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東方〜魔法使いがやって来た  作者: kanp
妖怪流入異変
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第17話 博麗の巫女として


蘆屋は、瞬間移動しながら斬りかかる神子に、対応できなくなってきていた。


そして、神子の攻撃が蘆屋の鉤爪を弾き飛ばし、蘆屋の体勢が崩れた。


神子の姿が消え、最後の一撃を入れるものだと誰もが思った。


しかし、姿を消したまま神子は現れなかった。


霊夢は神子が現れないことに驚き、なにかやられたのかと思い蘆屋の方を見た。けれども、蘆屋も姿を現さない神子に対して空中で身構えたままだった。


「神子?」


霊夢は声に出したが反応はない。神子は忽然と姿を消したのだ。


蘆屋もしばらくたち、神子がいなくなったことを悟った。


(どういうことだ?なぜ消えた。まあ、これは好都合だ。ここはいったん身を隠そう。私はいま、なぜか日を重ねるにつれ強くなっている。しばらくすれば、あの剣にも対応できるようになるだろう)


蘆屋はその場からそのまま飛んで離れようとした。


しかし、蘆屋の前には霊夢が回り込んでいた。


「あんたを逃すわけにはいかないの」


霊夢はそう言うと、大量のお札を飛ばした。大量のお札は蘆屋の周りを包み込んだ。蘆屋の視界には大量のお札で埋められ、向こう側はほとんど見えなくなった。


(なるほど、この札には強力な力が込められている。もし、呪術で戦ったならばいまの私に勝ち目はないだろうな。だが、そんなものは私には効かないはずだ)


蘆屋は霊夢に向かって一直線に、お札を鉤爪で薙ぎ払い、突っ込んでいった。蘆屋にとっては、お札など単なる紙くず同然のようであった。


しかし、お札を薙ぎ払ったとき、目の前に霊夢のすがたは既になかった。


霊夢はお札で蘆屋の視界を奪ったのち、すぐに蘆屋の上を取っていた。


霊夢は蘆屋の脳天めがけて足を振り下ろした。


蘆屋は霊夢の気配に気づき、霊夢のかかと落としを鉤爪で受け止めた。霊夢はすぐに後方に下がった。


「なかなかやりますね、あのお札は単なる目くらましですか? 」


「メアリーから話は聞いてたけど私のお札も効かないとはね。まあ、攻撃が効かないなんてことは既に慣れてるんだけどね」


霊夢は口の橋を吊り上げた。


「ん?」


そのとき、蘆屋は自分の胸に針が刺さっていることに気がついた。蘆屋はそれをつまみ引き抜き、それを見つめた。


「なるほど、なるほど、麻酔針ですか。よく考えましたね。これは薬草を調合して作ったものですね……」


蘆屋はそのまま麻酔針の作り方を説明しだした。


「と、まあこんなものでしょう。私は薬草についてもよく知ってるんです」


「じゃあ、わかるでしょ。あんたにはしばらく眠ってもらうよ」


「ははは、効かないさ、そんなもの。それより、少し話をしようか。君は何者なんだい?」


霊夢は少し動揺した。メアリーはすべての能力は無効化していた。けれども、麻酔針や物理攻撃といった、能力とは関係ないものは効いていた。しかし、目の前の蘆屋には麻酔針さえ効かなかった。

霊夢は動揺を押し殺すかのように答えた。


「私は博麗神社の巫女。妖怪退治、異変解決をしてるわ」


(そうか、見た目からしてそうだが、そういう役割か。それにしては幼いな。精神的にゆさぶりをけてみるか)


「なるほど、ならば何故、私のことを攻撃する?私のことをこの世界に閉じ込めておいて」


「閉じ込める? 何のことかはわからないけど、あんたは人間に害をなす存在、それだけよ」


「害をなす? そんなことはない。そもそも、私はこの世界の人間に手を出すつもりはさらさらない。話し合いをしたいなら素直に応じる。そして、私のことを妖怪だと思っているようだが、そうではない。言うなれば、私は半妖、つまり、半分は人間です」


「なにが言いたいの?」


「君は何をしようとしているか、良く考えてみてください。私は人間でありこの世界には無関係。つまり、君は、無関係である罪のない人間を倒そうとしているということだ。半妖であったとしても半分は人間なんです。だからだ、君は妖怪退治などと言っているが、君がやろうとしていることは妖怪退治なんかじゃあない」


「……」


「"人殺し"だ! 君は巫女として人々を守っているんだろう?でも、君はいま、単なる"人殺し"になろうとしているんだ、違うかい?」


(少々、ゴリ押しではあるが、まあ、強い力を持っていようがまだ少女は少女だ。精神的には未熟。ゆさぶればあとは勝手に自滅するだろう)


霊夢は下を向いていた。それを見て蘆屋がほくそ笑んだそのときだった。


「だから?」


「なにっ」


蘆屋は俯いた少女から突然発せられた言葉に驚いた。


霊夢は顔を上げて蘆屋の方をまっすぐ見た。


「"人殺し"かどうかなんて関係ない。そいつが幻想郷に有害な存在だと判断すれば、たとえそれが人間であろうとも、容赦はしない。ましてやあんたは人妖。退治しない理由なんてどこにあるの? 」


霊夢は微笑を浮かべてそう言い放った。


蘆屋は言葉を返せなかった。それどころか、気圧されてしまっていた。


(こいつ……本気でそう思っている。今までにそういう経験があるのか? 明らかに普通の少女ではない。強力な力を持ち、精神まで備わっている。これを相手するには相当な時間がかかる)


蘆屋は霊夢のことを幼い少女だと侮っていた自分を戒め、霊夢を始末し身を隠す方法を考えた。


そのとき、霊夢は急に蘆屋から距離を取り離れ始めた。


(どういうつもりだ……そうか、人里の上ではあまり闘いたくないのだな。それで、私を人里の近くから離そうとしているのか。まあ、私も今は目立つことをするわけにはいけない。ここは相手の誘いに乗っておいて、対抗策を考えておかねば)


蘆屋も離れていく霊夢に向かって飛んでいった。






あたりは真っ暗で、人里の人間は皆、眠りについていた。


このとき、二人の魔法使いは目を覚ましていた。








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