表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

わからない

シスターっていいよね

夢が...広がる...

彼女はロゼ


神に選ばれたシスター


そういう運命に決まっている


人間...




足に付けられた枷を見つめながら、ロゼはつぶやく


「ここから、抜け出せたら...」




生まれた瞬間から、神様のお嫁さんになると定められた運命

逃げださないように、汚れないように

この塔の最上階に閉じ込められている。


シスターという役職も、強制。


シスターになる為の知識だけ叩き込まれ、

神様のお嫁さんになっても恥ずかしくないように、

花嫁修業だけを要求されてきた。


それ以外に、意識がいかないように。




今年で14になったロゼは、今まで教えられて来た事に対して

反抗的に考えるようになった。


いわゆる、反抗期というものだ。


窓から見える街。

活発に動き回っている人々。

楽しそうにはしゃいでる、自分と同じくらいの子供達。



神に選ばれておきながら、普通の生活がしたいだなんて

わがままなんだろうか...?



だって、知りたい

わからないもん


ここで安全に暮らしてる私より、

下で生きるのに必死な人達の方が

ずっと、ずっと輝いてる...!


...神様に選ばれた私の方が

ずっと、ずっと...惨めだと...感じてしまう...


叩き込まれた花嫁修業は、使う時が来るのだろうか

神様には、どうやったら会えるのだろうか

...わからない


もしかしたら、死ぬまで会えないかもしれない

それじゃあ、私がここに居る意味は...

...わからない


知識欲


今のロゼを一番動かしてる原因。


知りたい、わからない、教えて...


ロゼは、そういうお年頃なのだ


「こんな、窓...

割ってしまおうか...」


ロゼは、何となく呟いた。





ピシッ...




突如、ロゼの後ろから何かにヒビが入る音がした


見たら、石造りの

頑丈な扉にヒビが入っていた。


この部屋は、代々神様のお嫁さんが閉じ込められて来て

いろんな賊や狂人から守るため、べらぼうに強固に作られた部屋


その部屋の扉に、ヒビが入ったのだ


ロゼはありえない状況に、怯えた。



ビシッ...バキバキ...



扉のヒビは大きくなり、亀裂となった。


亀裂が出来たら、後は押し出すだけ


扉は開かれてしまったのだ。


そこに、1人の青年が入ってくる。


青年はフードを深く被っており、顔はわからない

ただ、異常に身長が高く

148cmのロゼは、恐怖で腰を抜かしてしまった。


「ん?ここはどこだ?」


青年はあたりを見渡す。


ロゼはどうにか逃げようと、必死に後ずさるが

逃げた先の窓にぶつかってしまった


そして、こっちを振り向いた青年と目が会ってしまう


「...ガキ?」


「ひっ...!」


振り向いた青年は、フードで影になってるせいもあり

恐ろし目をしていた。


「おい!あの男は何処に行った!」

「この階にはいないぞ」

「まさか、この階より上に行ったのか?」

「早く見つけだせ!!」


下の階から大人達の話し声が聞こえる。

男というのは、この目の前の青年の事だろう


「へぇー」


青年はそんな事お構い無しにニタっと笑う。


「部屋にめぼしいものはない、下のヤツらの騒ぎよう」


ロゼの居る方向に、青年は歩き始める


「お前が、“神様の嫁”...だろ?」


青年はロゼの目の前でしゃがみ、余裕の笑みで問いかける


「...し、知らない!わからない!!」


ロゼは恐怖で、自分でもよく分からない事を口走っていた。


「おい!あの部屋の扉が壊されているぞ!」

「そんな、あの扉が...」

「いそげ!3人じゃ足りない!!下から人を呼べ!」

「は、はい!!」


騒ぎ声が近くなる


「んー、人がそろそろ来るな」


青年はロゼを肩に担ぐ


「ちょ、な、なに!!」


ロゼは初めての高さに怯えた、目線が高い...!


「いたぞ!!」

「ロゼ様に触れるな!この不届き者!!」


ようやく大人が部屋にたどり着く


「へー、ロゼってんだ」


青年はロゼを見ながら言う。


「ねーねー?このガキ、大切なんでしょ?」


青年はそういうなりロゼの後ろにあった窓を蹴り割る。


「このガキいなくなったら、あんたら困るよね?

困ってくれるよね?」


そう言って青年は、窓の淵に立つ。


「おい、何をするつもりだ」

「止めろ!お前のやっている事は許されない事だぞ!」


大人達が叫ぶ、しかし青年に近づこうとはしない。

ロゼが居るからなのか、それともただ怖いだけなのかはわからない。


「ハハハ!ちゃんと困ってるな

じゃあせいぜい、困って俺を楽しませてくれよ」


その言葉を最後に、青年は窓から飛び降りた。

※最上階

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ