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The world has died  作者: トウイ小秋大福
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オープニング

「あのオッサンめ、はめやがったな?ちくしょう.....何が悲しくてこんな.....」

ある大陸で一人の少年が歩いていた。ただ普通に、ビルの立ち並ぶコンクリートの上や草木の生い茂る森の中ならば何の違和感もない風景だったろう。だが、かわっていたのは少年の周りの風景と少年の格好だった。少年が歩いていたのは硬いコンクリートの上でも草木の生い茂る土の上でもなかった。少年の足元にあるのはとてもサラサラとした、靴で歩くととても歩きにくい砂だった。一言で言うならそう、「砂漠」である。

歩いている少年の格好は、16歳ぐらいの整っている顔と短いツンツンとした黒色の髪、長靴のような軍ブーツ、服装の下は長ズボン、上は半袖、上下合わせて軍隊のような迷彩柄のはいった服だった。さらにその服の上にフード付きのマントというおかしな格好をしていた。背中には少し膨らんだ大きなバックパック(リュックサックのようなもの)を背負い、右太腿には黒色とした拳銃とその拳銃につけるサンプレッサー(発砲音をとても小さくしてくれる筒型の道具)が一緒に入ったホルスターをさげていた。左太腿には弾が12発入っているマガジンが3本入るマガジンポーチをさげ、脇腹のところには黒色のナイフが鞘に入った状態で装備されていた。

なぜ16歳ぐらいの少年がこんな物騒な格好をして砂漠の上を歩いているかというと、この世界に原因があった。

この世界、いわば地球は「ほぼ死んでいる状態」に近かった。

事の発端(ほったん)は数十年前のこと、ある研究施設でウイルスや毒素などアブナイ物を作ってる最中になぜか大爆発が起こった。その爆発によって色んなウイルスが散布されてしまいバイオハザード状態に、動物達や自然に影響を与え突然変異を起こすものが多く現れた。影響を与えられたのは動物達だけではなく人間もである。強い国は自分たちで作ったものを自分たちだけで売り買いするという自給自足のような政策をとり、大きな壁で国をまるごと包み込むようにして城壁をつくった。弱い国は徐々にバイオハザードの被害に飲み込まれいき、ゴーストタウンへと変わってしまった。しばらくすると環境にも影響がで始め、大部分の海や川は濁ってしまった。砂漠の面積は増え、森林の面積は減っていった。だが、ギリギリ影響を受けなかった所もあり、その場所は当初の面影を残し続けていた。

そして、人間は2種類に別れた。「国に住む者」と「国に住めない者」(漂流者)である。「国に住む者」は発展に成功し豊かになった国で安心安全な生活をしている人達、「国に住めない者」は国ごと潰れてしまった人達で、「死なないように生活を送る」しか選択肢がない人達のことである。

少年は後者であるが自分が不幸だとは思わなかった。なぜなら、興味のあるものを好きなときに探しに行けたり、好きなことを好きなだけできるからである。そんな自由だが危険な生活を1年ほど続けて今に至る少年は偶然見つけた国に食糧を買いに行くために砂漠を歩き続けていた。

そして、昼間からおやつの時間に変わろうとした時に、国についた。国で買い物といっても国に入るわけではなく、城壁を改造した小さな店で売り買いするだけである、国の中に入れることは滅多になく、入ろうとすると冷たく断られるのが当たり前である。

国の中に入ることを諦めていた少年は城壁に沿って「小さな店」、もとい漂流者用の雑貨屋を探した。探し始めて20分ぐらい経っただろうか、一人の男が店番をやっている店を見つけた。店番の男はこちらに気付き、

「何か用か?」

と渋い声で聞いてきた、少年は、

「携帯食糧を3つください」

と答え、お金を無愛想な店番に渡した。金額を確認し、携帯食糧を少年に渡そうと準備をしていると不意に少年から質問がとんできた、

「この近くに村とか町ってあります?」

男は少し考え、

「ここを西に行けば小さな町がある、.....それぐらいだ。」

と店番は携帯食糧を渡しながら訊かれた質問に答える。

「西の方に町ですね、どうもありがとうございました」

少年はお礼を言うと店を後にし、少し店から離れた位置で胸ポケットに入っていたスマホのような端末を取り出した。

(西の方角は、...こっちか)

少年は西の方角に向き直ると再び歩き始めた。今、少年が使っていたスマホのような端末はとても高機能だった。方位磁石や半径1キロ以内の生物や罠などを探知できる探知機など様々な機能が使え、天気が曇りでも充電できるソーラーパネル付き、完全防水でとても頑丈という代物だった(今後は端末と呼ぶ)。

そんな端末を片手に少年は薄暗くなるまで西に向かって歩き続けた。

(...薄暗くなってきたし今日はここで野営かな)

少年は端末の探知機を起動させ、周りが自分だけなのを確認し近くにあった大きな岩の陰にテントを張り始めた。

少し時間が経ち、何もなかった砂の上に四角の形をしたテントができあがっていた。

少年はテントの隣の大きな岩にもたりかかりながら携帯食糧を食べていた、数分が経ち、少年は食べ終えて立ち上がるともう一度探知機を使った。

(近くに生き物は....居ないな、漂流者がいれば弾薬かサンプレッサーを分けてもらおうと思ったんだけど)

そんなことを考えながら、そのまま画面を何タッチかすると「1キロ以内に生物が入ったらアラームが鳴る」という設定をした。大抵の感染生物は昼ではなく夜に行動することが多く、夜に漂流者が感染生物にたまたま見つかったり、寝込みを襲われて命を落としたりすることはざらではなかった。

少年はあくびを一つするとそのままテントの中に入り、浅くもなく深くもない眠りに落ちていった。


少年が起きたのはまだ薄暗い、朝の時間帯だった。少年はテントから這い出て立ち上がると背伸びをし、ある程度落ち着いたところでテントを片付け始めた。テントを片付け終えるとバックパックにテントをしまい、端末で方角を調べて行くべき方角に向き直ると


「さぁ、今日も頑張ろう」


携帯食糧を片手に歩き始めた。



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