第10話 現代の狼男①
メアリーと咲夜は夕食の準備をおえた。
「メアリー、美鈴とパチュリー様を呼んできて。私はお嬢様のところへ行くわ。」
「わかりました。じゃあ、いってきますね。」
メアリーはまず門の方へ向かった。
「美鈴さん、夕食の準備ができましたよ。きてくださいね。」
「はーい、すぐ行きまーす!」
美鈴は食事の部屋へ向かった。
そしてメアリーは図書館に向かった。
図書館ではパチュリーと魔理沙が何やら話していた。
「お願いだからこの本、貸してくれよ〜」
「ダメに決まってるでしょう。あなた、今までに何冊の本を盗ってると思ってるの?どうせ返さないつもりでしょ。いま、この本は使ってる途中なのよ。」
「あのぅ、パチュリーさん、夕食の準備ができましたよ。」
「わかったわ、この邪魔者だけ追い出したらすぐいくわ。」
「そんな扱いしなくてもいいじゃないかぁ。それより、私も食べてってもいい?」
「はぁ〜、まぁ、良いわよ。昨日から何かとメアリーとフランは魔理沙にもお世話になったみたいだしね。」
「それぐらい、簡単なことだぜ。」
「魔理沙さん、夕食は私も作ったんですよ。楽しみにしといてくださいね。」
魔理沙、パチュリーらメアリーは食事の部屋へ向かった。
テーブルには既に美鈴とレミリアと咲夜が座っており、料理も並べられていた。メアリー、パチュリー、魔理沙は席に着き、皆は食事を取り始めた。
皆、昨夜はもちろんメアリーの作った料理にも満足しているようであった。レミリアはメアリーが作った料理をいつもと感じが違うがこれも美味しいと言っているのを聞いたメアリーの様子はこの上なく嬉しそうであった。
パチュリーはそのメアリーの様子を見て微笑を浮かべていた。パチュリーはメアリーがどこか自分の感情を抑えているように見えていたが、メアリーの嬉しそうな様子は本心から喜んでいるように思った。
メアリーはすっかり紅魔館の皆に溶け込んでいた。
魔理沙もその様子を見て、メアリーのことは安心した。もう、何か事件を起こしたりしないだろうと。それと同時に、こんなに礼儀正しそうで穏やかなメアリーがなぜいきなり紅魔館を乗っ取ろうとしたのかも不思議に思った。
食事も終わり、魔理沙は家に帰ることにした。メアリーは疲れが出てきたのかもう寝るようで、魔理沙を門まで見送った後は部屋に戻っていった。
魔理沙は紅魔館を出て、箒に乗り空を飛んだ。 月も雲に隠れ、あたりは暗闇に包まれていた。紅魔館の周りには灯などが無いのだから、それが普通である。しかし、今日は異様な雰囲気が漂っていた。何故そう感じるのかはわからないが、何者かに見られている、或いは何かがじわりじわりと自分に迫ってくるような感覚だった。
しばらく飛んでいた時だった。月明かりが下の草原を照らした。そこには中型の犬のようなものが歩いているのが見えた。少し近づいて見ると、それは犬ではなく、ニホンオオカミであることがわかった。
「なんで、こんなところにいるんだ?竹林の方にいるはずなのに…」
そう、満月の夜に狼になる、狼女、今泉影狼は竹林の方にいるはずで、こんな草原に姿をさらしているはずがなかった。
魔理沙は突如、空を見上げた。その目にうつったのは闇夜を照らす月である。しかし、月は満月ではなかった。
「いったいどういうことなんだ?妖怪じゃなくて普通の狼なのか?」
魔理沙はそのニホンオオカミの前に降り立った。ニホンオオカミは魔理沙を見るなり驚いて逃げ出した。
「ちょっと、待ってくれよ〜。逃げなくてもいいじゃ無いかぁ。まあ、あの様子ならニホンオオカミなのかな?」
しかし、ニホンオオカミは魔理沙の言葉を聞くなり逃げるのをやめ、魔理沙の方は振り返った。すると、突然と地面を掘り始めた。
魔理沙は不思議に思いニホンオオカミに近づいた。魔理沙が前に来てもまだ、地面を掘っている。ニホンオオカミの地面を掘る様子は何か必死さのようなものが伝わってきた。どうしてこんなに必死に掘っているのか不思議に思いつつも魔理沙はそれを見ていた。
すると、ニホンオオカミは掘るのをやめ、魔理沙の顔を見つめた。そして、顔を掘ったところの方は下げた。魔理沙もニホンオオカミの顔を下げたところを見た。
そこには文字が浮かび上がっていた。「人」である。
「人?」
魔理沙がこう言うとオオカミは頷いた。
「人って書いてるのか?おまえ、人なのか?」
魔理沙は意味がわからず、パッと思いついた冗談のようなことを尋ねた。
すると、狼は必死に顔を上下させた。
「な!?おまえ本当に人間なのか?」
魔理沙が驚きの声を上げるなか、狼は必死に顔を上げ下げしていた。
「ええと、じゃあ、とりあえず安全なところに連れて行こうか?」
狼は頷いた。
(遠いけどとりあえず霊夢んとこに連れて行くかぁ)
魔理沙はこの、人だと言う狼を連れて博麗神社へ向かった。




