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なんで

恋愛小説...

書くの楽しい...

青年は飛び降りた


肩にロゼを担いだまま


「キャアアアアアアアアアア!!!」


ロゼは泣き叫んだ

今まで出したこともないような大声


青年が飛び降りた塔は、この街で一番高い塔で

神に最も近い塔と呼ばれていた。

その塔の中でも、最上階はさらに神に近い場所で

神の嫁であるロゼはそこに閉じ込められていた。


その塔の最上階から飛び降りたらどうなるのか、ロゼでもわかった。


後ろ向きに担がれてるため、地面との距離がわからない。


ロゼは空を見つめながら思った


あぁ、きっとこれで私は死んでしまうんだ

外に出たいなんて願わなければ、きっとこんな事にはならなかったんだ


天罰


そう、神様は私に罰を与えたんだ...

仕方ない事なんだ...


こんな時だけ、存在を疑っていた神様を信じるなんて

やっぱり、私はわがままなのかもしれない



そんな事を考えていると、青年のロゼを掴む手が強くなる。

きっと地面が近いのだろう。


青年も死んでしまうのだろうか、私の天罰に巻き込まれて

あぁ、ごめんなさい神様、罰を受けるのはどうか...

どうか私だけに...



ロゼは神に願うようにして、強く目を閉じた。




ピタッ......




風圧が収まった、落下が収まったようだ。


しかし音がおかしい、地面に着地したのであれば

わからないけど...ドスンとか、ボコッとか...

そんな音じゃないだろうか?



ロゼは、恐る恐るまぶたを上げる。


「...花びら?」


ロゼと青年の周りに、無数の桜の花びらが舞う。


花びらは青年の足先から出ているようだ

そこから落下の速度が弱まり


地面には花びらの絨毯が出来ていた。




ふわり



柔らかい音で青年は着地する。


「え?ええ??」


ロゼは混乱で思考が追いつかなかった。


「これ...どういう...」


青年はロゼが何か言い終わる前に駆け出す。


塔の1階から人が出てきている。

おそらく、私が誘拐されたのが下に伝わったのだろう。


青年は木の生い茂る森を目指して走る


(は、速い!!)


身長のせいもあり、青年の脚は長く

1歩が大きい。

それで走るのだから、速くて当たり前なのだ。


塔から出てきた人はどんどん離されていき

後ろ向きのロゼでも見えなくなった。




暫くして、森に逃げ込んで走り抜けた青年は

街の隅っこで、ようやくロゼを離した。


「あー、疲れた」


青年はその場に座りこんだ


「...んー、このガキ...どうすればいいかなぁ...」


ロゼをまるで、値踏みするように上から下まで見る。



ロゼは青年に近づき、平手で

青年の頬をペチンと叩く。


「!?」


さほど痛くなかったのか、青年は特に痛がる様子もなく

ただ驚いた顔でロゼを見た。


「ど、どうして私を連れ出したの!!!」


ロゼは手が痛かったのか、叩いた方の手を抑えながら言う。


「どうしてって...お前が神の嫁だから...?」


青年は、自分でしておきながら

何故か疑問形で答える。


「もし、もし神様の怒りを買ってたら...!

お前は死んでたかもしれないんだぞ!!」


...青年は驚いた

誘拐した少女が誘拐犯の心配をしたのだ、普通じゃありえない。


「あの時、私が外に出たいなんて考えなければ...

考えてしまったから...こんなことになったんじゃないかって...!!」


ロゼは、自分でも気付かない間に

泣いていた。


「あ、あー...なんかごめん...」


「...許したくない」


「うーん...」


青年は困ってしまった。

まさかこんな事になるなんて考えもしなかったから。


誘拐した人が泣くのは今までもあった事だが、心配されて泣いたのは初めてだったから。


「と、とりあえず見つからないように着替えて欲しいんだが...」


ロゼはシスター服、このままではすぐに見つかってしまうだろう。


しかしロゼが言う事を聞くわけもなく。

青年は更に困ってしまった。


「て、てか本当に“神様の嫁”なんだな

神様に会った事ってあんの?」


話題を変えようと青年は必死に言葉を出す。


ロゼは顔を両手で覆い、下を俯いたまま

首を横に振った。


「...ふーん、嫁でもわからないんだ...」


青年はロゼの足に着いた枷に目をやる


「珍しい枷だな」


なぜ枷の珍しいがわかるのかと言ってやりたかったが

確かに珍しい事に変わりわないので

ロゼは質問に答えた


「...この枷は、神様しか外せないんだって」


ロゼは自分の足にある、綺麗な青色の枷を

忌まわしそうに見た。


「神様しか、ねえ...」


そういうなり、青年は枷に手をかけた。


「ちょっ!何するの!!」


青年は手のひらに力を入れると、

枷にヒビが入り

あっという間に枷は割れて

ロゼの足から外れた。


「いいか?ロゼ」


青年はロゼを見上げる。


不思議と、さっきまでの恐ろしさはなかった。



「神なんていやしねぇんだよ」



青年はそう呟き、ニヤリと笑って見せた。

青年めっちゃイイヤツやん

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