうしてここに」
「こいつの気配を感じたんです。それで、今のところどんな感じですか?」
「霊夢の攻撃は効かないし、私のマスタースパークですら効かなかった。そして、今、あいつは恐らく外の世界に逃げようとしてる。ここは博麗神社の近くなんだが、博麗神社は外の世界と幻想郷の境目にあるんだ。だから、いまこの場で倒さないとけない」
「私に一つ考えがあります。聞いてください」
メアリーはそう言うと、手短に考えを魔理沙と霊夢に伝えた。
メアリーの考えを聞いた、霊夢と魔理沙は下降した。
メアリーだけが上空に残り、メアリーは上昇した。
蘆屋は逃げようとはせず、メアリーの方に向かってきた。
メアリーは右手のナイフと左手の木の棒を持ち替え、木の棒に魔法を纏わせた。
蘆屋はメアリーに一直線に向かいってきた。
(よし、もっとと引きつけて……)
そして、メアリーの目の前に迫った蘆屋は鉤爪でメアリーを貫こうとした。
メアリーはそれを魔法を纏わせた木の棒で受け止めた。
( よし、今!)
突然、蘆屋は落下し始めた。
メアリーは能力を無効化できるが、常にメアリーの周りの能力が無効化されているわけではない。メアリーが意識しているときに、周りの能力が無効化される。例えば、寝ている時や無効化してほしくないときは、メアリーの周りの能力は無効化されない。
(相手にバレたら意味はないけど、最初だけなら不意をつける。相手が落ちるのに合わせて私も落ちる、そして、あいつが地面に叩きつけられたときに、霊夢さんと魔理沙さんと一緒に一気に攻撃を仕掛ける!)
蘆屋の体ははメアリーの方を向いて落下していた。
メアリーは鉤爪の間合いに入らないように、無効化の範囲内で少し距離をとって追った。
メアリーは念のために攻撃が来ない構えていた。
すると、蘆屋は右腕の鉤爪をひっこめ、右手を後ろに回した。
そして、蘆屋は右手を前に突き出した。
メアリーの目の前にはその右的握られた拳銃が突きつけられていた。
「なっ!」
メアリーは反射的に射線上から体をどかそうとした。
蘆屋は引き金を引き、銃弾はメアリーの左肩に命中した。
「うぅっ!」
メアリーは唸り声をあげ、左手に握っていた、ナイフを落とした。そして、木の棒を持った右手でその肩を抑え、動きを止め、空中に静止した。
霊夢と魔理沙も急いで飛び上がったが、メアリーのところまでは距離がかなり空いていた。
蘆屋は落下していたが、メアリーの範囲から無効化の範囲内から離れると、無効化の範囲に入らないよう回り込むようにメアリーの横側に移動した。そして、オーラを纏った手刀を構え、加速しメアリーに向かっていった。
(銃を持っていて正解だった。この小娘の周りでは能力が使えなくなるのだったな。危なかった。だが、加速して進めば飛べなくなっても勢いが残って、あの小娘に攻撃は届く)
蘆屋がメアリーに向かっていったそのときだった。
突然蘆屋の目の前を影がよぎった。そして、目の前にメアリーの姿はなかった。
「なにっ!」
蘆屋は空を見上げた。
そこには肩を抑えるメアリーとともに吸血鬼がいた。
「メアリー、大丈夫?」
「レミリアさん!?なんで、ここに……」
動けなくなっていたメアリーを助けたのはレミリアだった。
それを見た、霊夢は叫んだ。
「レミリア、メアリーを安全なところへ」
「ええ、わかってるわ」
レミリアはメアリーを抱え、飛んでいった。
「待ってください、レミリアさん。霊夢さんと魔理沙さんを置いたいくわけには……」
「あの二人なら大丈夫よ。弾避けは特に慣れてるから。それより、怪我の方は?」
「魔法で止血はしましたが……滅茶苦茶痛いです」
「とりあえずもう少し手当てしないと……」
「あの、博麗神社へ向かってくれませんか?」
「わかったわ。ここから近いし、何か薬とかもあるかもしれないわ」
レミリアはメアリーを抱え博麗神社へ向かった。
メアリーはそのとき思い返していた。
(博麗神社……私が神霊廟で倒れたときに夢で見た……このことだったのかな……)




