俺って例えるなら、牛肉なのか豚肉なのか。
主人公が、とってもおいしい(食材的に)存在として女の子たちから狙われたら面白いかなって思って書きました。言いたいことぶち込んだ感じでつたない文章ですが、読んでいただけると嬉しいです。
俺、霜降龍太はA5ランクだった。
A5ランク、これだけだと聞こえが良い。なんたってファンタジーな世界で魔法使いでギルドに入って、能力診断をしてもらい、でた結果が階級で言うとA5ランク。
そりゃもうギルド内は大騒ぎ、しょっぱなから飛び級で勇者や、バトルマスター、賢者、なんだってなれる。かわいい女の子は自然に寄ってくるわ、謎の自称ライバルが行く先々で立ちはだかるわ、登場ヒロインが複数いて主人公はどちらとくっつくのか論議され、ファンが期待していたカップリングではない組み合わせになりファンの大半が離れてい、、、この話はやめよう。
そうA5ランクなのだ、胸を張っても良いだろう。なんにせよなにかと比較されるために格付けはされるものだ、別段努力をしたわけではないが他と比べて優れているんだ胸を張ってやるよ!ちくしょう!
まあ妄想や自分を強く持つための建前はいい。
結論を言うと、A5ランクはA5ランクでも。”食材”としてのA5ランクだった。へへっ。
笑っちまうだろ?食材だぜ?勇者でもなく、超強力な魔法を覚えてるわけでもないし、食材。
まあ、別に死んで転生してブロッコリーやピーマンになったわけでもないけどね、いやピーマンになって母親にフォークで刺され無理やり食わさられる役でもいいな。女の子のほっぺにぐりぐりされるとか一度は経験したいでしょ。そうでもない?
自分、五体満足、人間の姿です。人間の姿で格付けされました。種付けではありません、格付けです。
この場合「もうお嫁にいけない」とかの定番のセリフは言えるのでしょうか。対象外でしょうか。
あ、でもA5ランクの生き物だったら、美味しい子供が生まれるから種付けされるんでしょうか。いや俺男!!
・・・天才的なこと考えた。優性遺伝子残しませんかって自分を売ればいいんだ。そうすればやりたい放だ・・あ、だめだ。俺別にケモナーじゃないもん。動物相手には腰ふれんわ。
これ以上は俺の印象がひどくなっていく一方なので、自分が置かれた状況を整理するとともに、振り返ってみようと思う。
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あれは、年々寒くなってきつつある地球での年明けまえだった。
俺はいつもどうり、年末最後のバイトを終え、コンビニでから揚げちゃんを買い、スマホをいじりながら帰っていた。
その時、画面にいっぱいの集中を向けていた視界の隅に移ったのが、くじ引きだった。そのくじ引きはみんな無料で引ける年末キャンペーンみたいなものでそういう催しの割りには、ハワイ旅行とか、A4ステーキ肉(俺よりもランクが下だな、ふっ弱者め)とか結構豪華なもんだった。まあそういうのは大抵当たるもんではないがな。
だいたいはティッシュになる。まあありがたいけどねティッシュ、鼻かむのにもつかうし、手をふくのにもつかうし、我が子孫の元を受け止めるのにも使うし、なんでもない忘れてくれ。
だから俺はすごく気楽にやったんだ。何が当たってもまあこんなもんかって笑えるくらい軽く。そしたら金色の玉がでちゃってさ。驚いたよね。ソーシャルゲームのガチャとかで、無欲のままになんとなく引いたガチャでけっこういいのが出ちゃったり、まあそれが罠なんだが。
で、結構期待してて、なにもらえるんだろうとか、これ持って帰ったら家族はどんな顔するだろう。牛肉だったら絶対俺の配分の元食べてやろうだとか。
そしたらさ、なんか駅前で配ってるポケットティッシュに入ってる広告の紙みたいなの渡されて、「おめでとうございます!ファンタジーな世界へご招待!ボルーノ星への切符です!」って満面の笑みで渡してくるもんだから、俺もその場のノリで「イエーイ」だとかいってその場を去ったわけよ。その日はバイトで疲れてたもんであまり気にも留めずに帰宅。ベットインってわけだ、相手はいないけど。
そして元旦。いつものように目覚めて、お節料理を食べて、年賀状届いているかなって外へ出たのよ。そしたらなんと「ボルーノ星行き宇宙船」って書いた宇宙船が家の前に浮いてたの、これほんと信じてね?こっからはほとんど記憶が曖昧で、なんか船内は絶対乗客一人だけ乗せるスペースじゃないし、大の字で寝そべろうが走り回ろうが自由。体感では十分くらいかな、そのくらいでこの星「ボルーノ星」に着いた。
俺は正月そうそういい夢見てるなーなくらいの気楽さでいたんだけど。この切符は片道までですとか言われたりほほをつねっても痛いし、目覚めないし。これはやばいと思った時にはもうすでにお寿司。宇宙船はないし、まったく知らない土地に一人ポツンと取り残されたわけ。かわいそうと思わない?
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「迷える子羊だよ!?これじゃあ!?俺の肉はラム肉ではなく人肉だけどね。いやここ笑うところよ?こんな右も左もわからない子羊を食べておしいしかい?あ、美味しいか。俺らからしたら無防備なステーキが歩いてるんだもんな。うんうん。いやそうじゃなくてここで俺を食らうのはよしといたほうがイイヨ?毒があるかもしれない!!」
そんな俺の説得を、「待て」ができない駄目犬のような視線で見つめているこの女。
ここがファンタジーな世界なのは本当らしく、こいつは髪先が虹色のグラデーションの白い髪で、ギザギザした歯。そして獣耳。気分が丸わかりな揺れる尻尾、みたところ犬系の獣人らしい。まさに駄目犬ってかんじ。
「そんなこと言われても、じゅるり、君は腹ペコの時に食品店で試食会が開かれていたら食べるだろう?そりゃもう遠慮なく。食いつくすだろう?じゅるり。」
じゅるり、じゅるり、うるさいやつだな。
彼女は、イチ二、サンシと準備運動をしている。おいおいおいおいおい。逃げたら本気で狩るつもりなのこの子、試食ごときに本気出し過ぎじゃない?
ごめん前言撤回、俺もちっさい頃は試食に本気だったわ。買い物に行く親の後ろについて行って、試食を見つけた瞬間全力ダッシュだったわ。それはボルトも驚く加速で。
このままではまずい、いや俺の体は不味くはないのだろうけどマズイ。このままではこの駄犬に骨の髄までしゃぶられてしまう。ああ、せめて死ぬのだったら骨の髄じゃなくて別のところをしゃぶってほしかったな・・・。そんなことを考えていると、駄犬がにじりにじりと詰め寄ってきた。
やめて!食べないで!!ああ、汗が止まらない。脂汗ってやつなのかコレ。俺がA5ランクの食材で、美味しいのなら俺の脂汗でラーメン作っちゃうよ。油マシマシだよ。
ん?待てよ。仮にこの世界で俺はA5ランクの高級食材で、この駄犬みたいに見つけ次第食べられそうになるくらい絶世の生きた肉なのだとしたら。
一つだけ生き残る道はあるかもしれない。背に腹は代えられん。ともばらとサーロインは部位的に代えられないのだ!!!
「なあだけn、じゃない、犬さんよ。」
「犬ではない、アルフェルトだ。」
これから食うつもりのやつに名前教えんな。いけすの中の魚に「どうも私は○○です、あなたをいまから三枚におろして食べるよ。」なんて言うか!?
「あ、アルフェルトさんよ、ここはひとつ契約しないかい?俺もあんたもwin-winの契約だ。」
アルフェルトは、目の前のご馳走に檻をかぶせられた様にそわそわして。
「なんだぁ?契約ぅ?あたしは使い魔になるつもりなんてないからな?さあ早く逃げろ。追いかけて、捕まえて、食べる方が一段とうまいんだ。」
「食べ物で遊んではいけません!そんなことも習わなかったのかね?あっ!!すまんて!話を聞いてくれ!」
お腹が減るとイライラする。これは人間だろうが獣人だろうが共通なんだね、犬の本気の顔を見て一つ学びました。
「俺の体液をやるよ、俺の命に別条がない分量まで、定期的に、いい話だろ?いつだって高級霜降肉のとってもおいしい肉汁が飲み放題なんだぜ!?俺だったら契約するなー、今ここで全部食べちゃったらそりゃあ一時的な幸せは訪れる。だけどよー、それっきりなんだぜ?もしかしたら金輪際俺よりおいしもんなんて食べれなくなっちまう。それはつらいだろう。何を食っても頭の端にいつも俺。俺の味が焼き付く。それだったらよー、俺の体液を定期的に飲んだ方がましじゃないか?俺もさ、毎回毎回、味に飽きが来ないように努力するからさ!?ね!?ね!!??」
それはもう必死だった。
俺はなんの説得をしているんだ。別れ話を持ち掛けられた男子か?とにかくアピールした。俺の旨さを。食われたくないのに旨さをアピールするとは妙な話だが。
「あうあうあう。一度の幸せより、定期的な幸せ。でもお腹が減ってあうあうあう。」
なんだこいつかわいいな?お腹が減ってまともな思考ができなていないと見た。
そこでおれは畳みかけるッ!
「まあまあ、物は試し。どうです一口。」
思えば、ここだったのかもしれない。後にあんな大変なことに巻き込まれていく原因になったのは。
この時、俺も俺の方で半場自暴自棄になっていた。こんだけ説得してもやっぱりぱくりといかれてしまうのだろうと。だったら最後の最後くらい、せめて、やりたかったことをやってもいいだろう?
((((ちゅー)))くらいは。
体は勝手に動き、ぬくもりを感じた次の瞬間には俺の唇はアルフェルトの唇と重なっていた。しかも唾液込みで。体液を味わってもらうんだ。唾液も込めないとね☆
こんな狂暴そうなみためで犬ベースの獣人のアルフェルトの唇は予想以上に柔らかった。あとあたたかい。ぬくい。ごめんね語彙力なくて。初めてだったんだもん!!最初で最後だったかもしれないもん!!
しっかりと彼女の口の中に唾液を押し込んで俺は離れた、もう逃げる体勢を取っていた。けつを上げて、そうクラウチング。
一方唾液を押し込まれたアルフェルトさんは、顔を真っ赤にしていた。そりゃそうか乙女だもんね。それはもうぎゃるげで見たことあるような真っ赤な顔で、目もうるんでいた気がする。ていうか顔色も優れないような気がしてきた。
失敗だったか。A5ランク呼ばわりされたからてっきり体液も美味しいのかと思ったらそうでもないらしい。ごめんね無駄にねちょねちょさせちゃったよ。
なんか罪悪感が残った。どうせ死ぬんだったらとおもいっきりディープキスしたけど。死を覚悟してもなお、罪悪感は積もる。形的には無理やり襲ってるもんねコレ。いや襲われたのはこっちだけど。世間一般から見て男と可愛い獣人の女の子がいて、女の子が顔真っ赤にして立ち尽くしてたら疑われるのはこっちだ。
世間冷たい。アルフェルトちゃんのくちびるはあったかい。
「お・・・・」
「お・・?」
しばらく硬直状態だったアルフェルトちゃんがようやく口を開いた。『お』?『お』かぁ、これは次の言葉を予測しよう。俺は多分『お前殺してやる!!!』だと思う。10ポンドかけてもいいよ。
俺とアルフェルトちゃんしかいないこの街はずれはかなり静かだ。もともとそういう場所なのだろう。だから俺みたいな鴨(肉だけに)が襲われる訳だ。
この静寂を切り裂いたのはアルフェルトちゃんの言葉だった。俺の心の静寂ね。
「お・・・・おいしい!!!!!」
ポカーンとしたよね。てっきり失敗かと思ってた。てか俺が仕掛けたのにポカーンとするのはなんでだ。んでもって精神ダメージがデカい。俺の唾液うまいのかよ・・なんか複雑だ。物好きのエロゲじゃないんだし。催眠ものでもないのにおれの唾液がうまい?こんな言われてうれしくない言葉は初めてだ。
「お、おいしいかい・・?いや!おいしいだろう!?なぁ?考え直してくれたかい!?さぁ君の答えを聞こう!ファイナルアンサー!?」
「するする!契約する!こんなうまいもん自由にいただけるなら願ったりかなったりだ!!!」
あっけない、実にあっけない。即オチ2コマかよ。この駄犬はしっぽふりふり、舌をぺろぺろ。目をキラキラさせている。あれなんかかわいいぞ?もしかしてこれしちゃう?発展しちゃう?悪くはないぞ。獣人っ子といちゃらぶ。俺はケモナーではないが、ケモミミは別に嫌いではない。友人にガチケモナーがいたがそいつ曰く
『ただの美少女キャラに尻尾とケモミミが生えただけのキャラクターを好きになって、ケモナーを名乗るのはやめたまえ!!同志として恥ずかしい!!まずドラゴンカーセッ●スで抜けるようになってからだ!!!』
とか言ってたけど。来てみろ、友人。たぶんお前も落ちるぞ。ぬくもりのあるケモミミっ子がすり寄ってきたら誰しも好きになっちゃうだろ!!
そんなふわふわケモミミっ子アルフェルトちゃんは俺にくっついてくる。あ~^あったけえ。
「しょ、しょれでは、あ、アルフェルトしゃん、契約は成立ということで、俺を食べるのはやめてくれるのですね?」
この糞童貞は女の子に近づかれて、かむんだよ。ピュアだろ?
「ああ!もちろんだ!あのうまいのを食べれるなら食べない!契約は成立だ!よろしくな!ええっと。」
「霜降龍太だよ。よろしくアルフェルト。」
「おう!タツタ!名前までうまそうだな!」
そういってアルフェルトは抱き付いて、顔を俺の胸にすりすりしてくる。ごめんな母乳は出ないんだ。密着して分かったんだが、この子お胸がちっちゃい。
いやいいよ?いいよねちっぱい。好きだよ?むしろドストレート。
そしてやっぱりかわいいなこの生き物。これはうまい汁が出るんだよって俺の下の蛇口からポンジュースだしてもばれないよな?というか絶賛元気になってます蛇口。いやいやこんなかわいい女の子に抱きしめられたら、『勃起、しちゃいましてね。』ってなるだろ!俺は手フェチじゃないがな。
そんな妄想してるとアルフェルトが、俺の顔を両手でつかんできた。おおっ、やっぱり力強いなさすが獣人、抵抗はできそうもない。まあここはいい感じになっちゃってキスするのが定番だよね。野暮な抵抗はしないさ。
「さ、契約上は命に別条がない程度に体液をくれるんだったよな?タツタ。」
「え?ああそうだけど?」
あれ、なんか悪寒がする。なんでだろう。
「それじゃあ!いただきま――――ス!!!」
・・・・・・
むさぼられた、おくちのなか、むさぼられた。口の中の汁という汁を舐めつくされた。あれはディープキスとかそういうもんじゃない。お皿にのこった食べかすを一つ残らず舐めまわす奴だった。そうワンちゃんみたいに。えろいとかそういうんじゃない。とにかく人として扱われなかった。歯茎の裏とか舐める普通?
お口の中がからっからに乾いて何もしゃべれなくなった俺は仰向けに倒れた。アルフェルトはその隣でのんきに昼寝を始めた。自分の食糧くらい守れよ、、、この駄犬、、、、
やってしまった。公開しかない。もういっそのこと一思いに食べてもらった方が良かったのかもしれない。
これから地獄の日々が始まるのかと思うと、心が痛い。やましい気持ちを起こした罰なのかもしれない。神様ごめんなさい。
ああ・・・・今言うなら最適なのかもしれない
「もうお嫁に行けねぇよ・・・・・・・・・・・・」
ああ、誰かにツッコミを入れてもらいたい、、、
「お前は、ムニャ、男だから婿だろうに、、、ムニャ。」
この駄犬・・・いつかむちゃくちゃにしてひーこら言わせてやる・・・そこで俺の意識は途絶えた。
主人公が、とってもおいしい(食材的に)存在として女の子たちから狙われたら面白いかなって思いましたが、書いている最中は面白いんです。でも、この話、目的がありません。ファンタジーに必須な目標がありません。だからお話を一区切りするのが大変です。自分で自分の首を絞めました。公開はします。後悔もします。