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精霊の湖  作者: 桜木ゆず
第4章 トレイユ城

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第4章21話「呪いの首謀者」

「ホープさん、イルマさん、二人とも大丈夫ですか?」

 バラバイが様子を見ながら近づいて来る。

 彼は真冬だというのに、大量の汗をかいていた。きっと緊張していたのだろう。


 続いてヌーシャルも大股で近づいて来る。


「驚いたな、これがピューランの力か……。キミ達、なんともないかね?」

 ヌーシャルが私とイルマを、爪先から頭のてっぺんまで確認していた。


「はい、魔導師長。私とこの子も、おそらく問題はありません」


 イルマがヌーシャルに静かに告げた。


(ヌーシャルさんって魔導師長だったんだ……)

 どこか偉そうで風変わりな人柄に合点がいった。


「それでホープさん、この状況を説明してくれますかな?」

 バラバイが腰に手を当てながら言った。それはサイガを叱っている姿を彷彿とさせる。


「ええ、もちろん。でもバラバイさん、ここではちょっと……」

 私はチラリと周りに目をやり、バラバイにそれとなく人払いを伝える。


 イルマが呪いの首謀者だということは、伝える人を限定した方がいいだろう。


「……ええ、分かりました。あなたが理由もなくイルマさんをあのような姿にしたとは思えないですからな。……皆さーん、真夜中に騒がせて悪かったですな!ここは私が受け持ちますから、解散して下さい!」


 広間に集った人々は、その声に質問や文句一つ言わず、広間から出ていった。

 こんな状況なのに、バラバイに任せて解散する辺り、彼は城の人々から十分に信頼されているのだろう。



 広間に残ったのは、私とイルマとバラバイ、そしてヌーシャルだけになった。

 大きな広間に4人しかおらず、なんだか寂しく感じる。


「さぁ、二人とも、説明してくれますかな?」


 バラバイは私とイルマを交互に見て声を掛ける。それは穏やかだったが、凄みのある声だった。


 イルマは黙ってうつむいていた。彼女は口をきゅっと結んでいて、ただ耐えていた。


 彼女の代わりに私はゴホンと咳払いをして、二人の注目を向ける。


「私から話しますね。実は……」



 私はバラバイとヌーシャルに呪いのことや、イルマが竜になった経緯を伝えた。



「なるほどなぁ。……イルマよ、キミが王に呪いを掛けたんか。……分かっていると思うが、極刑は避けられないだろうね」

 ヌーシャルは鋭く冷たい目をしていた。


「はい、分かっております。……私は後悔しております」

 イルマは悲しそうに微笑んでいた。


「あのっ!私がピューランの力を使って、王様の呪いを解いてみせます。だからイルマさんに誰も罰を与えないで下さい。罰を決めるのは王様でしょう?」


「ええ、その通りですな。分かりました。我々が罰を与えることは、()()やめておきましょう。ただ、ホープさん、あなたが王様の呪いを解けなかった場合は、どうなるか分かりますな……?」


 いつも朗らかで優しいバラバイが、別人のように見えた。


「どうなるか……?」


「我が王は弱っている。時間はあまり残されていない。……我々の唯一の希望は、呪いの術者が死ねば魔法が解けるという特徴だ。……ここまで言えば子どものキミでも分かるね?」


 なるほど、呪いを解けなかったら、術者であるイルマを殺すしか手がないのだ。


 極刑は避けられないということか。


「自分で解呪できたら良いのだけど……。呪いとは、理を外れた魔法だから、代償を払わないといけないの。この呪いの代償は、呪った者か呪われた者か、どちらかの命を奪うこと」


「全く、面倒な魔法をかけたものだ。キミのことは高く評価しておったのだがな……」


「大丈夫ですよ、イルマさん。私が呪いを解きます。だからイルマさんは罪を償って、それからあなたの望みを叶えて下さい」


「ええ、ありがとう。もしもまだ、チャンスがあるならそうするわ。……でもね、私が自分で決めて自分でやったことだから、例え結果がどうなったって、私は受け入れるわ。次があるなら、もう誰かを傷付けてまで、自分の望みを叶えようとはしない」


「……ではさっそくで悪いのですが、王様の呪いを解きに行きましょうや。おっと、イルマさんはヌーシャルと、ここに居てくれますかな?口では後悔しているとは言っても、さすがに王へ会わせられないですからな」


 バラバイは神妙な面持ちだ。


「ええ。分かりました。ここで待っています」

 イルマは胸に手を当てて、小さくお辞儀をする。


「うむ、では彼女のことは、私が見張っておこう。ピューランの少女よ、王のことを頼んだぞ」


 ヌーシャルはバラバイと目配せをしながら言った。

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