ユキ ミサキ
少年の名前がでます
昼間が過ぎ、薄暗い夕方になり始めたとき少年はドアのノック音に起こされた。
「今晩は、夜食を持って来ました。入ってよろしいでしょうか?」
「あ、はい、どうぞ」
少年は目を擦りながら答えると、ドアを開けて若い女性が入ってきた。若い女性は部屋の中央に設置された机に夜食を置くと、「食べ終わった食器は廊下に置いて下さい。それでは、ごゆっくりお過ごしを」
と言い残し扉を開けて出て行く。
少年は欠伸をしながら椅子に座り、夜食を自分の方に引き寄せると合掌をしてから食べ始めた。
夜食は水が一杯と激辛パスタ、サラダとドレッシング、トレーの隅に紙とペンがトレーの上に乗っていた。まずはサラダをドレッシングをかけずに食べ終えると、メインディッシュである激辛パスタを食べ始めた。見た目は真っ赤で、麺まで赤色なのが辛さを象徴しているようだった。
(う、うわぁ、麺まで辛そうだなぁ、...とりあえず一口)
少年はフォークを使って麺をクルクルと巻き、恐る恐る口にいれると、意外と辛くなかった。
(.....普通に美味しい、でもあんまり辛くないな。少し残念だけど、まあ、美味しいし。もう一______ッ)
少年が口の中のパスタを飲み込み、2口目を口に入れようとしたその時、
少年はガッツリと噎せた
(....っ、何だこれ、辛すぎるだろ!ひょっとしたら、ゾンビより苦戦するんじゃないかな?)
少年がそんな事を考えると、昼間倒したゾンビ達が親指をグッとつきだして、見守ってくれているような気がした。
その後、少年は何回か噎せるも、なんとか食べきり、紙に書いてある内容を読み取る。内容はこうだ。
家の宿の激辛パスタはお口にあったでしょうか?明日の夜食も激辛パスタにする予定ですが、それでもよろしいでしょうか?(丸をつけてください)
YES/NO
(遠慮しておきたい方には、別の献立をご用意させていただきます。)
少年は少し迷うと、NOに丸をつけた。
少年は空になった食器を廊下に置くと、バックパックから歯磨きセットを取り出して歯磨きをした。歯磨きを終えると、スナイパーライフルの点検をし、それを終えるとベッドに寝転びすぐに寝た。
次の日、少年は町の中を探索した。図書館で本を読んだり、干し肉と布でできたガンケース(防水、肩掛けも可)、スナイパーライフルの弾薬を5発×5本=25発買ったりした。
その日の晩の事である、少年は不思議な夢を見た。
少年と同じくらいの年の少女が、少年に旅に連れていってくれと頼んでくる夢だった。その少女は膝までとどく白い髪を持ち、整った顔をしていた。夢の中で少年は、白い髪の少女の美しさに見とれてしまった。
まだ薄暗い朝、少年は夢から起きると、
(変な夢だったな、あんなきれいな人が相棒になってくれたらいいのに、まぁ実力があればだし、あくまで夢の中の話だし)
そんな事を考えながら旅支度を始めた。
右脚に安全装置をかけた拳銃を入れたホルスター、左脚にはマガジンポーチ、腰にはナイフ、服装は上下迷彩柄のはいった軍服のような服にマントを羽織る。そしてガンケースをくくりつけてあるバックパックを背負うと部屋を出ていった。
少年は部屋のカギを返すために受け付けに行くと、
「おはようございます。この度は宿をご利用いただき、ありがどうございました。機会があればまたご利用下さい、ユキ ミサキさん」
受付の女性は少年、基ミサキのフルネームを呼んだ。
「激辛パスタ美味しかったです、噎せるぐらい辛かったですけど。多分、今まで生きてきた中で一番辛かったと思います。」
ミサキがそう言うと、女性は、
「それはよかったです。ところで、ミサキさんはなんで旅をしているんですか?住むことの出来る国を探しているなら町を出て真っ直ぐ行くと国があるので、そこがよろしいかと」
そう言った。ミサキは、
「いえ、住める国を探している分けじゃなくて、ある研究所を探してるんです」
「?、60年前にウィルス爆破を起こした研究所のことですか?」
女性がそう訊くとミサキは、
「はい、そこにならウィルスのワクチン、あわよくばワクチンの製造方法も有るかもしれないので」
叶うかも判らない目標を言った。
受付の女性と別れの挨拶をすると、宿を出て町の出口に行く、「またのお越しを」と書かれた看板を通り過ぎ、次の町に向かって歩き始めた。
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