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主人公が元の世界で死にました。

 

「……っというわけなんだよ。アメミヤ リュウセイ さん」


 真っ白い部屋何もない空間、多分一時間もいたら気が狂うと思う。


「……はぁ……」


 目の前にいるのは神様の一柱らしい。姿は子供らしい……というのは全部、相手が言っていたことだから。


 確かに俺の名前は雨宮・流星(アメミヤ・リュウセイ)で間違いない。

 年は今年で45。うだつも上がらない派遣社員。


 正社員だった頃もあるのだが、仕事中に突然倒れ、それを指さされて笑われるようになってからというもの、愛社精神とかくそくらえだと思っている。そんなおっさんだ。


 今まで付き合ってきた人間関係の結果、一般と言われる人より余計な知識と、基礎能力は高い方だ。その友人連中はとにかくなんでか知らないが、化け物が多かった……。まぁ色々あってこちらの縁も残っていないのだが。人間関係めんどいものだよ。

 ただなぁ……、こんな子供の神様に目を付けられるような高尚な生活をしてきたつもりはないんだがな~。


「君はこう思っているね? なんで俺が? っと」


 あぁ、確かに思っている。俺はそう思っているよ。


「うん、君の望みは動きたくないだったっけ? 動く動かないは、もう君の自由で構わないのだけど、

 もしかしたら君の願いを叶えてあげられるかもしれないんだよ」


 ほう……。だが動きたくないとはいっても何もしたくないわけじゃない。今はまぁそんな感じなんだけどね。やりたいことができたらやりたいし、仕事としてはしたくないってことだけなんだ。

 要は怠けたい……頑張ることが嫌なんだ。意味のない頑張りなんて最悪だと思っている。

 それだけなんだ。


「うんうん、いいよ。それでいいよ。君にはこれからある世界のある場所に行って欲しいんだ。基本何もしないでいいよ。その世界で自由にしてくれればいい。君がもしもその世界に手を出したいなら出せばいし、出したくなければ適当にしてくれればいい。ボクからはなにも要求はしない。だが君からの要求には可能な限り手助けをしてあげる。そういうことなんだよ」


 胡散臭いな……すげえ胡散臭いだろ。そんな役目そうそうあるものじゃない。罠しか見えないじゃないか。


「それを信じろと?」


 あぁ、声出るのか……。


「あぁ、信じてくれればいい。それで君の望みは叶う。君は胡散臭いと思うだろうし、罠だって思うかもしれない。でもねこれは簡単に言えば罪滅ぼしなんだよ。『最悪の結果』というわけのわからない、スキルが付与された人生を送ってしまった。送らせてしまった我々のね」


 あぁ、罪滅ぼしというやつか……。確かに死んで神様にあったら絶対殴るって言ってたものなぁ俺。


「殴られても構わないんだけど、それじゃぁ治まらないだろ?」


 まぁ治まらないわな。今までの人生にその『最悪の結果』とかいうのが関係してきていて、それはアンタらが俺に付けたもんだっていうんだったら。こっちは気が狂いたくても狂えないし、矯正しようと思っても直らないしと苦労してきたんだ。そりゃそうだわなぁ……。


「だろうと思ってね、本来なら君のところのそのおバカ神が何とかしなきゃいけなかったんだけど、今反省房いきでね。そのためボクの世界で君を預かることになったんだよ。聞いたら本当に理不尽だったし、いくらボクの世界でもそこまで理不尽じゃない。君くらいの人間ならもっと良いことがあってもおかしくないんだよ」


「だから?」


 イラっとしているのは確かだ、その神様マジで殴りたいし、しかし俺もいい大人だ。

 仕事行きたくなくって世界滅ばないかなぁって思ってたのは事実だが。いい大人だ。

 なら、ここは話くらい聞くべきだろ?


「だから、ボクの世界である場所を管理して欲しいんだよ。君には何物にも侵されない、そこにいる限り死なないし、望むものは状況に応じてだけど、何でも手に入る。やりたいと思ったこともなんでも可能。そういった力と「プレイス」をあげる」


「へぇ……」


「ただ、申し訳ないんだけど、そこはもう世界としては出来上がっているところなので、場合によっては現地の人たちと多少の会話はしないといけないかもしれないんだ。まぁ別に声をかけられても無視しちゃうっていう手もあるけどね」


「ほう……」


「『プレイス』は君の望むどんな形にでもできる。一軒家にだってできるし、お城にだってできるし、ダンジョンだろうと洞窟だろうと自由自在だ。あ、もちろん君が望むならば外出だって冒険だってできる。まぁしたいかどうかは別だけどね」


「至れり尽くせりだな……」


「ね? 悪い気はしないだろ? 君のいく世界には文明があり国家があり、君のいた世界のように厄介なことだって沢山ある。関与するもしないも君次第だ。もちろんこれもしなくてもいい。先ほど言った通り君は自由だ」


 すごい目を輝かせて危ない宗教の勧誘みたいな言葉が、次から次へとポンポン飛んでくる。

 っとはいえ、もう俺の体自身はないのだろうなぁ……。


「あぁ、ごめんね、そうなんだよ。君の体はあの安アパートともに跡形もなく木端微塵なんだよ。あ、そうそう隣に住んでいた人も木っ端みじんだ。彼は申し訳ないけど、あっちの輪廻に沿ってもらっている。恐らく次はミジンコじゃないかな」


「ミジンコか……そりゃ傑作だw」


 久しぶりに胸がスッとした気がする。隣人にはどれほど煮え湯を飲まされたことか。それが木端微塵だとか、いい仕事するものだ。


「あぁ、まぁいいよ。それで、俺は基本的にやりたいことだけして、やりたくないことはしないでいていいんだろ? ちなみに、そうそうあっちの世界で遊んでいたゲームだとか、小説だとか読めるのかな?」

「あ、それも可能だね。ただ、君意外には見えないけどね。君がボクの世界でそういうモノを創った、とかいうのであれ話は別だけどね。あくまでボクの世界のものは、ボクの世界だけっていうのは一応のルールね。美味しいものを自由に食べたかったら、自分で創ってね。材料だとかは一応は似たものが、ボクの世界にも用意してあるはずだから。肉体はどうする?若くする?今のままがいい?」


「肉体は別に今のままでいい。あれだろ? すぐ死ぬとか、年齢いっているから能力的にダメになるとかは多分ないんだろ?」


「もちろんそのあたりは保障するよ」


「どういう保証なんだかわからないけど、まぁゆっくりできるならいいや」

「よし、成立だね(ニコッ)」


 何でも自由か~……悪くないはずだ。うん。


「あ、そうそう、ひとつ忘れていたよ」


「ん?」


 丁度、合意が終わって一段落をしていた時だ。


 な~んか、いや~な予感がする。

嫌な予感もそりゃするよね

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