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The world has died  作者: トウイ小秋大福
8/27

出逢い 前日

木に囲まれ、歩くところはコンクリート、燦々(さんさん)と照りつける太陽の下にミサキは歩いていた。

町を出てから昼になろうとして、空腹を感じたミサキは昼食を()ることにした。

昼食の携帯食糧を一口含み咀嚼(そしゃく)すると、ミサキは顔をしかめ、咀嚼(そしゃく)する口を止めた。

(....何これ、(すご)い不味い。食感は粘土みたいだし、酢みたいな味しかしないし、....ハズレか。)

ミサキは携帯食糧のあまりの不味さにガッカリするとまた食べ始めた。

漂流者の荷物の中には必ずと言ってもいいほどに携帯食糧が入っている。携帯食糧には成人男性に必要な一食分の栄養とカロリーが含まれ、大きさの割には満腹になる。ここまでは素晴らしい、素晴らしいのだがここで一つ問題が、


味と食感が不規則なのである


美味しい物もあれば今ミサキが食べているような不味(まず)い物もある。漂流者達は旨いものを「アタリ」、不味いものを「ハズレ」と呼んでいた。

(これが不味いってのもあるけど、たまには魚が食べたいなぁ。でも、流石(さすが)に魚が釣れるような川が都合(つごう)良く見つかるわけが....)

と、ミサキが考えたところで左側の視界から光が差し込んできた。ミサキは何だと思い、差し込んできた方を見ると何かが光を反射していた。よくよく見てみるときれいな川があった。


ミサキは川に続く道はないのかと探していると、一部の土手が崩れ川に続いている道を見つけた。土手を下り、川に近づくとミサキは、

「おお...!」

感嘆の声をあげた。

流れる水は透明で、川のところどころは深さがあるのか青緑になっていた。ミサキはあまりの綺麗(きれい)さにしばらく川を(なが)めていると、一匹の魚が跳び跳ねた。

(....よし、昼は魚を腹一杯食べよう。うん、そうしよう)

昼食を採ったばっかりのはずのミサキは一人ごちに決意をすると、バックパックから釣具を取り出して釣りを始めた。


何時間か経った頃、ミサキは釣具を片付けていた。

虫を餌に投げたのが25回、魚がかかった回数が8回、釣れたのは4匹だった。

ミサキは魚を運ぶために4匹同時に持ち上げると、魚の上に乗っていた魚が()ねた。

「あっ」

ミサキの声も(むな)しく、魚はそのまま川に着水(ちゃくすい)すると逃げていった。魚は3匹になった。

ミサキは石を丸の形になるように設置し、その中に燃料(枯れた木や葉)を入れると火をつけて焚き火を作った。火が(さか)り始めると、細い木に刺した魚を焼き始めた。表面がきつね色になるとミサキは焼けた焼けた魚を腹から食べていく。

(...!脂がのっててうまい!川が良ければ魚も良いのかな?)

ミサキはしばらく幸せな時間を過ごした。


食べ終わり、火の後始末(あとしまつ)をすると川を(あと)にした。

(もと)来た道に戻り、国に続く道を歩き続けると、徐々(じょじょ)に陽が暮れ始め薄暗くなってきた。

(....薄暗いな。そろそろ野営する場所を....って本当に今日はついてるな)

ミサキの歩いている道の端にセーフティハウスと呼ばれている建物があった。

セーフティハウスとは、漂流者達が自由に寝泊まり出来る二階建ての建物で代金は無料(タダ)である。ただし、部屋は2人泊まるのが限界でセキュリティも保証されない、ベッドも無く(あめかぜ)しのぐぐらいしか出来ない施設で、場所によっては破損しているセーフティハウスもある。建てたのはそれぞれの「国」で、漂流者へのせめてもの同情という事で建てられた建物だった。

(同情するなら、弾薬をくれ!って感じだけど、まあ、無いよりはましだな)

某ドラマのような事を考えながらミサキはセーフティハウスの中に入ると、一階の右側の部屋に入っていった。

セーフティハウスには部屋が4つあり、すべて同じ造りをしている。両開きのドアが一つあり、壁に雑巾と(ほうき)かけてあり、それ以外のものはない。

ミサキは固く茶色い床に寝袋を敷くと、携帯食糧を食べ、すぐに寝た。


真夜中のことである。ミサキはバタンッという扉を閉める音に起きた。

(....うるさいな、他の漂流者かな?どうせだったら静かに閉めてくれればいいのに)

ミサキはそんな愚痴(ぐち)を考えているとセーフティハウスから出たのか、もう一度バタンッと聞こえた。ミサキは少し不機嫌になったが、眠気に負け、そのまま寝直(ねなお)した。


ミサキが起きたのは陽が上る前だった。寝袋を片付けてセーフティハウスから出ると、真っ暗な道を歩き始めた。

時間が経ち、陽が(のぼ)り始め周りが薄く暗くなってきた頃に、道の左側に汚い字で「キャンプ場」と書かれた看板が立っていた。

(キャンプ場か、寄って行くべきか、否か。....うん、また魚食べたいし、携帯食糧も減ってきてるから買えたら買おう)

ミサキはキャンプ場に行くことを決めると道を()れ、キャンプ場に続く下り道を歩いていった。

少し進むと、「見下ろせます」と書かれた看板があり、その先はキャンプ場が見えるのか、崖になっていた。ミサキはそちらに行き、転落防止の木で出来た(さく)に寄りかかると、キャンプ場を見下ろした。

大きな湖があり、その隣には湖の岸に沿うように少し長い道がある。道の奥には射撃場と小さな小屋があり、反対方向には平屋の建物が10(けん)ほど立っていた。

(おお...、あの湖綺麗だな。射撃場もあるみたいだしスコープの調整を出来たらやっておこう。

...ってなにあれ?)

ミサイルがキャンプ場を見下ろしていると妙なものを見つけた。


平屋と平屋に挟まれた一本道の真ん中に人が倒れていた


ミサキはキャンプ場に早歩きで向かうと5分かからずにキャンプ場に着いた。

道の中央には40代ぐらいの男が血だまりの中に倒れており、見るからに死んでいた。死体の男が出たのか右側の平屋の扉が半開きになっていた。ミサキは動きやすいようにバックパックをその場に降ろし、フードつきのマントを脱ぐとバックアップの上に置いた。

ドアが半開きの平屋まで約10メートル、ミサキは拳銃を抜き安全装置を外すと、いつでも撃てるように準備をする。

「誰かーっ!居ませんかーっ!居るなら返事をしてくださーいっ!」

ミサキが叫ぶが返事はない。


平屋に入るかとミサキが考えたところで、バンッという音と共に、半開きだったドアが勢いよく(ひら)いた。



すみません、完結済みを間違えて押していました。まだ、続きます。本当にすみませんでした。

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