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The world has died  作者: トウイ小秋大福
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グロテスクな話です

少年は人影を確認すると数を数えた。合計で、やはり6人ではなく7人、一定の距離を保ってうつむくような体制で立っている。少年は看板の陰で襲撃の準備をする、といってもナイフを抜いてグリップの感触を確かめるように何度か握るだけだったが。今回の目標は、拳銃を一発も使わずに全員キル(殺すこと)する事、そして夕方には町に帰り着く、この2つだった。

少年はナイフを逆手に握ると、ゆっくりと足音がしないように人影に近づいて行った。


前々回にゾンビは「人の肉を喰らう」「昼間は寝る」「死んでいる」以外はほとんど普通の人間とほとんど一緒である、と作者は書いたがゾンビには大まかに分けると3種類存在する。「ただのゾンビ」「特化個体」「突然変異個体」である。

「ただのゾンビ」は、本当にただのゾンビである。人間がゾンビになると肌の色は土気色になり、ノロノロと動くようになる。どういうわけかゾンビになって月日が経つと、土気色から緑色、緑色から紫色といった具合に変わってくる。ウイルスの感染力も変わり、土気色のゾンビは感染力は『弱く』、緑色のゾンビは『普通』、紫色のゾンビは感染力がずば抜けて『強い』、以上が「ただのゾンビ」の説明である。

「特化個体」とは生前の能力が特化した個体のことである。例えば脚が速かった人が特化個体になるともっと速くなったり、力が強い人が特化個体になるともっと強くなったりする。身体能力だけではなく、射撃や武術などの技術力も特化したりする。「突然変異個体」は何らかの異常で発生する個体である。身体がドロドロに溶けたような見た目なのに生きていたり、ゾンビ同士がくっつきあって巨大化したりと色んな個体が存在する、そのほとんどが強力で漂流者からするとあまり近付きたくない存在である。

以上が「ただのゾンビ」「特化個体」「突然変異個体」の説明である。また、全ての個体に言えることだが時々独り言のようなことを言うこともある(例としては「オナカスイタ」という感じである。


少年の視界にぼんやりと写っていた人影がはっきりと見えてくる、土気色のゾンビが7匹ピクリとも動かずにうつ向いている。ただ、一匹だけ妙に目立つゾンビがいた。他のゾンビよりでかく、2メートルぐらいの身長で体つきは細い、着ている服も妙に綺麗だった。そして最も目立つのが、ゾンビの太腿に刺さったナイフだった。

(?、なんでゾンビの脚にナイフが.....?まあ、いいか)

少年は一瞬、ゾンビの脚に刺さったナイフが気になったが、少年に最も近いゾンビとの距離が3メートルほどになったので思考を切り返す。

まずは一匹目、少年は後ろから近づくと、左手でゾンビの前髪を掴み、素早く自分の方向に引っ張りつつ右手に持っているナイフで思いっきりゾンビの喉元に突き刺す、その時間約1.5秒。うめき声も出させず一匹目のゾンビを絶命させると、音が出ないようにゆっくりとゾンビを地面に寝かせる。

少年は順調に2匹、3匹と始末していったが六匹目の事だった。

(よし、これなら弾薬も使わずに終わりそうだな。....て、え?)

少年は今まで通りに前髪を掴んで、力を入れて引っ張ったところで自分の手が頭を引っ張っていないことに気付いた。

そして見えた、ゾンビの頭皮が剥がれて頭蓋骨の一部が見えていることに(おそらく年月の経ちすぎで腐っていたと思われる)。

「....っ!」

少年は焦った、身体の一部が剥がれて起きない生物はいるだろうか?いや、いたとしても希だろう。当然ゾンビは起きた。訳のわからない唸り声を出しながら、ゆらりと顔を少年の方に向ける。だが、顔を向けた瞬間、顔にナイフが刺さっていた。

少年は出来るだけ早くナイフをゾンビの顔から引き抜くと、最後の標的である奇妙なゾンビを見やる。

すると、奇妙なゾンビは少年の頭を掴もうと両腕を左右に広げていた。

「....!」

少年はバックステップで距離を取ると、少年のさっきまでいた場所に奇妙なゾンビの腕が(くう)をきった、あのまま少年が距離を取らずに動かなかったら頭を掴まれ、頭に噛じりつかれていた事だろう。

少年はさらに数歩下がると、腰の後ろに下がっているピンのついた円柱型の物体を取り出す。そしてその物体からピンを引き抜くと、それを奇妙なゾンビの1メートル先ぐらいに投げ、少年は自分の顔をナイフを持ったまま右腕で庇う。

約2秒後、強烈な光が奇妙なゾンビの目を潰した。


少年が投げたのは閃光手榴弾だった


「オオオオォォォォヴァァァアアア!」

奇妙なゾンビは両目を手で押さえながら絶叫している

少年はナイフを逆手に持ち直しながら距離を詰めると、奇妙なゾンビの右太腿を力一杯切りつける。すると、奇妙なゾンビは片足をつくような状態になった、少年は切りつけながら奇妙なゾンビの脇の下を通り抜けるとまだ膝をついていない方の膝裏を右脚で蹴りつけ、そのまま奇妙なゾンビのふくらはぎを踏みつける様に押さえると奇妙なゾンビは両膝をつく体制になり、少年は右腕に捕まらない位置に立つ。少年は脚を押さえつけながら奇妙なゾンビの左腕を左手で掴むと、右肘で奇妙なゾンビの左腕をたたき折った。

「ガッ、アアアァァァァ!」

奇妙なゾンビは叫び声を上げるが少年は容赦をしない。次は奇妙なゾンビの左足を自分の左足で踏みつけると、ナイフの持ち手を左手に変える。さっきとは逆に、右手で奇妙なゾンビの右腕を掴むと左肘で右腕をたたき折る。ボキリと音が聞こえ、あらぬ方向に腕が曲がる。

奇妙なゾンビは暴れるが両腕を折られ、唯一使える左脚を押さえられているため抜け出せない。少年は握っていた右腕を離すとナイフを再度持ち変えて空いた左手で奇妙なゾンビの髪の毛を鷲掴みにする、うなじが見える様に頭の位置を調整すると土気色のうなじが見えた。少年は右手で握っているナイフを高々(たかだか)と持ち上げる、その顔は興奮で赤くなるわけでも緊張した表情でもなく、ただ無表情だった。

少年はナイフをむき出しのうなじに振り下ろす、突き刺さる、引き抜く、また突き刺す、また引き抜く、それを繰り返す。時々服に血がつくが少年は気にせずにナイフを振り続ける、すると少年はあるものが首を切るのを邪魔するのに気付いた、骨だった。

一旦ナイフを振るのを止めるとナイフを入れ物に入れる、そして少年は足元に手頃な石がないか探すと右脚の隅に拳より一回り大きな石があるのに気付くとそれを取るために右腕を伸ばす。少年が石を取ろうと腕を伸ばしていると、不意に奇妙なゾンビが独り言をブツブツと呟き始めた。

「アアアァァ、ナンデ手ニナイフナンテニギッテルノ?ネェ、フタリトモコタエテヨ」

少年は石を掴んだが持ち上げたところで手から滑り落ちてまた拾い直す。

「ナニカノジョウダンダロ?ボクタチハイツマデモトモダチナンダロ?....ヤメロ、クルナ」

少年は石を掴み直し、持ち上げる。

「ヤメロヤメロヤメロヤメロクルナクルナクルナクルナヤメロ、オネガイダカラヤメ」

少年は奇妙なゾンビの言葉を最後まで聞くことなく石振り降ろした。何度もやっているうちに奇妙なゾンビの声は小さくなっていき、聞こえなくなった。さらに繰り返すと少年の髪の毛の握る手に重みがかかった、少年は石を捨てるとナイフを取り出し、改めてナイフの刺しあとを見る。幾つもの刺し傷があり、そこからでてくる血を()びた骨の大小の欠片が太陽の光を反射していた。

少年は首をどうやって切り落とすか考えて、考えて、考えて、決めた。少年は考えた方法で首をナイフで切っていくと首は身体から離れた。


少年は7匹分の首を切り終えると、全て予め持ってきた袋に入れた、加工がされているのか血は(した)たらず匂いもしなかった。少年は袋の口を縛ると立ち上がって背筋を伸ばす、そして周りを見ると首のない死体とサイロが目にはいった。

(そういえば、あのサイロの中どうなってんだろ?)

少年は気になり、サイロの扉を引いて開けると、焚き火をした後となにも入っていないバックパック、5本の酒ビンが目に入ってきた。


少年はサイロの中を調べても特に何もないので、サイロから出ると7つの首の入った袋を持ち上げ、町に向かって歩き始めた。

さしずめ、サンタのような格好だった。


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