はじめて
ロゼと青年の外見は
Twitterの方であげさせてもらいました
「枷が...」
ロゼは自分の足に付いていたはずの
取れないはずの枷が壊された事に
ひどく驚いた
「ほら、神様じゃない俺でも外せるんだぜ?」
そう言って、もう片方の足に付けられた枷にも手をかける。
バキッ...
あっという間に壊された枷を
ロゼはただただ見つめていた。
「まあ、その...な?
だから...なんと言うか...」
青年は何か言葉に詰まったようにして唸る。
「つまり、神はいないから...
お前も俺も、神の怒りを買ってないというか
...ほら、どっちも生きてるしさ?」
語学力が足りないのか、
青年は曖昧な説明で理解を求めようとする。
「つまり、お前が私の所に来たのも
飛び降りたのも、天罰じゃないって事?」
「そう!そういう事!」
青年は花が飛び散りそうな笑顔で便乗する。
「うん...わかった...
天罰じゃ...なかったんだ...」
ロゼは、例え気休めだとしても
青年の言葉が嬉しくて
また涙を零してしまった。
「えーと、その...
やっぱり着替えて欲しいんだが...」
青年は気まずいのか、
ちょっと言いにくそうにしながら言う。
ロゼが今着ているのはシスター服
それも、世界最高峰の教会の服だ。
数に制限があり、要するに...
すごくレアで
パッと見で何処の人かすぐわかる服なのだ
「...けど
私、着替えとか持ってないよ」
そりゃそうだ、唐突に連れ去られたのだから
青年もそんな事考えるずに誘拐したのだろう。
少し頭を抱えた後、青年は上着を脱いだ。
「これ貸すから、その服を脱げ」
「やだ」
「うぐっ...」
即答だった...
確かに、青年の大きさの上着なのだから
ロゼが着れば下まで隠す事が出来るだろう
しかしロゼは、そんな恥ずかしい格好で外を歩きたくないのだ。
肌着と男物の上着1枚
14歳のロゼには耐え難い格好だ。
「だがなぁ、その格好だと
あの塔の連中にすぐ...」
青年は、また困りはててしまった。
「仕方ない」
青年はそう言って
またロゼを肩に担いだ。
走ってる間に高さには慣れたが、
やはり恐ろしく感じる。
「ちょっ!また!?
今度は何!!」
「静かにしろよ、そしてよく捕まってろ」
「え?」
すると、青年は走り出す。
街の住宅地を、人気の少ない道へと
唐突の事に驚きつつも、
ロゼは青年の言うとおりにした
青年が走ってるおかげで、
風景はどんどん変わっていく。
ロゼは後ろ向きで、ずっと街を眺めていた。
「これが...」
これが私が、ずっとそばで...
見たかった風景...!
塔から眺めていたものと全く違う
間近で見ないと分からない世界。
ロゼが見たことない動物や植物、
人々の会話、食べ物の匂い
全てが新鮮で、初めてだった。
そんな事を考えながら街を見ていたら
青年が急に止まった。
「ついたぞ」
そう言って、青年はロゼをおろした。
「え?どこに?」
「あれ?言ってなかったか
俺ん家」
「は?」
青年の家と言った場所は、ただの行き止まり
扉は見当たらない。
「あのね?家ってああいうのの事言うんだよ?」
ロゼは民家を指さしながら言う。
「わかってるって、だから...
俺は家が無いんだよ」
「はあ!?」
ロゼはびっくりすると同時に
何故か怒りの感情が湧き上がった。
「ほら、ここで脱げ
服は買ってきてやる」
「い、いやいや!
お金ないんでしょ?
家ないんだし!」
「家ないから金が無いわけじゃねぇよ!」
青年は焦ったように言う。
「はぁ、俺の家の話は後だ、
とりあえずその着てるの渡して
俺の上着をはおってろ。」
そう言って青年は上着を渡す。
「...」
「なんだよ」
「後ろ向いて...」
「お、おう...」
別に、着替えなくてたっていいのだ
あの塔に戻ったほうがいいのは自分でもわかってる
ただ、もうすこし...
もうすこしだけ、自分の知らない世界を
知りたくなった...
それだけなんだよ...
ロゼは青年の、
花の香りがする上着を握りしめた。
ロゼって猫とか兎とか犬とか
知ってるのかな?




