第1話 魔法使いメアリー
季節は春、太陽が昇った午前8時ごろ、幻想郷に一人の少女がやって来た。彼女の名前はメアリー、服装や体格は魔理沙と似ているが、青を基調とした服装である。右手には背の高さの半分くらいの長さの木の棒を持っていた。
メアリーは草原の上に立っていた。激しい風も吹いていた。メアリーの周りには誰もいない。
「ふぅ。やっと入れたかな。とりあえず誰かいないか探さないとなぁ。」
そう言うとメアリーは空へ飛び上がり、適当な方向へ向かって飛んでいった。
しばらく飛んでいくと、霧で視界が悪くなってきた。霧の中で下をみると湖が見えた。その湖の畔には紅く窓が少ない洋館があった。
「大きな西洋風の建物……誰かいるかな?」
メアリーはその館の門の前に降り立った。
門の前には、淡い緑色の中華風の衣装の少女が立っていた。彼女はこの館、紅魔館の門番の紅美鈴である。
「あのぉ、すいません。尋ねたいことがあるのですが…」
「え、あのぉ、失礼だけど、どちら様で?」
美鈴は、いきなり降りて来た魔法使いっぽい少女を見て少し驚いていた。パーティーなどを開くときをのぞけば、この紅魔館にやって来るものは普段はあまりいない。 いたとしても、本を盗みに来た魔理沙など顔見知りである。見知らぬものがここにいること自体が珍しいことであった。
「今日、この世界に来たばかりでどこに何があるかもわからないんで色々教えていただけませんか?」
「あなたは魔法使いのような格好してるけど人間だよね?人間はここら辺にいたら危ないから人里に行ったほうが良いですよ。」
美鈴はこの世界には妖怪と人間がいること、人間と妖怪は別れて生きていること、ここの近くには妖怪がたくさんいることなどを教えた。
「この建物にもたくさん妖怪がいるんですか?」
「この建物は紅魔館。主人は吸血鬼で、他には魔法使いに、ゴブリンや妖精などもいるんですよ。一応、私も妖怪なんですよ?」
「なるほど〜。てっきり貴方も人間かと思ってました。もっと色々この世界について聞きたいんですけれど……」
そう言うとメアリーはいきなり美鈴の背後に回り首元に右手に持っていた木の棒を突きつけた。木の棒のまわりは水色で包まれており、遠くから見れば木の棒は水色の剣のように見えた。
美鈴はこの世界に初めてきた少女がいきなりこのようなことをするとは思っておらず、油断していたのもあるが、メアリーは美鈴を上回るスピードで背後に回りこんだのだ。
「な!いきなり何をするんです?」
「この紅魔館の主人の吸血鬼とお話がしたいんで案内して欲しいんですよ〜。」
「そ、そんなことしたら、あなた死にますよ。」
「襲われたとしても私が負けるとは思いませんわ。」
美鈴はにこやかにそう言い放つメアリーを不気味に思った。この動きの速さに加え魔法を使えるとなればどれほどなのか。美鈴は確かに魔法を使える強い人間、魔理沙を知っているが、メアリーに魔理沙とはまた別のものを感じた。
「わかりましたよぉ〜。案内しますよぉ〜。」
(なんだよ〜この魔法使い〜)
美鈴はとりあえず紅魔館の中へ案内することにした。




