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The world has died  作者: トウイ小秋大福
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依頼

少年が町に着いたときには太陽がでて一時間ほどたっていた。「ようこそ!××××へ」と書かれた看板を通りすぎ町に入ると、少年は町の様子を歩きながら観察した。

少年が歩いている大通りの両端には一階建ての家がちらほらと建ち、その間に店があった。人通りは少なく、町というか村のようだった。

少年は宿屋と雑貨屋を探すために近くを通りすぎた女性をつかまえ、宿屋の場所を訊いた。少年に引き留められた女性は一瞬怪訝そうな顔をしたが、宿屋と雑貨屋を探しいるという主旨を少年から訊くと快く答えてくれた。宿屋は少し先にあり、雑貨屋はその隣にある、という事が分かったところで、女性にお礼を言い、別れると宿屋に向かって歩き始めた。

10分ほど進むと宿屋を思わせる看板が下げてある二階建ての建物があった。少年は扉を開け中に入ると、建物の中を見渡した。正面には受付があり、右側には町の地図と、部屋の内装が書かれた紙の貼ってあるコルクボードが掛かっていた。

夜の食事つき、設備は机と椅子、ベッド、トイレ、風呂、洗面所がある簡素な部屋だった。一泊の値段を見てみると、少年は納得して受付に行った。部屋が空いているか訊くと、

「ぜひ泊まっていってください、夜食の激辛パスタ、おいしいですよ?」

そんな事を言われた。

少年は2泊3日分の料金を払いカギを受け取ると、受付から左側の数メートル先の階段を上り、自分の部屋に入った。ベッドの上にバックパックを降ろし、フード付きのマントを脱ぐとベッドの上に放り投げ、顔を洗うために洗面台に向かった。洗面台の蛇口は水しかでないようになっており、近くの壁には

「節水をお願いします!」

と書かれた紙がセロハンテープで張り付けてあった。少年は顔を洗い、あらかじめ用意してあった宿屋のタオルで顔を拭うと、ベッドに向かいその上に座った。

(さて、なにをしよう)

そう考えると幾つかの案が浮かび上がってきた。

買い物に行くか、町を詳しく見て回るか、寝るか。少し悩み、ベッドから降りると、雑貨屋に行くための準備をした。

部屋をでてカギを掛けて階段を降り、宿屋から出て、右側の建物に入ると、川の字に設置された商品棚が目にはいってきた。商品棚の中は取りやすいように等間隔に商品が置かれ、棚の少し下には値段が書いてあった。少年は商品を見て周り、携帯食糧と拳銃の弾薬を探し出すと、それを持って会計に向かった。料金を払い、店から出ようと歩き始めたタイミングで、

「ちょっと待ってくれ」

と声をかけられた、少年は何だろう?と思いつつ、

「なんですか?」

と訊くと、

「依頼があるんだ」

会計をしていた50代ぐらいの男にそう言われた。


少年は、案内された部屋に入ると、部屋の中央に置いてある椅子に座るように促された。少年が椅子に座り、会計の男も椅子に座ると、少年と男は対面するような位置になった。机の上には何も無く、少年がお茶か菓子は無いのかと落ち込んでいると、話が始まった。

「すまないね少年、急に呼び止めて」

「いえ、別にいいですよ、.....それで依頼って言うのは?」

少年にそう訊かれ、男はゴホンと咳をわざとらしくすると、

「この近くに住み着いているゾンビを6匹殺してほしい」

そう答えた。


ゾンビとは、かの有名なあのゾンビだ。身体が腐り、人の肉を喰らうためにさまよっているウイルス感染の映画には欠かせないあいつらだ。ただし、バ◯オハザードの金髪イケメンが「頭を撃て!」と言うように、この世界では別に狙って頭を撃つ必要はない。この世界のゾンビは「人の肉を喰う」と「死んでいる」「昼間に寝ている」以外はほとんど人間と一緒である。餓死や健康状態、致命傷の傷を負ったり、血が出過ぎると失血死したりもする。集団で行動するため、少年のように一人だと、かなりの脅威になる。

「町が建つということは感染生物は近くにいないってことですよね?なんでゾンビなんかが?」

少年が訊くと、

「わからん、最近住み始めてな。そいつらを殺そうにも誰も怖がって行きたがらないし、ほっといてもいつかはこの町に来てしまう。だから、漂流者のあんたに頼んだ。」

と返ってきた。少年は、

「ところで報酬と条件達成の証拠はどうすれば?」

思い出したように訊くと、

「携帯食糧一週間分と金を少し、拳銃のサンプレッサー2本だ。証拠はゾンビの首を6個もってきてくれ」

答えを訊くと少年は悩んだ。結果、受けないことにした。

「すみません、その依頼は止めておきます。万が一ってことがあるので。」

少年はそう言って断ると席から立ち上がり部屋からでて行こうとする。すると、

「待ってくれ、達成報酬を追加しよう。ちょっと待っといてくれ」

少年にそう言うと、男は部屋からでていった。しばらくすると、男は一丁のスナイパーライフルを持ってきた。

「この銃を報酬に追加する。サンプレッサーを装着できて、装填方法はマガジン式、セミオート(連発で撃てること)に切り替えることができる。スコープも付けるがど」

男が「どうだ?」と訊く前に少年が、

「受けます!」

目を輝かして即答した。





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