表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
綿あめのきみ  作者: うわの空
最終話
13/14

2005年 4月12日

 ホテルで三日間、寝ずに考えた。――いや、娘が産まれてからずっと考えていたことに、ようやく自分なりの答えを出せた。


 思えば、母も私も間違えていたのかもしれない。


 あの子は確かに私の娘で、誘拐殺人犯の娘で、けれども娘は娘だ。誰に似ているとか似ていないとか、そんなの関係ない。娘はひとりの人間で、誰の分身でもない。こんな簡単なことに、どうして気づけなかったのだろう。

 娘とあの男を重ねるのが、間違えていた。

 亜衣は、亜衣だ。

 ――ケーキを買って、家に帰ろう。あの子の好きな、苺のショートケーキにしよう。まだ、大学の合格祝いも何もしていない。高校の卒業祝いも兼ねて、ガトーショコラも買おうか。

 そうして今度こそ向き合おう。『あの男にそっくりな人間』ではなく、『亜衣』に。今思っていることを、きちんと伝えよう。


 ねえ、亜衣。今更だと思われるかもしれないけれど。

 死なないで。

 生きて。

 泣いたり怒ったりしてもいい。


 けれどそれよりも一秒でも多く、笑って。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ